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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(2010年10月15日 旧ブログ掲載記事)
 
2010年10月15日付の毎日新聞社会面、15日0時22分にネット配信された中日新聞、14日20時33分にネット配信された読売新聞に、以下の趣旨の記事が掲載されていた。
 
10月14日午後3時35分ごろ、岐阜市の金属加工会社「かんぜん」の、解体中のアルミ加工工場の外壁(高さ約11m、横17.5m)が、壁を囲んでいた防塵シートとシートを支える鉄パイプと共に、道幅約10mの市道を完全に覆う形で倒壊し、下校途中の女子高生が下敷きになって死亡した。ほぼ即死状態だったという。
 
工場は3階建てで、道路拡張に伴う解体工事中。工場本体はすでに取り壊されていて、トタンとコンクリート製の外壁だけが残されていた。この日は午前8時から13人で作業を行っていた。
 
毎日新聞には、「クレーンの先端が壁に固定されていた足場とみられる金網状の鉄骨にひっかかり、外そうとする動きをした直後、壁が2、3回大きく揺れて倒れた」という目撃者談が、一方、中日新聞には、「重機が鉄製のパイプをアームで挟んで引き抜こうとした際、壁が揺れて倒れた」という目撃者談が掲載されている。
 
警察では、業務上過失致死の疑いがあるとみて、工事の手順や安全確保対策などについて、解体に当たった業者などから事情を聴いている。
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
15日のテレビ欄を見ると、テレビ東京を除く全民放のワイドショーで、この事故を取り上げるらしい。
また、毎日新聞社会面でも、結構大きく扱われていた。

いくら通りがかりの女子高生が巻き込まれて死亡した事故とはいえ、単なる工事上の事故。直接原因も、ほぼ明らかになっている。
それなのに、なぜ、これほど大事故扱いするのだろうか?
同日、静岡で起きたゴンドラ作業中の2名の死亡事故はベタ記事扱いなのに。

報道各社の姿勢に違和感を覚える。
昨日、本ブログに書いた北海道新聞もそうだったのだが・・・・。
 
 

(修正1:2010年10月16日 原因追記)
 
10月16日付の毎日新聞朝刊社会面、15日12時22分にネット配信された読売新聞、15日21時14分にネット配信された朝日新聞に、以下の趣旨で事故原因に関する記事が掲載されていた。
 
解体業者の丸萬後藤興業が外壁を固定する安全措置を全くとっていなかったことが、15日、分かった。警察によると、同社は恒常的に壁の固定を怠っていた可能性が高いという。
 
同社は、14日昼食後、びょうぶ状に1枚残った外壁を工場敷地側に倒そうとしたが、壁の内側に鉄骨や金網を残した未撤去のエレベーター外枠が残っており、それが障害となって壁が倒れなかった。そこで骨組みを壁から撤去するため、重機で鉄骨部分の先端をつかんで引き上げ、途中で離したところ、壁全体が数回にわたってグラグラ揺れて倒れたという。
 
通常は敷地内の障害物を撤去した後に壁を解体するが、エレベーター外枠が残されていた状態だったため、警察は作業手順にも問題があったとみて調べている。また、道路側に警備員を配置しておらず、倒壊当時、現場責任者が現場を離れていた疑いもあるという。
 
全国解体工事業団体連合会によると、今回のように壁が1枚残った場合は不安定で一番危険。必ず安全対策をせねばならず、内側からワイヤーを壁にかけるとか重機の先端で壁を挟む、クレーンで吊り上げる、といった方法で固定するのが原則だという。
 
 
 
(修正2;2010年10月18日原因追記)

10月16日9:00に岐阜新聞からネット配信された記事によれば、倒壊した壁は、最初は「コ」の字形で安定していたが、両側の壁を先に解体したことで安定感を失っていたらしい。
 
10月16日17:25に共同通信からネット配信された記事によると、事故当時、鉄骨入りの建築物の解体に必要とされる有資格者を現場に配置していなかったとのこと。
 
 
(修正3;2010年11月15日 新情報追記)
 
2010年11月14日付の毎日新聞に、以下の趣旨の記事が掲載されていた。
 
捜査関係者への取材によると、解体業者は、事故当日午後からコの字形に3面残った壁の取り壊し作業を行った際、最初の2面については重機で壁の上部を挟んで固定し、建物角の接続部分を切断した後で倒したが、最後に残った壁だけは重機で挟まず、作業の邪魔になっていたエレベータ外枠を撤去しようとして、壁が市道側に倒れた。
 
同社は、これまでにも安全措置を取らなかったことが度々あったという。当時の現場責任者は、調べに「最後の壁も重機を使って固定すべきだった」と話しているという。


(修正4;2011年4月19日 新規情報追記)
 
2011419日付の毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
岐阜労基署は、18日、工事を請け負った解体工事会社「丸萬後藤興業」と同社の専務(50)を労安法違反容疑で岐阜地検に書類送検した。
容疑は、専務は安全管理を総括する立場にありながら、必要な作業計画を作成せず、作業主任者も選任しないまま工事をさせたとしている。社長は現場を把握しておらず送検を見送った。

http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/04/19/20110419ddm041040075000c.html




 
(2012年1月16日 修正5 ;追記)
 
