2017年8月6日17時17分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県君津市の消防団が、深刻な運営資金不足に陥っている。
これまでは、市が団員の報酬をまとめて消防団分団に支払い、それを運転資金にしてきた。
ところが、給与や税の手続きに使われるマイナンバー制度の導入に合わせて、今年度から団員に直接支払うようにしたためだ。
他の自治体でも同様の事例があり、後継者不足のなか、難しい問題になっている。
昨年12月にあった市消防委員会。
報酬の支払い方法の変更を前に、消防団員らから懸念の声が相次いだ。
ある消防団長は、「活動費がないからといって、団員にお金を出してくれとは言いづらい。団員の意気込みが損なわれるのが一番怖い」。
委員の一人は、「一度、個人口座に入ると、奥さんが握ってしまう。また返すと消防団のイメージが悪くなる。今の時代、こんなことをしていると、団員の後継者が出てこない」と嘆いた。
消防団員は、普段は会社員や自営業者として働きながら、火災時に現場に駆けつける特別職の地方公務員。
君津市のような、農山間部が多く面積の広い市にとっては、なくてはならない存在だ。
43分団883人が、災害の際の河川の点検、安否確認も行っている。
市は昨年度まで、年2万1千円の報酬、年6千円の打ち切りの出動手当を各分団にまとめて拠出していた。
多くの分団がこれをプールして、市から出る運営交付金数万円を加えて運営資金にしてきたという。
現職の消防団長に聞くと、ホースなど備品の修理だけで、昨年は50万円ほどかかった。
出動すれば、冬にはカップラーメン、夏はペットボトル入りの飲み物を配る。
忘年会の補助に使ったこともあるという。
「幹部が自腹を切る場合も多いが、グレーな使い方なのは否めない」としつつ、「報酬が少ない中でこうして運営し、士気を上げてきたのも事実」と、「個人払い」への変更に頭を抱える。
市はこうした実態を踏まえて、1分団当たり一律20万円の補助を含む運営交付金845万円を、6月市議会で可決された一般会計補正予算案に盛り込んだ。
ただ、消防団長は「全然足りない。分団の幹部が自分の報酬などを団に入れる形にするところが多いと聞いている。うちもそうするしかない」とこぼす。
そもそも、消防団員の報酬の扱いや額は、自治体によって異なる。
県の2016年度消防防災年報によると、報酬年額は1万6千円~5万円、火災の出動手当は1回0円~7千円と千差万別だ。
分団に人数分をまとめて渡す自治体がある一方で、独自に運営費を補助する自治体もある。
君津市の近隣では、袖ヶ浦市が昨年から個人渡しにする一方で、分団に年130万円を補助。
木更津市は分団にまとめて渡し、補助はない。
「報酬は分団を通じて個人に渡っているはず」という。
団員のなり手が減る中、団を存続する上で、運営費や報酬の扱いは喫緊の課題になっている。
君津市消防本部の小泉・消防総務課長は、「備品整備などは相談して欲しい」とした上で、財政難に直面する団の運営について「消防団側とも話し合っていきたい」としている。
出典
『マイナンバー導入、消防団ピンチに 報酬をプールできず』
http://www.asahi.com/articles/ASK7J6JQLK7JUDCB028.html
(ブログ者コメント)
団員の方々は訓練や行事などに休日返上で取り組まれていることと思うが、それが年間数万円の報酬だったとは・・・。
それも、ほとんどが運営費に消えている由。
今回の記事を読み、ボランティア精神に頼るだけでは、団の維持管理はますます難しくなりそうな気がした。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。