2021年7月31日8時30分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、送迎バス車内の見取り図付きでネット配信されていた。
5歳の男児が炎天下の送迎バスの中に取り残されて死亡した。なぜ起きたのか。
福岡県警によると、問題が起きた29日朝の送迎バスは40代の園長が運転し、他に職員は乗っていなかった。
バスは大型ワンボックスカーを改造したつくりで、亡くなった冬生(とうま)ちゃん(5)は後方寄りに座っていたとみられる。
園に到着して子どもを降ろした際、園長や出迎えた職員らは車内を点検しなかったという。
保護者らによると、この園では普段から園長が1人で運転することが多かった。
ある保護者は、「園長から『今は保育士がつかない形になってるんですよ』と説明をされた。ちょっと大丈夫かなと思った」と話す。
【乗車の人数確認も不十分か】
乗車人数や下車時の点呼も、普段から不十分だった可能性がある。
保護者によると、園では乗車時に名前と健康状態などを書いた紙を職員に手渡すことになっていたが、最近は、子どものバッグに紙を入れておけばいい運用になっていたという。
保育園や幼稚園の関係者からは、疑問の声があがる。
福岡県内の私立幼稚園の園長は、「ドライバーは運転に集中しなければならない。添乗者がいなければ、子どもの体調不良など、不慮の事態に対応できない」。
別の保育園園長は、「0歳時からいる保育園では、数分おきに『誰々ちゃんいる?』と確認するのが基本。どうしてこんなことが起こったのか、言葉もない」と首をひねる。
ただ、送迎バスは不特定の客を乗せる路線バスなどと違い、法的には一般の乗用車と変わらない扱いだ。
内閣府が自治体や施設向けに定めた幼稚園や保育園などでの事故防止のガイドラインにも、送迎バスの安全管理についての規定はないという。
厚生労働省の担当者は、「ガイドラインに全て書き込むことは難しいが、詳細を確認し、必要な点は対応を検討したい」と話す。
【炎天下の車内、15分で「危険」レベルに】
炎天下の車内に取り残されると、どうなるのか。
厚労省の専門委員会がまとめた報告書によると、車内に置き去りにされ、熱中症や脱水で亡くなった子どもは、2003年7月~19年3月に少なくとも25人にのぼる。
日本自動車連盟(JAF)の実験では、外気温が35度の場合、エンジンを切ったミニバンの車内の熱中症指数は15分間で「危険」レベルに達し、温度は2時間で50度に上昇した。
29日の最高気温は、中間市に隣接する北九州市八幡西区で33・1度。
JAF福岡支部の担当者は、「広いバスであっても、温度は急激に上がる」と話す。
熱中症に詳しい大阪国際大の井上芳光教授(温熱生理学)は、熱中症の事故では人手不足で目が行き届かないことが原因になることが多いという。
「人員に余裕があれば複数のチェックが働き、守るべきルールも徹底できる。保育園がどのような運営態勢をとっていたか検証が求められる」と話す。
【車内に子どもが取り残された主な事例】
2003年3月 岐阜県羽島市の私立幼稚園で、通園バスに3歳女児が4時間放置される。けがなどはなし
2007年7月 北九州市小倉北区で、保育園の送迎用ワゴン車に2歳男児が放置され、熱射病で死亡
2016年7月 栃木県芳賀町の駐車場に止めた軽乗用車内で2歳男児が死亡。熱中症とみられる
2017年9月 さいたま市岩槻区の私立幼稚園で、3歳男児が送迎バスに5時間放置される。健康上の異常なし
2019年8月 那覇市の住宅敷地内に止めた乗用車内で、3歳女児が熱中症で死亡。誤って車に乗り込んだとみられ、後部座席のドアに「チャイルドロック」がかかっていた
2020年8月 福岡県久留米市の私立保育園で、送迎バスの担当者が2歳男児を降ろし忘れ、約10分間放置。けがなどはなし
9月 高松市の駐車場に止めた乗用車内で6歳と3歳の姉妹が熱中症で死亡
(年齢はいずれも当時)
https://digital.asahi.com/articles/ASP7Z6V9KP7ZTIPE01B.html?pn=4
7月30日19時40分にNHK北九州からは、死因は熱中症だった、園に到着した際は別の職員が手伝ったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察が詳しく調べた結果、死因は熱中症であることが新たにわかりました。
警察によりますと、バスは40代の女性の園長が運転し、ほかに同乗した職員などはいませんでしたが、保育園に到着して園児を降ろす際には、別の職員1人が手伝ったということです。
園長は警察に対し、「保育園で降りたと思っていたが、確認はしていない。バスには鍵をかけた」と話しているということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20210730/5020009161.html
7月31日18時2分にNHK北九州からは、バスが公開されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は31日、送迎バスを詳しく調べた後、報道陣にバスを公開しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20210731/5020009167.html
7月31日23時36分に毎日新聞からは、泣いている子がいたりしたため降車後の車内確認をしなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
園の代理人弁護士によると、29日午前8時半ごろ、園にバスが到着した際、他の職員が園児らを園舎まで誘導。
園長は運転席から後部座席を目視で確認し、全員が降りたと誤信したという。
その後、運転席を降りて乗降口に回り、1、2歩入って車内を見た際も、冬生ちゃんが残っていることは確認できなかった。
31日の保護者会に参加した保護者によると、園長は「普段は後部座席まで行って忘れ物がないかなどの確認をする。
この日は泣いている子がいたり、1歳児を降ろしたりなどが重なり、確認を徹底できなかった」と説明したという。
代理人弁護士によると、園では勤務時間を減らして人件費を削減するため、朝の迎えのバスは園長が1人で乗り込み、2コースを運転していたという。
https://mainichi.jp/articles/20210731/k00/00m/040/383000c
