2017年2月17日付で朝日新聞静岡版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中部電力は、16日、浜岡原発のフィルターベント建設で起きた施工不良について、調査結果を公表した。
フィルターベントは、事故時に原子炉格納容器を守るため、高温高圧のガスを外部に出す際、放射性物質を低減させる設備。
施工不良は、国の新基準に伴って4号機と3号機に建設中の、フィルターベントのフィルターを収納する鉄筋コンクリート製のベント室で見つかった。
ベント室に水を張るための配管の支持や、はしごの溶接のために壁に埋め込む板状の金物が加工され、強度が不足する状態になっていた。
調査の結果、4号機の金物504枚中57枚が加工され、36枚については点検ができなかった。
3号機は、601枚中62枚が加工、1枚が点検不能だった。
加工されたり点検不能だったりした金物は、別の工法で強度を確保するという。
4号機のフィルターベントは、2016年9月の完成を目指していたが、大幅に遅れる。
中部電は、品質を確保する意識の不足や、工程遅れを避けようとする意識が原因とし、適切に行われているかどうかの確認も不足していたと説明。
対策として、記録作成のルール化と指導の徹底、課題の共有化などに取り組むとした。
2017年2月16日18時57分にNHK静岡からは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
御前崎市にある浜岡原発で行われているフィルターベントと呼ばれる安全装置の設置工事で、部品の一部が所定の位置とは違うところに取り付けられ、強度が保たれていない可能性があることがわかり、中部電力は補強工事を行うことにしている。
設置に問題があったのは、フィルターベントから伸びる配管を支えるための金属製の部品で、コンクリートの壁に埋め込むことになっている長さ20cmほどの棒の部分が途中で曲げられたり、所定の位置とは違うところにつけられていたという。
こうした不適切な部品の設置は、3号機で62か所、4号機で57か所確認されていて、強度が保たれていない可能性があるという。
工事を請け負った業者からは、「コンクリートの中の鉄筋の密度が高く、所定の位置に設置するのが難しい」という相談が寄せられていたということで、中部電力静岡支店の西田・原子力グループ部長は、「指摘があったにも関わらず、問題を解決せずに工事を進めてしまった。部品の重要性を関係業者と共有していきたい」と話していた。
出典
『浜岡原発で不適切な部品設置工事』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/3033948731.html?t=1487279853021
2月16日12時33分に静岡新聞からは、やや詳しい記事が下記趣旨でネット配信されていた。
浜岡原発4号機のフィルター付きベント(排気)室で配管を固定する金具の不適切な施工が見つかった問題で、中電は16日、3、4号機で同様の金具計1105カ所を調べた結果、119カ所で不適切な施工が見つかったことを明らかにした。
御前崎市と同市議会、静岡県に、それぞれ説明した。
中部電によると、金具は、放射性物質を取り除くための給水配管を支えるもので、30cm四方のプレートに長さ22cmの足が4本付いて、テーブル状になっている。
ベント室の建設時、鉄筋の間に足の部分を差し込み、プレートの表面を露出してコンクリートを打ったが、鉄筋の密度が高く足の部分が入らず、作業員が足を切断し位置をずらして付け替えたり、足の角度を許容値以上に曲げたりしていた。
不適切な施工が見つかった昨年8月以降、超音波による非破壊検査を実施。
3号機で金具計601カ所のうち62カ所、4号機は504カ所のうち57カ所で、それぞれ不適切な施工が見つかった。
構造上点検ができなかった金具が、別に計37カ所あった。
コンクリートを打つ前に、金具が適切に施工されていることを確認する記録を取っていなかったことや、中電が請負会社に示した金具の設置に関する要求事項が作業員まで伝わっていなかったことが、主な原因とした。
不適切な施工が確認された箇所では、アンカーを用いた金具を設置し、強度を確保するという。
4号機で先行して進め、今秋をめどに終わらせる。
4号機のフィルター付きベントは、昨年9月末の完工予定だった。
浜岡原発3、4号機のフィルター付ベント設置工事で不適切な施工が見つかった問題で、中電が16日に県庁で行った説明に対し、県側からは厳しい指摘が相次いだ。
外岡・県危機管理監は、「検査体制の合理化を進める中で、安全性確保の意識が十分でない部分があったのでは」と指摘した上で、「いま一度、安全への認識を現場と共有し、不具合が判明した場合はしっかり公表する姿勢を保ってほしい」と求めた。
出典
『不適切な施工119カ所 浜岡原発3、4号機ベント金具』
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/hamaoka/329573.html
(ブログ者コメント)
〇NHKで報じられた部長の話し、詳しくは下記。
「請負の皆さんからも、非常に難しいし行程的にも厳しいという意見をいただきながら解決できなかったことは、非常な教訓だと思っている。埋め込み金物そのものの重要性も社内で伝承していきたい。」
〇中部電力HPに掲載されている資料は下記。
https://www.chuden.co.jp/resource/ham/290216fvumekomikanamono.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。