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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20215101122分にYAHOOニュース(水難学会会長の寄稿文?)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

59日午後、香川県丸亀市のため池に釣りに来ていた小学1年生の男の子と33歳の父親の2人が死亡しました。

なぜ、ため池に落ちると命を落とすのでしょうか。
繰り返される事故に、どう対処すればよいのでしょうか。

 

【事故の概要】

9日午後340分頃、香川県丸亀市綾歌町のため池で、「人が落ちている」と近隣住民から110番があった。

駆けつけた救急隊員が、水中に沈んでいる男性(33)と、水面に浮かんでいる小学1年の息子(6)を発見。
男性は現場で、息子は搬送先の病院で、いずれも死亡が確認された。

丸亀署の発表によると、ため池の水深は約6メートル。
周囲に柵はなかった。

父子で釣りに来ていたが、帰宅が遅いため妻が現場に行き、息子を見つけ、近くの住民が通報したという。

同署は、誤って転落した可能性があるとみて調べている。

(記事中の氏名等を筆者が改変) 
最終更新:5/10(月) 9:35 読売新聞オンライン

 

筆者が現場を直接確認しているわけではないのですが、様々なメディア情報が正しいとすれば、ため池における典型的な後追い沈水とみることができます。

【参考】河川・湖沼池の多人数水難 原因は後追い沈水

 

同様の事故は、過去からずっと繰り返されています。

例えば、201671日に宮城県大衡村で発生した、父子3人が犠牲となったため池水難事故をあげることができます。


大衡村の八志沼で、釣りをしていた父子3人がいなくなったと母親から110番通報があった。

宮城県警大和署によると、沼の中から3人が見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。

過って転落したとみている。(中略)

車内に残っていた母親が、釣りをしていた3人のところへ向かったところ、姿が見えなくなっていたという。

2016年7月2日 21時04 朝日新聞デジタル

 

わが国におけるため池水難事故については、農林水産省がデータとしてまとめています。

平成22年から令和元年までの間に、毎年20人から30人がため池転落で命を落としています。

 

【宮城県大衡村八志沼での事故調査】

水難学会では、2016829日に水難事故調査委員会(安倍淳委員長)を現場に派遣して、事故調査を行いました。

その結果については、すでに宮城県内において会見を開き、報道発表しています。

八志沼は、すぐ近くを通る道路から徒歩で降りるだけで、岸に簡単にアクセスできました。

日頃から釣りをする人が絶えなかったそうです。

このため池にはコンクリートの斜面が形作られています。

漏水や斜面崩落を防ぐために、コンクリートやゴムなどで斜面が保護されているのが、一般的なため池の構造となっています。

陸から見れば、波もない、流れもない、鳥のさえずりに囲まれ、斜面も低く見える、全てにおいて安全を錯覚させるような条件を満たしています。

八志沼は、まさにその条件をすべてクリアしていました。

水難学会事故調査委員会では、現場に赤十字水上安全法指導員有資格者の救助員複数名、医師を配置し、各種実験を行いました。

動画1をご覧ください。
現役の水難救助隊員が斜面を登り降りしています。
乾燥した斜面では、歩行に何の支障もありません。
ところが、足を水に少しだけ浸けたら、滑って、いっきに池に吸い込まれました。
数秒もたたないうちに背の立たない深みにもっていかれています。
 『動画1』

動画2では、自力で上がろうとしています。
途中まではいいのですが、腰が水面に出るくらいの地点で足が滑り、それ以上は上がれません。
無理すると、むしろ、より深い方に体がもっていかれます。
勢いをつけて上がろうとすると、反動で、より深い方にもっていかれ、呼吸を確保できなくなれば、そこで溺水します。
 『動画2』

子供が先に落水したらどうでしょうか。
当然、大人が助けに池に入ることでしょう。
そして、子供を陸に上げようとしますが、上げることができるでしょうか?

動画3をご覧ください。
ポリタンクに水を入れています。重さはほぼ18 kgになります。
小さいお子さんの体重を想定しています。
お父さん役が頑張って上げようとしていますが、かないません。
そして、最後はポリタンクを水没させてしまっています。
これこそ、現世の地獄です。
『動画3』


