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2025年5月27日17時41分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午前11時すぎ、大阪・堺市南区で「建物を取り壊している時に3人が倒れた」と消防を通じて警察に通報がありました。
作業員3人が病院に搬送されたということで、警察によりますと50代とみられる男性が意識不明の状態だということです。
また、20代とみられる男性2人が一時、意識不明の状態だったということですが、いずれもその後、意識は回復したということです。
警察によりますと、現場では一戸建て住宅を取り壊す工事中にアスベストを除去するための作業が行われていて、発電機を使ったところ3人が倒れたということです。
警察と消防が当時の詳しい状況を調べています。
現場は南海電鉄泉北線の光明池駅から北に1キロ余り離れた住宅街です。
現場近くに住む39歳の男性は「帰宅したら周辺に多くの消防車が止まっていて驚きました。現場は3週間ほど前から解体工事が始まり、アスベストを取り除く作業のため家の周りをシートで囲んで工事していたと聞きました。何が起きたのか原因を知りたいです」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250527/2000094229.html
(2025年11月13日 修正1 ;追記)
2025年11月13日5時31分にYAHOOニュース(アジアプレス)からは、ファスナー式のビニールシートで建物を覆っていた、業者は建設業許可未取得だった、現場責任者は20代で知識経験不足か?3月の千代田区事例(本ブログでも紹介スミ)はいまだ労基が捜査中など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
建物などのアスベスト(石綿)除去で一酸化炭素中毒になり、病院に救急搬送された事故をめぐり、労働安全衛生法(安衛法)違反の疑いで書類送検されていたことが明らかになった。
相次ぐ重大事故の歯止めになるのか。
■隔離養生内に発電機設置か
大阪・堺市における戸建て住宅の解体現場(堺区赤坂台)で、5月27日に建物外壁の仕上塗材に含まれるアスベスト(石綿)除去工事中に男性作業員3人が一酸化炭素中毒で倒れ、病院に救急搬送された事故をめぐり、堺労働基準監督署(井手署長)は施工した石綿除去業者のS社(大阪市住吉区)と現場責任者の男性(20代)を安衛法違反の疑いで大阪地方検察庁に書類送検していた。
発表資料によれば、送検は9月2日。
同監督署によれば、現場は鉄骨造2階建ての戸建て住宅(各階4部屋)で、石綿が外部に飛散しないように建物外側の窓や換気扇など開口部をビニールテープでふさいだうえ、外壁から約1メートルの足場外周とその天井部をビニールシートで覆って、建物などとのすき間をビニールテープで固定する「隔離養生」をしていた。
出入口は2重になっていて、ビニールシートをファスナーで開閉して出入りする仕組みだった。
つまり、出入口を除いてほぼ密閉状態だったことになる。
事故当日は午前9時から隔離養生内で、石綿を含む外壁の塗材を集じん装置を装着した手持ち式の電動グラインダーを使用して作業員3人が除去作業をしていた。
同監督署によれば、出入口の2重ファスナーは閉められていたという。
その結果、作業開始から約2時間後の午前11時ごろに隔離養生内に一酸化炭素が充満し、2階で作業中だった作業員3人が病院に救急搬送された。
ほぼ密閉状態だった自然換気が不十分な隔離養生内でグラインダーや集じん装置の電源としてエンジン発電機を設置・使用していた疑いがある。
安衛法では、自然換気が不十分なところで内燃機関を有する機械を使用してはならないと労働安全衛生規則(安衛則)第578条で定めている。
現場責任者の違法性の認識はどうだったのか。
そうした知識があったが、何らか事情があったのだろうか。
あるいは隔離内に発電機を置いても大丈夫と思っていたのか。
同監督署に尋ねると、「(被疑者の)認識はお答えできない」という。
現場責任者の作業経験も同様に「お答えできない」(同監督署)。
とはいえ、20代であり、それほど長いわけではなさそうだ。
同監督署は、救急搬送された3人のうち1人が今回送検された現場責任者だったと認めた。
隔離内に発電機を設置することの危険性について十分な認識がなかった可能性がある。
今回の事案では、安衛法で事業者の講ずべき措置などを定めた第22条第1項に違反した疑いがある。
起訴されて裁判で有罪となれば、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金である(両罰あり)。
