本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。 それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。 本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。 一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。 (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2012年5月31日付で東京新聞から、また5月30日12時51分に毎日新聞から、それぞれ写真付で下記趣旨の記事がネット配信されていた。
川口市柳崎一の「S化学」川口工場で29日午後、円筒状の薬品タンクを清掃中の男性作業員4人が体調不良を訴え、うち2人が一時、意識不明の重体になった事故。
工場では30日、工場長らが会見を開くなど対応に追われた。
工場によると、清掃会社「Y」(千葉市稲毛区)の作業員4人は、約40年使ったゴム製品の劣化防止剤の貯蔵タンク3本(直径約2~3m、長さ約4~7m)を廃棄するため、29日午前9時ごろから交代で清掃し、3基目のタンクを清掃中だった。
タンク内は空だったが、毒性がある化学物質アニリンが汚れとして付着。
作業着から皮膚に浸透したか、タンク内を高圧洗浄中のしぶきが肌に付着するなどし、中毒症状を起こしたとみられる。
29日午後4時ごろ、工場長が「気分が悪い」と訴えた4人の様子を見に行くと、唇が青くなる「チアノーゼ反応」を起こしていた。立ちくらみなども見られたことから、アニリン中毒の症状と判断し、病院へ連れて行った。
警察によると、4人は快方に向かっているという。
川口労基署は「原因などは捜査中」としているが、労災事故として認定する方針。
埼玉労働局によると、記録が残る2007年4月以降、県内ではアニリン中毒による事故は報告されていない。
出典URL
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20120531/CK2012053102000134.html
http://mainichi.jp/select/news/20120530k0000e040192000c.html
また、5月31日付の千葉日報紙面には、若干違った情報が下記趣旨で掲載されていた。また入槽していたのは縦型タンクのほうだったと、写真の下に解説されていた。
午後1時ごろから午後3時半ごろまで、タンク(直径約3m、高さ4.6m)の内部に入って洗浄中、体調不良を訴えた。タンクはここ数年使っておらず、捨てるために洗っていた。
(ブログ者コメント)
□kis-netによれば、アニリンは無色あるいは淡黄色の油状の液体で水に可溶。特有の臭気があり、その許容濃度はACGIH値で2ppmと、かなり毒性の強い物質だ。
呼吸器以外に皮膚からも容易に体内に吸収されるという。
中毒時の症状も、報道どおりのことが記載されていた。
□症状を見てアニリン中毒だとすぐに判断した点から考えると、この工場ではアニリンの毒性について十分に認識していたようだ。
とすれば、清掃を依頼する際、その危険性も知らせていたと思うのだが・・・。
□アニリンが付着している機器を高圧水で洗浄していたということで、保護具としては雨合羽とエアラインマスクを着用していたことが考えられる。
しかし、なぜ4人がほぼ同時に中毒症状を呈したのか、その点が疑問だ。
直径3mのタンクに4人全員が入っていたとは考え難い。
アニリン中毒の症状は緩やかにでてくるものなのだろうか?
それとも、作業員交代のため雨合羽の脱着を4人がかりで行っていた時に、合羽に付着していたアニリンを全員が吸い込んで・・・といった感じだったのだろうか?