【どうすれば命を落とさずに済むか】

とにかく、ため池には近づかないこと。これにつきます。

ため池は構造上、人が入ることを想定していません。

一度滑って落ちれば、這い上がることができない構造になっていると考えてください。

救命胴衣を着用していれば、水に沈むことはありません。
呼吸は確保できます。

でも、6月ー9月の時期を除けば水温が低くなり、発見されるまで浸かっていると、そのうち低体温となり、命を失います。

救助用のロープがあれば、どうか。

ため池の中にいて意識がある人を発見したら、すぐに119番通報をしてください。

救助隊の到着が遅れるようであれば、動画4のようにしてロープにつかまってもらい、陸にあげることができます。

ただし、素手では絶対に引き上げようとしないこと。
同じように池の中に引きずりこまれます。
『動画4』


【ため池の安全対策】

多くのため池で、フェンスなどで囲んで人が侵入しづらくしています。

でも、これは単なる気休め。

そのうち、あちこちが自然に壊れたり、人為的に壊されたりして、人が侵入してきます。

「侵入する人が悪い」という気持ちもよくわかりますが、実は、ため池の管理者も落ちて命を失っています。

要するに、生きて戻ることができればいいという考え方で、水難学会では樹脂ネットを利用した自己救命策を考案し、宮城県内を中心に普及を始めています。

動画5をご覧ください。
被験者の男性がため池に落ちて、背浮きで岸に近づきました。
岸に到達したら、ひっくり返り、ネットを手でつかみました。
そして、手でネットをつかみながら、足をネットにかけ、手足で斜面を登っていきます。

樹脂ネットは何でもよいわけではなく、ため池の自己救命用に適切なネット素材、固定方法がありますので、詳細につきましては、水難学会にお問い合わせいただければと思います。
『動画5』


【さいごに】

父子や兄弟で亡くなる水難事故が絶えないため池。
危険ですから、釣りを含めて、不用意に近づいてほしくないと思います。

さらに、管理されている皆様にも、できるだけコストをかけずに、しかも命を守る効果のある方法について、一度考えていただければと思います。

https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20210510-00237132/  アカスミ

 

5121322分にYAHOOニュース(Real Sound)からは、上記の水難学会動画が511日、ユーチューブで1位になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

普段はエンタメ系の動画が上位を占めることが多いYouTubeの「急上昇動画」ランキングにおいて、511日に「ため池からの這い上がり」という動画が1位となり、12日現在もランクインを続け話題を広げている。

本動画はYahoo!ニュース「個人」コーナーで10日に公開された記事「ため池に落ちると、なぜ命を落とすのか」https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20210510-00237132/に合わせて展開された動画で、前日に起こった香川県丸亀市での死亡事故をきっかけに、水難学会が注意喚起を行うものだ。

急上昇動画になったことで、当該記事を読んでいない層にも広く視聴されており、これからのアウトドアレジャーシーズンに向けて、高い啓発効果を発揮していると言える。

これから夏に向けての、釣りや水辺の遊びには、悲しいことに水難事故がつきもの。

なかでも「ため池」は、波も水の流れもない安心感からか、ついつい警戒心が少なくなってしまい、不用意に入ってしまうケースがあるという。

その危険性を伝えているのが、「動画1 ため池に落ちる様子」だ。

一見なんてことのない水面だが、足を水に少しだけ浸けたら、滑って一気に池の中へと吸い込まれていった。
わずか数秒で、肩の位置に水面があることがわかる。  

そして怖いのが「動画2 ため池からの這い上がり」だ。

普段から鍛えているであろう、現役の水難救助隊員が自力で上がろうとしているが、腰が水面に出るくらいの地点で足が滑り、それ以上は上がれなく、「もう限界です」と周囲に告げていた。

概要欄には「無理すると、むしろ、より深い方に体がもっていかれます。勢いをつけて上がろうとすると、反動でさらに深い方にもっていかれ、呼吸を確保できなくなれば、そこで溺水します」と記載されている。  

動画のコメント欄には「ため池=アリ地獄」と書かれているが、正にそんな感じ。

また、「これくらいの斜面、もし子供が落ちたら、助けられると思って自分も入っちゃうかもしれないな…」というコメントもあったが、この発想こそが“危険”と感じられる動画となっている。  

「動画4 ロープ1本でため池から上がれるか」の概要欄には「ため池の中にいて意識がある人を発見したら、すぐに119番通報をしてください」とした上で、救助用のロープが傍にあった場合、「救助隊の到着が遅れるようであれば、動画のようにしてロープにつかまってもらい、陸にあげることができます。ただし、素手では絶対に引き上げようとしないこと。同じように池の中に引きずりこまれます」と、二次被害を出さないための注意書きがなされている。

いずれにしても、ため池の危険性がリアルに感じることができる動画だ。  

繰り返されるため池の事故。

“どうすれば命を落とさずに済むか”と考えたら、とにかく、ため池には近づかないことが、なにより大切なことだろう。

「記事を読む」より、「動画を見る」ほうが気軽で、シェアしやすい面もあるだろう。

ぜひ、この動画をチェックして、ため池の危険性を身の回りの大切な人に伝えよう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4e291283628fcb6dd5b5677cd44efe5e4494f513 


(ブログ者コメント)

ため池への転落事故は、市原市の山倉ダム事例を含め、本ブログでも何件か紹介している。

 

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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