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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2012年10月25日6時34分にサーチナニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
イタリアは、科学者にとって、今も居心地の悪い国だ。ガリレオの時代だけではない。

およそ400年前、地動説を唱えたガリレオは、1616年と1633年の2度にわたりローマの異端審問所に呼び出され、地動説を唱えないことを宣誓させられた。
そのガリレオ裁判と似たような判決が2012年10月22日、イタリアの裁判所で下された。


同裁判所は、2009年4月6日にイタリア中部ラクイラで300人以上が死亡した地震を適切に予測できなかったとして、科学者ら7人に求刑を上回る禁錮6年の判決を言い渡した。地震予知をめぐる実刑判決は異例のものだ。
禁錮刑とは自由刑の一種で、受刑者を監獄に拘置するが定役を科さないものである。無期と有期に分かれ、主に政治犯や過失犯について科せられる。


今回の件に対して、各国の専門家などから、「地震学者が客観的な予知がしづらくなるのではないか」、「科学者が政府に進言しにくくなる」、といった懸念や批判の声が上がっており、波紋が広がっている。

2009年4月6日午前3時32分(現地時間)、マグニチュード6.3の地震がイタリアのラクイラの町を襲った。
死者308人、負傷者は1600人に上り、レンガ造りの家屋の倒壊は2万戸以上、避難を余儀なくされた人は6万5000人という被害になった。
3年がたった今も、街には崩れた建物が残り、数1000人が避難生活を余儀なくされている。


ラクイラを襲った大地震の前に、約1年半にわたり、小規模な群発地震が続いていた。
群発地震の回数は2009年1月に69回、2月に78回、3月には100回と次第に増加し、本震の約1週間前の3月29日にはマグニチュード3.9の地震があった。


3月29日のマグニチュード3.9の地震の後、24時間以内に大地震が来ると予測し、今回の裁判の被告が所属する国立地球物理学火山学研究所(INGV)に伝えた市井の研究者がいた。ジャンポーロ・ギリアニ氏だ。

ギリアニ氏は、巨大地震の発生前に岩盤のひずみからラドンガスが漏れ出て、地中のラドンガス濃度が上がると6~24時間後に地震が発生するという事実を突き止め、ラドンガス濃度計測器を地中数か所に埋めて地震発生の場所と時間を独自に予想し、マスコミにも発表していた。

ギリアニ氏の巨大地震予知をテレビで知った多くの人々が、3月29日の夜、野外にテントを張り、一夜を過ごした。
しかし、3月30日午後に発生した地震はマグニチュード4.1で「巨大地震」とは言えず、INGVは、彼を住民に不要な恐怖を与える偽地震預言者と決めつけ、以後、彼が地震予想をマスコミに発表することを禁じた。
そうこうしているうちに4月4日、マグニチュード5.9の大きな地震が発生した。


今回の裁判の被告の1人であるボッシィ博士(ボローニャ大学教授)らは、3月30日の専門家会合で、「これ以上の地震を心配する必要はない。地震は収束に向かっている」と発表した。
INGVは緊急の会合を招集し、怯えている人々を落ち着かせるため、この地震でほとんどのエネルギーが放出され、これ以上大きな地震が発生する危険がなくなったと、安全宣言を出した。


しかし4月5日、ギリアニ氏のラドンガス濃度測定器が再度急上昇した。
その夜(6日午前3時32分)、マグニチュード6.3の本震が発生した。


全体を見ると、正確な地震予知ではないかもしれないが、ギリアニ氏が予知できた大地震の危険性を市民に知らせる機会を奪い、逆に安全宣言を出して多数の住民の大惨事を招いた被告のボッシィ博士ら著名科学者の行為は、間違った情報を流布した過失により多数の死傷者を発生させた「過失致死罪」にあたるとして、検察側は7人全員に禁錮4年を求刑していた。

検察側は、専門家会合の見解について「不完全で、不正確で矛盾したものだった」と主張していた。
アラン・レシュナー サイエンス誌出版社最高経営責任者(CEO)兼エグゼクティブは、6月にイタリア大統領に宛てた書簡の中で、この事件について深い懸念を表明した。
「自国の著名な地震学者は長年にわたり研究を行ってきた。差し迫った災害発生を市民に警告することができる地震予知の科学的な方法は、まだ実証されていない。現時点で科学に多くの期待を寄せるのは不合理である」とレシュナー氏は書いている。


地球物理学分野での世界最大の学会であるアメリカ地球物理学連合(AGU)は、裁判所の判決を非難した。
AGUは、「自然災害を理解し、関連するリスクを軽減するための国際的な努力を害するものだ。訴訟のリスクにより科学者は政府に進言しにくくなる懸念がある。また地震学及び地震リスク評価の分野に携わる人材が少なくなる可能性がある」と述べた。


さらに、責任を問われた地震のリスクを評価する国の専門家委員会を今年1月から率いるルチアーノ・マイアニ委員長は23日、判決に抗議の意思を示すため辞表を提出した。
マイアニ委員長は、辞任理由について、「このような複雑な状況では、委員会として冷静に仕事ができず、科学的な助言を国に与えることは不可能だ」と述べた。


「科学者は知っていることを共有して、知らないことを認める必要がある。刑事上の責任を負わされるかもしれないという恐れなしに地震予知を行うべきだ」とマイケル・ハルパーン氏はブログ記事に書いている。
彼は、10万人以上の市民と科学者から成る国際的な非営利団体「憂慮する科学者同盟」に所属している。


判決は、イタリアで過失致死罪の定義を拡大するのだろうか。
気象学者は、天気予報をはずしたら起訴されるのだろうか?
免疫学者は、新しいインフルエンザウイルスの流行を抑止できなければ殺人容疑をかけられるのだろうか?


イタリアの刑事裁判では判決理由は後日開示されるため、裁判所の判断の詳細は不明だ。

有罪判決を受けた科学者ら7人は「科学的な観点から可能性を示しただけで過失はなく、極めて不当な判決だ」として控訴する方針だ。
地震予知の今後に影響を与えかねない裁判の行方が注目される。

  

出典URL
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1025&f=it_1025_001.shtml
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
□この記事を読むまでは、なんとも浮世離れした判決を出した裁判官よ・・・と思っていたが、そう単純な話しでもなさそうだ。
判決文は後日ということだが、予知が外れたからではなく、ギリアニ氏の予想をマスコミに発表することを禁じた措置が、国民の知る権利を阻害したと判断された可能性もある。
 
□今回の騒動で思い浮かんだのが、今年8月に本ブログに掲載した電気通信大学の研究だ。
従来の伝統的研究から外れた異端の研究には、どの国でも冷たい風しか吹かないということかもしれない。

 
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