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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011年11月16日付の朝日新聞長野版、毎日新聞長野版、読売新聞長野版、信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

駒ヶ根市の県立駒ヶ根病院建設現場で大型クレーンが倒れて作業員4人が死傷した事故で、警察は15日、安全管理者や現場のオペレーターの過失が重なって事故を招いたとして、元請けの建設会社「Y社」の統括安全衛生責任者N(46)ら4人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。

下請けの起こした事故で元請けの刑事責任が問われるのは異例で、警察は事故防止の責任を重視した。
他に送検されたのは、下請けのクレーン工事会社「O社」取締役で安全管理責任者のD(46)、クレーンを操縦していた同社社員H(46)、つり荷の掛け外しをしていた孫請けの建築会社員T(67)の3容疑者。

事故は昨年2月22日午後2時35分頃に発生。
クレーンが制限荷重(330kg)の2倍を超す廃材(60本、約850kg)をつり上げる際に2階部分に倒れ、会社員(当時30歳)がアームの下敷きになって死亡し、他の3人も重軽傷を負った。

クレーンの制限荷重は作業半径やアームの長さ、角度で変わる。
事故当時、クレーンは安全性能を超える作業半径で、アームをほぼ最大の57mに伸ばし、限界角度の55°を下回る約41°の状態で大量の廃材をつり上げ、前のめりに倒れたという。

クレーンを操縦したHは制限荷重を超すと自動停止する安全装置を解除し、つり荷担当のTも制限を超える重さの廃材をクレーンにつるした。
警察は、作業していたHとTの過失を認めた上で、現場責任者だったNが、作業計画の確認や適切な指導をせずに作業をさせた過失があると判断。 下請けの安全管理責任者のDも安全装置の解除を黙認したとし、4人の過失の競合が原因とした。

Nは「安全管理義務は果たしていた」と否認し、3人は過失を認めているという。
また、伊那労基署は15日、危険防止を怠ったとして、元請けの「Y社」など3社と、安全管理責任者のN、Dら3人を労安法違反(危険防止措置義務違反)容疑で書類送検した。
Y社側は「元請けの安全管理責任は果たしていた」などとして争う姿勢を見せている。


(解説
;朝日新聞

今回の現場所長の書類送検には、同種事故の再発防止へ全国の元請け業者に警鐘を鳴らすという点で、大きな意味がある。

日本クレーン協会の年鑑によれば、移動式クレーンの転倒事故によって、2005年からの5年間で40人が亡くなっている。
労働安全衛生総合研究所の分析では、死傷者は年間100人前後で、2大原因の一つが「過荷重」だという。
今回の事故もまた、大幅な重量オーバーが原因だった。

クレーンには通常、過負荷防止装置がついている。定格荷重と呼ばれる制限を超えるとアラームが鳴り、自動停止する仕組み。
だが、今回の事故の現場では、切ってあったと認定された。

あるクレーン業界関係者は「車の運転で必ずしも制限速度が守られていないのと同じようなもの」と、装置の解除が常態化している現場の実情を証言する。
県内の元請け業者によれば、現場では作業前に、その日の作業場所での安全な作業半径や定格荷重を確認する。元請け会社も立ち会うか報告を受けるという。
この業者は「明らかな過荷重なら、(元請けの現場所長の)巡視でも見抜ける筈」とし、今回の書類送検について「元請け側の責任が問われるのは厳し過ぎるとは思わない」と話す。

実際、全国的にも、元請け業者の責任を明確化する動きが広がりつつある。
北海道労働局は、08年2月の局長名通達で、クレーン転倒事故の大半は過荷重と過負荷防止装置の解除などが原因と指摘。転倒の恐れがある現場では、下請け業者と共同して危険防止措置を講じることが元請け業者の責務とした。

東京麹町で09年、クレーンが横転して通行人が死亡した事故では、中堅ゼネコンの2人が「死傷事故の発生が予測できたのに、朝礼で安全指導を行い、クレーンの転倒を防ぐ注意義務を怠ったとして、業務上過失致死罪で起訴された。

全国的に同種事故が多発する中、元請け業者にはどの程度の注意義務が課せられるべきなのか。 現場の実情を是正する意味からも、「厳重処分」を求められた検察側が起訴するか不起訴にするかが注目される。


出典URL■■■
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ちなみに、事故当時の状況を伝える記事は下記。

「2011年2月21日 朝日新聞長野東北信版(聞蔵)」

クレーンが倒れたのは2月22日午後2時40分ごろ。
角材を吊り上げる途中でバランスを崩し、アーム部分から前向きにつんのめるようにして倒れた。

倒れたクレーンは、アームで資材を運ぶ場合は、制限荷重の95%に達した時点で警報音が鳴り、100%で自動的に停止する仕組みになっていたが、関係者によると、安全装置は当時、解除された状態だったという。

アームが倒れ込んできた付近では、16人が作業中だった。このうち、現場の撮影準備をしていた建設会社社員(当時30)がアームの下敷きになって死亡、3人がアームに接触して肩の骨を折るなどの重傷を負った。
現場は病院の新築工事中。隣接する別の棟はまだ使われており、一歩間違えば、入院患者らも巻き込まれるところだった。

