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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(2010年8月29日 旧ブログ掲載記事)
 
2010年7月30日の大分合同新聞(夕刊)に、以下の趣旨の記事が掲載されていた。(記事は解説図付きだが、ここでは図を文章で表現する)
 
昨年6月13日午前8時50分ごろに発生した、日鉱製錬佐賀関製錬所に停泊中の鉱石(銅精鉱)運搬船の船倉内で荷揚げ作業していた日照港運の作業員3人が死亡した事故に関し、運輸安全委員会は、30日、事故調査の経過報告を公表した。

船倉は、横29m、縦26m、高さ18mで、底から6m高さまでは銅精鉱が入っており、記録簿によれば、作業前の午前8時半ごろ、昇降口と反対側の両隅(船倉の一番隅からは数m程度離れていた模様)で、それぞれ上部下部の計4箇所、ならびに昇降口側の両隅で、それぞれ下部の計2箇所、合計6箇所で酸素濃度を測定し、全て20.9%と記載されていたが、事故発生から約20分後に同社の指示で、作業員が昇降口側の下部、記録簿に記載されていた測定点より奥まった場所(記事に記載はないが、おそらくは作業員が倒れた場所近辺)で測定したところ、酸素濃度は1.5~2%だった。

その違いについて、同委員会は、空気が循環し、低いところと高いところがあったのではとみている。事故のあった船倉のハッチカバーの裏側から通常より多く結露した水が流れていたことから、船倉の密閉性は高かったとみられる。今後、委員会は、空気中で酸化する銅精鉱が船倉内の空気に与えた影響について調べる予定。
 
 
(関連情報)
 
当時の状況を伝えるネット記事は下記。一人が船倉に入った瞬間に倒れ、助けようと入った2人も倒れたとのこと。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_124487275627.html
 
銅精鉱とは、粗鉱から不純物を取り除き、製錬に適するようにした鉱石。細かく砕かれ、粉状になっているとのこと。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_124487288143.html
 
また、経過報告書自体も、以下のようにネットで公開されていた。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/00detail.asp?ID=69
 
 
(ブログ者コメント)
 
経過報告書によれば、助けようと船倉内に入った人は、積荷の銅精鉱の表面から数mほど高い位置にある斜めばしごを降りている時から息苦しく感じたとのこと。それなら、当該場所の酸素濃度は16~17%程度しかなかった可能性がある。
銅精鉱の表面からかなり離れているその場所が、事前に酸素濃度測定してからたった20~30分で急速に酸欠状態になったとは、ちょっと考えられない。
対策として、酸素濃度測定は2人で実施するとか、酸素測定場所を追加するなどと書かれているので、酸素濃度の測定方法に問題があったのかもしれない。
酸素濃度計を定期点検していたのか?10m程度伸ばした筈の吸引ホース内部の空気置換状況は十分だったのか?などの諸点も知りたいところである。



(2012年5月1日 修正1 ;追記)
 
2012年4月27日13時32分にNHK大分から、同日11時54分に日テレNEWS24から、船倉内酸素濃度測定不十分が原因だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

国の運輸安全委員会は、事故の背景には、作業前の酸素濃度の測定を定められた方法で行わない習慣があったという報告書をまとめ、荷役会社などに対して、危険性の教育をするよう勧告した。

報告書によると、最初に倒れた男性が倉庫に入った際、入り口には、入っても良いという表示板が掲示されていた。
これは、助けに入って死亡した監督者が、事故の30分ほど前に酸素濃度を測定して掲示したと見られるという。
しかし、事故の20分後に測定された酸素濃度は、人が一瞬で死亡する低い濃度だった。


このため、運輸安全委員会が、事故前2年間の、荷役会社の酸素濃度の測定状況を調べたところ、本来は、倉庫の定められた12か所で測定して、記録簿に記入することになっているが、1か所も書かれていないケースがあるなど、定められた方法で行わないことが習慣になっていたことがわかった。

運輸安全委員会は事故原因について、酸素濃度の計測を作業員に任せていたため、製錬所や荷役会社は、会社の定めた方法で計測が行われていない実態を把握していなかった他、事故が発生した場合の対処方法も適切に指導していなかった、荷役会社と精錬所が適切な指導をしていれば事故を防げた可能性があったなどと指摘する報告書をまとめた。


出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/oita/5074641261.html
http://news24.jp/articles/2012/04/27/07204647.html
 
