2019年1月19日18時50分に日本経済新聞(電子版)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
いやが応でも目を引く金髪にしたのは6年前。
「もっと目立つかな」ぐらいで、特に理由はない。
むしろ、騒がしいのは周りの方。
「金髪の言うことなんて信じられない」との言葉も耳に届くが、名古屋大学准教授で教育社会学者の内田良さん(42)はスタイルを変えない。
「外見や肩書にとらわれず、内容で判断してほしい」と思うからだ。
生徒1人にかかる負荷は200kg超――。
2014年、運動会の組み体操で「ピラミッド」が巨大化している危険性を、数字とともに指摘した。
学校現場や教育研究者、ワイドショーまで巻き込む議論となり、16年にはスポーツ庁が、全国の教育委員会に安全対策を求める文書を送付。
全面禁止に乗り出す自治体も現れ、事故は急速に減った。
教育現場の常識を疑い、水泳の飛び込みや柔道での死亡事故など、数々の問題を統計データや事例を分析して提示。
「ブラック部活動」と、刺激的な表現で関心を引く。
教員や保護者に早く、広く伝わるよう、学術誌だけでなく、交流サイト(SNS)も駆使する。
思えば、学校の「当たり前」には昔からなじめなかった。
勉強も部活も、残さず食べねばならない給食も、強制されるのを人一倍嫌った。
高校では英語と数学しか勉強せず、国語や日本史のテストは赤点続きだった。
得意科目を生かして名大経済学部に進んだが、経済学には興味がわかない。
一方で、教養科目の「差別論」で、社会が抱える矛盾に衝撃を受けた。
就職先を探す周囲の男子をよそに、「なぜ主夫という選択肢がないのか」と考え続ける学生は社会学にのめり込み、研究の道へと進んだ。
4年前からは、教員の長時間労働や過労死について調査。
子供たちの問題に向き合うなか、「先生だって弱い立場なんだ」と気付いたそうだ。
金髪への拒否感も相まって、以前は「うさんくさいやつ」と見られることもあった。
ただ、「定額働かせ放題」、「ブラック職員室」と断じているうち、反応は変わり、耳を傾ける教員も増えてきた。
「人生、好きなことばかりやってきた」。
だからこそ、強制や理不尽に苦しむ人の姿に敏感なのだろう。
被害者や遺族と積極的に会う。
かつては、研究者は客観的な事実だけに基づき論じるべきだと考えたが、今は違う。
同じ目線に立ち、心を揺さぶられる。
「問題を繰り返さないよう、絶対に社会を変えてやるという原動力になるんです」
■6000枚のカード集
2006年、学校現場で子供が死亡した事故の事例を約20年分集め、学生5人とカードにまとめた。
その数6000枚。
まるで墓標のように感じた。
「転落」、「熱中症」などと分類し、要因や防ぐ方法を分析した。
研究者としての原点だ。
転落死について論文にまとめたものの、08年には東京で男児が体育館の天窓から転落し、亡くなる事故が再び起きた。
幅広く社会に発信し、警鐘を鳴らす重要性を痛感した。
出典
『学校の「常識」、疑い続け 教育社会学者の内田良さん』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40215750Z10C19A1CC1000/?n_cid=NMAIL007
(ブログ者コメント)
学校関係の事故に関し、何回も専門家としての内田氏の意見が報道され、そのことを本ブログでも紹介してきた。
その内田氏に関する記事ということで、参考までに紹介する。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。