警察は、業務上過失致死傷の疑いで捜査を始めた。
捜査の焦点は、元請けの責任まで問われるかどうか。 主なポイントは、以下の2点。
 ①現場に常駐していた責任者が、無理のある危険な作業(過荷重と安全装置の解除)を認識していたか  
 ②クレーンの選択に問題はなかったか

元請けのY社は、現場全体で5人の責任者を常駐させ、工程管理や安全管理をしていた。 責任者は作業の危険性を認識し、事故の発生を予見することができたのか。

事故直前のクレーンを目撃していた作業員は、警察の調べに「あんなに吊って大丈夫かと思った。自分なら半分しか吊らない」と話したという。
警察は、作業員の証言を、業界の常識や作業員の経験則に照らしても、行き過ぎた過荷重だったことを裏付ける証拠として重視。 現場責任者には、荷重を減らすよう安全指導すべき義務があったのに、それを怠って危険な作業を見過ごし、事故を招いた可能性があるとの見方を強めている。

警察は、クレーンの選択に問題がなかったかについても調べている。
移動式のクレーン(最大荷重65トン)を使っていたこと自体に問題があったのではないかというのだ。
県内の建設業者は、朝日新聞の取材に対し、「安全性の高い設置式のタワークレーンを使うべきだった。移動式でも、65トンより能力の高いクレーンのほうが適していた」と語る。
この業者によると、タワークレーンは現場に設置して使うので安全性が高いが、
・設置や撤去に日数がかかる
・使わない期間もリース代がかかり続ける
・移動させて使えない
といった欠点があるという。
また、最大荷重のより大きな移動式クレーンは、その分、リース代も高くなるという。

「現場に合ったクレーンを選ぶべきだが、入札では価格が重視される。工期の短縮や安くあげることを優先してしまったのかもしれない」。この業者は、そう指摘する。



「2010年2月24日 朝日新聞長野東北信版(聞蔵)」

事故当時、コンクリートを流し込む型枠を支える木材(1辺9cm、長さ約4m)を複数束ね、クレーンを使って建物の外から約30m離れた地点に運んでいた。
クレーンのアームが通過する際、周囲に人がいないことを確認することになっていたが、死傷した4人の作業員のうち、少なくとも3人は、この範囲外にいたという




(ブログ者コメント)

過去に過負荷防止装置を解除して事故になった事例を調べたところ、以下の2件が見つかった。時間をかければ、もっと見つかるのだろう。
    
 ■■■
       ■■■

過負荷防止装置を解除できる権限は監督にのみ与えるようにすれば、過荷重による事故は防止できるだろう。
実際、装置産業では、安全装置に関し、そのようにしている企業も多い。

移動式クレーンで、それができない、できにくいのは何故だろう?
工期重視の建設現場で、ギリギリの条件で吊り上げている途中に過負荷防止装置がしばしば作動し、その都度、監督を呼んでいるようでは仕事にならない、といった事情でもあるのだろうか?
それとも、一次下請け、二次下請け、三次下請けと繋がる、仕事の構造的な問題から、そのような体制はとれないのだろうか?

しかし、一旦、事故が起きてしまえば、工期はあってなきが如しだ。
1日の工期延長を防ごうと無理した結果が、100日の工期延長になるかもしれない。




(2013年7月4日 修正1 ;追記)

201372日付で信濃毎日新聞から、721249分にNHK長野から、73日付で読売新聞から、クレーンを操縦していたH被告の初公判で弁護側は事故は過失が競合したために発生したと述べた、元請けの責任者らは不起訴になったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

業務上過失致死傷の罪に問われたH被告の初公判が2日、長野地裁で開かれ、H被告は起訴内容を認めた上で、「安全装置を外したのは私の判断だが、その時点では事故を予測していなかった」と述べた。


検察側は冒頭陳述で、H被告が操縦していた65トンのクレーンの限界作業半径は40.8mで、つり上げ可能な重さはフックを除いて280kgだったと指摘。

また、運転室のモニター表示で作業半径がクレーンの性能を超えていると認識していたが、より多くの荷をつり上げ、早く作業を終わらせたいという工事関係者の期待に応えたいとの考えなどから、安全装置を解除したまま計852kgの資材をクレーンから限界作業半径を超えた43.5mの距離からつり上げた、これまでの経験から事故を回避できると考えた、と指摘した。


弁護側は冒頭陳述で、事故当時、H被告の目の前には一部完成した病院の壁があり、別の作業員がクレーンにどの程度の資材を取り付けたのかは目視できなかった、と主張。

また、クレーン作業は、フックにつり荷をかける職人と協力して作業するが、事前の打ち合わせ会議にO社の責任者を呼ばないなど、元請け会社のY社が現場の作業員に任せ、安全管理態勢を十分に整えていなかったなどと主張し、「過失が競合して発生したもので、被告一人に帰責するのは相当ではない」と述べた。
また、死傷した4人とは示談が成立しているとした。

 

別に送検されたY社の当時の統括安全衛生責任者ら3人は、不起訴となった。


出典URL

http://www.shinmai.co.jp/news/20130702/KT130702FSI090003000.php

http://www.nhk.or.jp/lnews/nagano/1015669481.html?t=1372797354818

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20130702-OYT8T01225.htm




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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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