2017年2月16日12時0分に日経テクノロジーオンラインから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
落雷の直撃により、33枚もの太陽光パネルが損傷したメガソーラー(大規模太陽光発電所)がある。
空に向かってタワー(支柱)やブレード(羽根)の伸びる風力発電設備は、国内に導入以来、落雷被害に苦しんできた。
一方、野立てのメガソーラーに直接雷が落ちることはほとんどないと思われてきた。
だが、必ずしもそうではない。
雷による電気機器への被害には、「直撃雷」と「誘導雷」がある。
「直撃雷」は、その名の通り、建物や機器に、直接、雷が落ちる。
「誘導雷」は、近くに雷が落ちた際、電磁界が発生し、その電気的エネルギーが空間を伝搬し、電気機器の定格を大きく超える電圧がかかり、損傷することなどを指す。
一般的に、雷は背の低い構造物には落ちにくい。
とはいえ、地面にパネルを並べた太陽光発電所のような設備でも、敷地が広く周囲に避雷針などがないと、雷が落ちることもある。
実際に直撃雷に打たれ、多数のパネルが損傷したケースを紹介する。
その太陽光発電所は、特別高圧送電線に連系する数10MWのメガソーラーで、緩やかな丘陵に位置する。
落雷の被害に気付いたきっかけは、ストリング監視モニターによるアラーム(警報)だった。
ストリング(太陽光パネルの直列回路)の電流が「ゼロ」になったことを知らせるものだった。
当初、単なるヒューズ切れだと判断し、接続箱を開けてヒューズを交換し、ストリングをオンにし、クランプ電流計で電気が流れていることを確認した。
その上で、ストリング監視モニターを確認すると、依然として電流は「ゼロ」のままだった。
再度、現地で該当のストリングの電流をクランプ電流計で確認すると「マイナス電流」だったことから、電流が逆流していると考えられた。
異変を感じた保守担当者が周辺を目視点検すると、アレイ最上部に設置した太陽光パネルのフレームに1cm程度の黒い焦げ跡があり、その近くのパネルの接地線(アース線)が外れていた
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今回の直撃雷の被害では、ストリング単位のモニタリングと、ストリング単位で開放電圧と抵抗値を測定できる検査機器、パネル内での電流の不通箇所を特定できる検査装置を導入したことで、早期に故障パネルを特定し、交換できた。
また、ストリング監視モニターでは気付かないストリングにも、故障パネルが発生していることも明らかになった。
メガソーラーのO&M(運営・保守)にとって、監視装置に加え、測定機器の重要性がますます高まっている。
出典
『「直撃雷」でパネル33枚が破損したメガソーラー バイパスダイオードが大電流でショート』
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302961/021400042/?P=3
(ブログ者コメント)
風車への落雷トラブルは、本ブログでも何件か紹介している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。