同社は9月に建設業許可(解体業)を取得したばかりで、5月の事故時には未取得だった。
建設業の許可がなく500万円未満の解体工事を請け負う場合、都道府県に登録することが建設リサイクル法(建リ法)により義務づけられているが、所在地である大阪府の資料では解体工事業の登録も確認できなかった。
(個人で登録していた場合など)断定まではできないが、法違反の可能性がある。
建設業許可で登録されている同社の番号に何度か掛けたが、「お掛けになった電話は、お客様の都合で通話ができなくなっています」と料金滞納で通信が遮断されている場合の電気通信事業者による自動音声が流れ、連絡がつかない状況だ。
■除去現場で相次ぐ重大事故
3月下旬には東京都千代田区神田小川町の解体現場において、やはり石綿除去作業中に一酸化炭素中毒とみられる症状で16人が搬送された。
うち1人は一時意識不明になったという。
報道によれば、5階で石綿除去をしており、4階で発電機2台を稼働させていた。
情報公開請求により千代田区から入手した石綿除去の届け出資料によれば、3階階段に更衣室やエアシャワーなどのセキュリティゾーンを配置し、4階の階段も隔離のうえ、下請けの石綿除去業者が5階のけい酸カルシウム板第2種の除去を計画していた。
元請けの東京ビルドに事故原因を尋ねると、同社を担当する弁護士から連絡があり、「まだ労基署が入られていて、現状お答えできることがない」「現場の管理状況等、事実確認しきっていないので、いま答えられることはない」などと明確な回答は得られなかった。
一酸化炭素中毒は人命に直結するため、基本的に監督署で捜査対象になるという。
所轄の中央労働基準監督署にすでに送検されているのか尋ねたところ、「個別の事案については答えられない」(監督課)という。
通常は送検されれば報道発表される。
少なくとも11月7日現在発表されていないと認めており、この事故については送検されていないとみられる。
ある監督官は、一酸化炭素中毒をめぐる捜査では換気が不十分であった裏付けとして、密閉空間がどこまで作られていたかや、体積の確認など細かな立証が必要となり、現場が大きいほど難しくなる傾向があると話す。
そうした事情で東京・千代田区の事案は難航しているのかもしれない。
石綿作業のように特別講習の受講や石綿作業主任者の配置などが義務づけられているわけではないが、換気の悪い場所に発電機を置くことの危険性はいわば“業界の常識”として対応されてきた。
建設会社などでは入ってすぐのころに口酸っぱく教えられることだという。
それでも事故が相次ぐと、講習の受講や更新講習などを義務づけるべきではないかと思えてくる。
現場の監督官からは「はっきりデータで示せるわけではないが、重大事故が増えているという感触はある」との話をときおり聞く。
前出・堺労働基準監督署で捜査にあたった監督官も一般論として、「近隣への音の問題や広さを誤認される(ことで隔離内に設置してしまう)ケースは多々ある」と明かし、こう強調した。
「今回の件はあと少し発見が遅れれば全員亡くなっていたこともあり得ます。
一酸化炭素中毒は生命の危険に直結するので、若い人も危険の認識を持っていただきたい。
一酸化炭素中毒もですけど、石綿ばく露による被害は数十年後になって発症したらすぐ亡くなってしまうきわめて重篤なものですので、きちんと注意して対策を講じていただきたい」
今回の書類送検が警鐘となるか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbaa5cd143c088f1b7705b6734b8c30592959ce1
(ブログ者コメント)
〇アジアプレスといえば国際問題関連の報道メディアだとばかり思っていた。
それが今回のこの記事。
その掘り下げ方は、安全専門雑誌などを含め、これまで見てきた中でもトップクラスに感じた。
一般紙でも、事故が起きたという報道ばかりでなく、こういった事故の背景などにまで切り込んだ記事を期待してン10年になるが、残念ながら詳細フォロー報道は大事故中心に数えるほど。
今回のこの記事に啓発され、小さい事故でも根が深そうなものには、もっとフォロー報道してほしいものだ。
ちなみにアジアプレスのHPを見てみると、過去にも何件かアスベスト関連の記事があった。
〇3月の千代田区事例については本ブログでも紹介している。
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プロフィール Profile
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