 
また、2012年4月27日付の毎日新聞大分版からは、酸素濃度を測定した監督者を容疑者死亡のまま書類送検するという、下記趣旨の記事もネット配信されていた。
 
県警は、大型連休明けにも3人のうち現場責任者だった男(当時48歳)を業務上過失致死容疑で容疑者死亡のまま書類送検する。

県警によると、男は現場責任者として、酸欠の危険性を予見でき、事故を防げたのに、作業前に鉱石があった船倉内の酸素濃度を十分に計測していなかったとしている。

日照港運によると、事故直前の酸素濃度の測定記録は、船倉の6地点でいずれも20.9%と正常値だった。
だが垂直、水平方向とも3地点以上測定し、作業員が立ち入る場所は地点に含むよう定める厚労省の「作業環境測定基準」に反し、事故当時は垂直方向は2地点しか測定せず、3人が倒れていたタラップ周辺は含めていなかったという。


出典URL
http://mainichi.jp/area/oita/news/20120427ddlk44040569000c.html
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
運輸安全委員会の報告書では、3つの段階毎に分けて、下記趣旨で事故原因を考察している。
 
[1次災害]
最初に倒れた男性は、昇降口に進入許可表示板が掲示されていたこと、及び別の船倉に他の作業員が入って重機車両の運転を始めていたため、船倉に入った。
しかし、船倉に積載されていた銅精鉱は輸送される間に酸化し、密閉船倉の酸素を消費していた。
 
[2次災害]
船倉が酸欠状態になっていることに気付かなかった現場責任者は、倒れた男性を救助しようと船倉に入った。
それは責任感、焦燥感や、自然換気されているだろうとの思い込み、過去に酸欠危険状態を経験していなかったことなどによる可能性が考えられる。
 
[3次災害]
2人を救助しようと防毒マスクを着けて船倉に入った人も倒れた。
それは、責任感、焦燥感や、防毒マスクで酸欠に対応できると思ったこと、また1次災害発生後に救助に赴いた際に酸欠症になり適切な判断ができなかったことなどによる可能性が考えられる。
 

出典URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/detail.php?id=69
 
 
 
(2012年6月5日 修正2 ;追記)
 
2012年4月12日付の大分合同新聞紙面に、報告書記載内容に関する上記以外の記事が、下記趣旨で掲載されていた。
 
報告書では、酸素濃度の計測は荷役監督が各自で判断した場所や高さで測るのが慣行となっており、同社が定めた方法で行っていなかったと指摘した。
事故時は、荷役監督が作業直前に一人で酸素濃度を計測したとみられるが、センサーをどのくらいの深さに下して測ったかなど、詳細な状況は、この男性が死亡したため特定できなかったとしている。
 
報告書では、両社に対し、「従業員に対し、銅精鉱の性質や危険性を教育すること」など、再発防止を求める勧告をした。

 


(2012年11月21日 修正3 ;追記)

2012年11月20日22時44分にNHK大分から、11月16日0時25分に共同通信から、関係者が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

警察は20日、現場での安全管理が十分に行われていなかったなどとして、当時、荷役会社の安全衛生管理者で会社役員だった61歳の男、荷役会社の荷役課長、死亡した3人のうちの1人で現場責任者だった男性(当時48)の3人を業務上過失致死の疑いで書類送検した。

警察は、現場での安全管理が十分行われていたかどうか捜査を進めてきた結果、救助に入った2人が空気の入ったボンベを身につけていなかったことや作業前に船の倉庫内の酸素濃度の計測が十分ではなかったことがわかった。


出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/oita/5073630821.html
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012111501002084.html



(2013年1月12日 修正4 ;追記)

2013年1月10日0時2分にOBSニュースから、3人が不起訴処分になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

警察は去年11月、「事故防止の措置を怠っていた」として荷役会社の担当課長と環境安全室長を業務上過失致死の疑いで書類送検したが、この2人について大分地検は嫌疑不十分の不起訴処分とした。
処分の理由について田中次席検事は、「酸素の測定などで2人に直接的な落ち度は認められない」などと説明している。
また、容疑者死亡のまま書類送検された当時の現場責任者の男性も、不起訴処分となった。


出典URL
http://www.e-obs.com/obs-news/genko/DD01100022086.html

 
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無題
こんにちは。
酸素濃度計のブログつくりました。
遊びにいらして下さいね。
kashikinko URL 2011/04/17(Sun)15:13:53 編集
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問合せなどあれば記事末尾の読者通信欄に名前(匿名可)とメルアドを記入し ①確認ボタンをクリック ②記入欄に用件記入   ③確認ボタンをクリック ④内容がOKであれば送信ボタンをクリック    してください。     ちなみに「ご送信ありがとうございました」との返信がありますが。それは通信欄会社からの自動メッセージですので、ご留意ください。
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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