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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(2010年12月2日 旧ブログ掲載記事)
 
2010年12月1日夕刊として毎日新聞東京版から、また同日12時50分に読売新聞から、14時56分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
新宿区の帝都典礼ビルの荷物用エレベーターで、09年2月、かごが来ないと開かないはずの手動扉が開き、乗ろうとした男性(当時74歳)が転落して死亡した事故で、国土交通省の事故対策委員会は、1日、調査報告書を公表した。

報告書では、扉を開けようとすると施錠が解除される方向に力が加わる構造上の問題があったと指摘。部品図と異なるバネが使われていたために扉をロックする力が弱かったことなども加わって扉が開いたと結論づけた。
 
要旨は下記。
 
①施錠装置は、扉側と壁側に取り付け荒れたフックを噛みあわせて手動で開閉する構造。
かごが到着すると、かみ合っていた鉄製フックの一方が回転して外れ、もう一方が動けるようになって扉が開閉できるようになっている。施錠時は、バネの力で回転しないよう抑えている。
ところが、扉を開けようとすると、抑えている側のフックを回転させようとする力が働くことが判明した。

②さらに、バネの巻き数が本来の半分の「5」しかなく、設計上の力を出せないことが分かった。また、フックが摩耗したりオイルなどの汚れが付着していたりして摩擦力が低下していたため、外れやすい状態になっていた。
エレベーターは「三精輸送機(吹田市)」が製造し、保守作業もしていたが、部品図と異なるバネが何時、付けられたかは不明。事故直前の定期点検は08年3月で、異常なしと報告されていたが、バネの巻き数や摩耗は点検項目になかった。

③同社が製造し、同型の施錠装置がある全国のエレベーター63基に使われている計220個の施錠装置を調べた結果、78個は部品図と異なるバネが使われていた。 国交省によると、同社製以外の手動式扉のエレベーター2142台のうち22台に問題があり、対策済みでない5台は運転休止中という。
 
 


(2011年6月5日 修正1: 追記
 
他事例調査中に、この事故の当時の状況について知る機会を得た。
以下は、朝日新聞(聞蔵)からネット配信されている記事の趣旨。
 
2009年2月16日(夕刊)
16日正午すぎ、地上5階、地下1階のビルで、「1階からエレベーターに乗ろうとした男性が地下に転落した」と119番があった。男性はそばを出前にきていた店主。1階のドアから乗ろうとして地下1階に落ちたらしい。
エレベーターの昇降機は5階で止まっていた。エレベーターはドアを手動で開けるタイプで、男性は約4.4m下に落ちたという。
 
2009年2月17日(夕刊)
1階の扉のロック装置に不具合があった可能性が高いことがわかった。製造元の三精輸送機によると、エレベータは700kg積載の荷物用。各階にある扉と昇降機に付いた扉を、それぞれ手動で開けて乗り降りする。
各階の扉にはロック装置が付いており、昇降機が停止した階の扉だけが開けられる。
このエレベータは、63年に製造され、翌年から使用されていた。
同社が年1回の法定点検、月2回の定期点検を請け負っており、今月4日の点検では異状は見当らなかったという。
 
2009年2月18日(朝刊)
三精輸送機によると、1階の扉は、扉上部にある金属製のフックが壁に固定されたロック装置とかみ合って施錠されている。昇降機が各階に到着すると、昇降機の一部がロック装置に接触してフックが外れ、扉を開けることが可能になる。
警察が検証した結果、扉を閉めてもロックがかからない状態になっていた疑いがあるという。
 
2009年2月19日(朝刊)
三精輸送機は、18日、ロック装置は、1964年の納入以来、45年間、一度も部品交換してない可能性があると明らかにした。同社は、製造時、ロック装置の使用年数の基準を、電気系統設備の耐久性から10年と定めていたという。
しかし、部品を交換したという記録は見つかっていない。
10年を超えても部品を交換していない理由について、同社は、「交換の判断は、年数だけでなく、使用回数や使い方にもよる。このエレベーターは使用頻度は少なく、月2回の点検でも問題はなかった」と説明した。
 


(2012年11月27日 修正2 ;追記)

2012年11月20日12時38分に毎日新聞から、同日12時5分に読売新聞から、点検担当者らが書類送検されたという下記趣旨の記事がネット配信されていた。

警視庁は20日、ビルの安全管理を担当していた当時の同社常務(60)と、エレベーター保守点検会社の契約社員(63)を業務上過失致死容疑で書類送検した。

契約社員の送検容疑は、03年1月と07年6月、点検作業でエレベーターの扉の留め金が摩耗し、かごが到着する前に扉が開く故障に気づいたのに部品交換などをせず、そのまま放置したとしている。
元常務は、故障情報をきちんと把握しなかったほか、荷物用のエレベーターだったにもかかわらず、社員や出入り業者に使用させていたとしている。

同庁によると、契約社員は、「故障は分かっていたが、扉の留め金の調整をすれば大丈夫と思った」と供述、元常務は「荷物搬送以外で使わせてはいけないことは分かっていた」と容疑を認めている。

同庁は、2人の過失が重なって死亡事故につながったと判断した。


出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20121120k0000e040205000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121120-OYT1T00726.htm

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魚田慎二
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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