(2012年7月1日 修正1 ;追記)
2012年5月31日付の埼玉新聞紙面には、病院に行った時の様子が上記報道とはかなり違う、下記趣旨の記事が掲載されていた。
タンクは5月上旬まで、ゴムの劣化防止剤を生産する際に排出される化学物質の貯蔵に使用していた。
29日は午後1時ごろから作業を始め、直径約3m、高さ7mほどの円筒形タンク4本を午後3時半ごろまで洗浄していた。
3本目の洗浄中に目まいや立ちくらみの症状が表れ、4人は3本目で作業を打ち切って千葉市の会社に戻った。
55際と30歳の2人はそのまま千葉県内の病院に運ばれ、一時、意識不明の重体になったが、家族と会話ができるまでに回復した。
61歳と50歳の2人は、川口署で事情説明する前に体調が悪化し、病院に運ばれたが軽症。
川口市柳崎一の「S化学」川口工場で29日午後、円筒状の薬品タンクを清掃中の男性作業員4人が体調不良を訴え、うち2人が一時、意識不明の重体になった事故。
工場では30日、工場長らが会見を開くなど対応に追われた。
工場によると、清掃会社「Y」(千葉市稲毛区)の作業員4人は、約40年使ったゴム製品の劣化防止剤の貯蔵タンク3本(直径約2~3m、長さ約4~7m)を廃棄するため、29日午前9時ごろから交代で清掃し、3基目のタンクを清掃中だった。
タンク内は空だったが、毒性がある化学物質アニリンが汚れとして付着。
作業着から皮膚に浸透したか、タンク内を高圧洗浄中のしぶきが肌に付着するなどし、中毒症状を起こしたとみられる。
29日午後4時ごろ、工場長が「気分が悪い」と訴えた4人の様子を見に行くと、唇が青くなる「チアノーゼ反応」を起こしていた。立ちくらみなども見られたことから、アニリン中毒の症状と判断し、病院へ連れて行った。
警察によると、4人は快方に向かっているという。
川口労基署は「原因などは捜査中」としているが、労災事故として認定する方針。
埼玉労働局によると、記録が残る2007年4月以降、県内ではアニリン中毒による事故は報告されていない。
出典URL
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20120531/CK2012053102000134.html
http://mainichi.jp/select/news/20120530k0000e040192000c.html
また、5月31日付の千葉日報紙面には、若干違った情報が下記趣旨で掲載されていた。また入槽していたのは縦型タンクのほうだったと、写真の下に解説されていた。
午後1時ごろから午後3時半ごろまで、タンク(直径約3m、高さ4.6m)の内部に入って洗浄中、体調不良を訴えた。タンクはここ数年使っておらず、捨てるために洗っていた。
(ブログ者コメント)
□kis-netによれば、アニリンは無色あるいは淡黄色の油状の液体で水に可溶。特有の臭気があり、その許容濃度はACGIH値で2ppmと、かなり毒性の強い物質だ。
呼吸器以外に皮膚からも容易に体内に吸収されるという。
中毒時の症状も、報道どおりのことが記載されていた。
□症状を見てアニリン中毒だとすぐに判断した点から考えると、この工場ではアニリンの毒性について十分に認識していたようだ。
とすれば、清掃を依頼する際、その危険性も知らせていたと思うのだが・・・。
□アニリンが付着している機器を高圧水で洗浄していたということで、保護具としては雨合羽とエアラインマスクを着用していたことが考えられる。
しかし、なぜ4人がほぼ同時に中毒症状を呈したのか、その点が疑問だ。
直径3mのタンクに4人全員が入っていたとは考え難い。
アニリン中毒の症状は緩やかにでてくるものなのだろうか?
それとも、作業員交代のため雨合羽の脱着を4人がかりで行っていた時に、合羽に付着していたアニリンを全員が吸い込んで・・・といった感じだったのだろうか?
(2012年7月1日 修正1 ;追記)
2012年5月31日付の埼玉新聞紙面には、病院に行った時の様子が上記報道とはかなり違う、下記趣旨の記事が掲載されていた。
タンクは5月上旬まで、ゴムの劣化防止剤を生産する際に排出される化学物質の貯蔵に使用していた。
29日は午後1時ごろから作業を始め、直径約3m、高さ7mほどの円筒形タンク4本を午後3時半ごろまで洗浄していた。
3本目の洗浄中に目まいや立ちくらみの症状が表れ、4人は3本目で作業を打ち切って千葉市の会社に戻った。
55際と30歳の2人はそのまま千葉県内の病院に運ばれ、一時、意識不明の重体になったが、家族と会話ができるまでに回復した。
61歳と50歳の2人は、川口署で事情説明する前に体調が悪化し、病院に運ばれたが軽症。
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男性
自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。
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