山口県防府市の元准看護師Kさん(52)が中皮腫になったのは、病院で手術用のゴム手袋にまぶしていた粉末「タルク」に混入していたアスベスト(石綿)が原因だとして、山口労基署が先月、労災認定していたことが分かった。
医療現場での作業を原因とする看護師・准看護師の石綿労災認定は初めて。
外科や産婦人科などの現場では、かつてゴム手袋の再利用時にタルクが広く使われており、被害が拡大する可能性がある。
Kさんの労災補償請求を受け、厚労省で専門家らが協議し、同署が判断した。
Kさんは一昨年2月、中皮腫と診断された。
石綿との接点が分からなかったが、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の会長が調査した結果、Kさんが81年から約5年勤務した産婦人科医院で、医師や助産師らの手術用手袋を洗って乾燥させた後、袋の中に入れてタルクをまぶしており、その粉が漂っていたことが分かった。
作業は1週間に1、2回あり、その際に石綿を吸い込んだとみられる。
大阪府内の外科医によると、約20年前まで多くの外科系の医療現場では、手術用手袋を洗浄した後にタルクをまぶして再利用していたという。ゴムの癒着防止などのためだった。
現在は手袋を再利用していない。
タルクが原因とみられる石綿関連疾患による労災認定は、ゴム製品製造の従事者や歯科技工士など全国で約15例ある。
Kさんは「原因がはっきりし、一つの道が作れてうれしい。同じような作業をしていた人たちに知って注意してほしい」と話した。
「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」などによると、タルクは粉末状の鉱石で、製品が張り付かないようにするなどの用途で、ゴムや製紙、化粧品の製造現場で使われている。
昭和60年代にアスベストを含むベビーパウダーが問題になり規制が始まるまで、アスベストを多く含むものも使用されていたという。
出典URL
http://mainichi.jp/feature/news/20120827dde001040005000c.html
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120828/waf12082809010006-n1.htm
(ブログ者コメント)
□ブログ者が平成14年まで勤務していた工場でもタルクを使用していたが、アスベスト混入が問題になったという記憶はない。
アスベストの危険性があるのなら、業界団体経由などで情報が入ってきたと思うのだが・・・。
□気になって調べたところ、平成18年10月に厚労省が、緊急調査をしたところタルク製造33事業所のうち1事業所で石綿混入タルクを製造していた、と発表されていた。
このことからみると、その頃に問題がクローズアップされたのかもしれない。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1016-3.html
□ベビーパウダー問題以降の経緯は、日本タルク㈱のHPに詳しく掲載されていた。
http://www.nippon-talc.co.jp/asbestos.html
(2013年5月28日 修正1 ;追記)
2013年5月27日15時0分に毎日新聞から、同日21時41分に読売新聞から、東大阪市の元看護師が2例目として労災認定されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東大阪市の元看護師、Tさん(当時68歳)が中皮腫で死亡したのは、医療用ゴム手袋を再利用するため、付着させていた粉末のタルクに混入していたアスベストを吸ったことが原因として、東大阪労基署が労災認定していたことが27日、関係者への取材で分かった。
外科や産婦人科では、かつて広くタルクが使われており、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」は看護職の最大組織・日本看護協会に注意喚起を強く申し入れる。
同様の作業を巡って看護師が労災認定されるは山口県の元准看護師に次いで2例目。
Tさんは1965年から看護師として勤務。83〜95年、東大阪市の病院で、消毒したゴム手袋をくっつきにくくするため、箱の上や袋の中でタルクをまぶす作業に携わった。
06年、総看護師長を最後に退職し、一昨年1月、中皮腫を発症。夫(67)が建設業の営業職をしていたため、夫の着衣に付着した石綿が原因と疑われた。
しかし、昨年8月、山口県の元准看護師が労災認定された報道を受けて、「私も同じ作業をしていた」と考え、同年9月に労災認定を求めたが、今年1月に亡くなった。
タルクをまぶす作業は、手術室と中央材料室で、勤務日はほぼ毎日行ったといい、院内の全部署から集まるゴム手袋すべてを担当したという。
「毎日10~20組の手袋に粉をまぶす作業をしていた。両面に付着するよう丁寧に作業した」と話していたという。
作業場は常に白く煙のような粉がもうもうと立ちこめていたという。
夫は「妻は今回、同じような仕事をしていた人たちが大丈夫なのか、身をもって問題を提起した」と話した。
患者と家族の会の古川会長は「相次ぐ認定で、かつての手術室周辺はアスベスト粉じんが舞う職場だったことが明確になった。被害者の発掘に取り組みたい」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130527k0000e040180000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130527-OYT1T01152.htm
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。