2012年1月15日9時58分に岐阜新聞から、社長などが書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
警察は14日、解体工事会社「丸萬後藤興業」の社長ら3人を業務上過失致死の疑いで、週内にも書類送検する方針を固めた。
書類送検されるのは、同社の社長と専務、当時重機を操縦していた運転手。


同社は事故直前、壁の支えだった内側のエレベーター外枠と壁の接合部分を切断していた。

警察は、社長ら同社幹部は事故発生当時は現場にいなかったものの、解体工事前に現場を視察するなど、事故を予見し倒壊を回避する措置を取ることができたとして、過失の疑いがあると判断した。

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20120115/201201150958_15986.shtml
 

また、2012年1月17日10時44分に岐阜新聞から、幹部を書類送検した背景について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
この事故で、県警は重機運転手に加え、事故当時、現場にはいなかった社長と専務も業務上過失致死容疑で書類送検した。
企業活動に伴う事故は、その過失の範囲をどこまで広げるかが捜査の焦点の一つだが、経営トップの責任も追及する岐阜県警の断固とした姿勢が表れたものといえる。

事故を引き起こした運転手とは異なり、企業幹部は結果との関係が間接的となる。
しかし、県警は事故発生当初から結果の重大性を踏まえ、捜査に着手。
「たまたま現場を通り掛かった罪のない女子高生が事故に巻き込まれ、未来を断たれた。責任を問われるのが重機の運転手だけ、というのはありえない」(捜査関係者)との姿勢で臨んだ。


捜査の結果、幹部が解体前に現場を視察し状況を把握していたことや、作業計画がなかったことなどを把握。
会社幹部は、壁が倒れるという最悪の結果を事前に予見し、安全体制を確立すべきだったとして、書類送検に踏み切った。


幹部に対する詰めの捜査が必要であったため書類送検までには1年3カ月を要したが、捜査員はこの間、遺族と定期的に面会して捜査の長期化に対する理解を求めてきた。
「同じ工事なら素人の方が、もっと慎重にやったはずだ」と県警幹部。
ずさんな解体工事に対し、岐阜地検の判断が注目される。


http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20120117/201201171044_16002.shtml
 


 (2012年4月3日 修正6 ;追記)
 
2012年3月30日付の読売新聞岐阜版ならびに毎日新聞岐阜版から、両親が工事発注者などを提訴したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
事故から1年半。解体工事業者のみならず、工事の発注者も被告として提訴した父親(42)は29日、岐阜市で開いた記者会見で、「民事裁判でどうして娘が亡くなったのか、真実を求めたい」と訴えた。

業務上過失致死容疑などで書類送検された解体工事業者の社長らを調べている岐阜地検の捜査は大詰めを迎えている。

しかし、両親は、事故の原因や背景を調べるうちに、解体工事業者だけでなく、刑事責任は問われなかった工事の発注者の金属加工会社「かんぜん」にも事故を起こした責任があるとの疑念を募らせていた。
 
道路の拡幅工事に伴う土地の明け渡し期限は、10年10月28日。
解体工事が始まったのは9月中旬で、工期は1カ月半だった。
訴状によると、解体工事の発注額は、行政側が取り壊し費用として査定した金額の約6分の1に過ぎなかった。
さらに、建造物の柱の位置などを記した図面が、発注元の「かんぜん」から元請けの「松原建築商事」、下請けの「丸萬後藤興業」に交付されていなかった。


正明さんは「刑事責任は問えないとしても道義的な責任を問い、事故の真相を究明したい」との思いを持っている。
また、母親(41)は「娘の誕生日に間に合うように準備をしてきました」と語り、誕生日の4月19日の前に提訴に踏み切ったことを明かした。

 

出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gifu/news/20120329-OYT8T01095.htm
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20120330ddlk21040007000c.html
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
思いもかけない御両親の提訴だが、事故の真因は、指摘のとおりのところにあるような気がする。
短い工期、図面の不交付。それに費用の大幅ダウン。費用については、発注側が6分の1でやれと言ったのか、受注側が6分の1でやりますと言ったのか定かでないが・・・。

 
 

(2013年3月16日 修正7 ;追記)

  20133141951分にNHK岐阜から、315157分に毎日新聞から、専務らが起訴されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

岐阜地検は、道路側の壁をワイヤーで固定しないまま1枚だけ残すなど、安全対策を怠ったとして、工事を請け負った解体会社の専務と重機で作業していた従業員(62)を、業務上過失致死の罪で在宅起訴した。

 

地検は、事故現場にいなかった専務について、「従業員が作業していた現場や工事の状況を認識し事故を予見できたにもかかわらず、適切な施策をとらなかった」と指摘した。

社長に対する業務上過失致死罪については、「過失を認めるだけの証拠がない」として不起訴処分としたが、解体工事の作業計画を作成しなかったとして、労安法違反(危険防止措置義務違反)の罪で略式起訴した。

 

同社に工事を発注した元請けの建設会社と同社長(53)も建設業法違反容疑で書類送検されていたが、起訴猶予とした。

出典URL

http://www.nhk.or.jp/lnews/gifu/3083202221.html?t=1363286635425

http://mainichi.jp/select/news/20130315k0000m040119000c.html

 






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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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