7月31日20時47分に朝日新聞からは、出迎えた職員ともども車内確認しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
バスは園長の40代女性が運転し、園児7人が乗車。
午前8時半ごろ園に到着し、別の職員が出迎えて園児たちをバスから降ろした。
しかし、2人は車内を確認する手順を守らなかったという。
市によると、園長は、当時別の女児が泣いていたため「泣いている子をなだめるのに気をとられていた」と話したという。
https://www.asahi.com/articles/ASP706K81P70TIPE009.html
7月31日23時49分に毎日新聞からは、初の保護者会が開かれたが園長の説明に納得していない保護者もいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
園は31日午後6時から事件後初の保護者会を開いた。
終了後に出てきた出席者らは、園の説明に憤りをあらわにした。
ある保護者は、「園長は『普段できていることが(今回に限って)できなかった』と説明したが、到底納得できない。誰もが『言い訳だ』『うそだ』と怒っていた。これから子供を通わせるのに、不安しかない」と語気を強めた。
園児の点呼について、この保護者によると園長は「日ごろはしているがこの日だけしていなかった。園児が連絡なしに休んでいる場合も確認することになっているが、この日は園内でコミュニケーションが取れず気づかなかった」と釈明を重ねたという。
https://mainichi.jp/articles/20210731/k00/00m/040/351000c
8月1日12時45分にYAHOOニュース(九州朝日放送)からは、その日に限って出来ないことが重なるのか?と保護者会で追及されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
説明会に参加した保護者は、「日常的にはそれができているって。その日だけそんなに出来ないことが重なるのかって皆さんに言われていた」「言い訳ばかり」と話していました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3328c0a58bcb27e06bfc4dd3dc28ee6e3b40ee76
8月1日9時42分にYAHOOニュース(西日本新聞)からは、園児欠席時の保護者への確認は日頃から行っていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
園児が事前連絡なしに欠席した場合の保護者への出欠確認を、園が日頃から行っていなかったとみられることが関係者への取材で分かった。
複数の保護者の証言では、氏名や健康状態を記した紙を登園時に職員に渡す仕組みで、送迎バスの場合は園児のバッグに紙を入れることもあった。
出欠確認に使っていたとみられるが、欠席連絡を数回しそびれた保護者によると、園からの確認はなかったという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d317fec3e70a78d939021dd9eb372eb975da1fc
7月31日付で毎日新聞からは、中間市の別の4つの保育園ではすべて2人で送迎しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中間市内で送迎バスを運行する別の四つの保育園に取材したところ、4園とも、送迎は運転手と職員の2人体制で実施すると答えた。
ある保育園の職員は、「降ろし忘れを防ぐため」と語った。
市の担当課は、国や自治体の取り決めはないとしたうえで、「普通は2人体制で送迎する」と疑問視した。
https://mainichi.jp/articles/20210731/ddm/041/040/113000c
7月30日18時46分にNHK北九州からは、県は送迎時などの安全確認を徹底するよう保育施設に通知を出した、送迎時の安全管理は保育施設のマニュアルに盛り込まれていないことが多いなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受け、福岡県は、市町村を通じて県内すべての保育施設に対し、園児の安全確認を徹底するよう通知を出しました。
福岡県子育て支援課が、県内の保育園や認定こども園など、合わせて2300余りの保育施設に対して出した通知では、園児が送迎バスなどを使って登園や降園をする際、園児の人数や状況の確認を徹底することや、各保育施設で作成している事故防止のマニュアルを再度見直し、必要に応じて訂正することなどを求めています。
一方、県によりますと、保育施設の安全管理について定めている国の指針には、施設内外の安全点検に努めることや、安全対策のための体制作りを図ることなどは記載されていますが、送迎についての具体的な記載はなく、この指針をもとに各保育施設が作成しているマニュアルにも、盛り込まれていないことが多いということです。
このため、県が行う監査の対象には入らず、指導も難しいのが現状だということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20210730/5020009157.html
8月1日23時13分に毎日新聞からは、帰りのバスを運転していた担任が冬生くんの保護者が迎えに来ているのを見て登園していないことに気付いたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月31日夜に園で開かれた保護者会の音声データを毎日新聞が入手した。
約2時間にわたる会議のやりとりを抜粋し、詳報する。
・・・
帰りのバスの担当職員が冬生君の担任であり、欠席と信じたまま、他の園児を朝の迎えに使ったのとは別のバスで送りに行った。
送迎バス(の乗降場所)に冬生君の保護者が来ているのを確認し、欠席だと信じていたのにおかしいと思って職員が声をかけたところ、保護者から「登園した」と言われた。
職員が保育園に連絡し、保育園で捜し、朝の迎えに使用したバスの中で発見した。
・・・
(以降、詳細なやりとりが報じられているが、転載は割愛する)
https://mainichi.jp/articles/20210801/k00/00m/040/269000c
8月2日22時10分にYAHOOニュース(西日本新聞)からは、バス運行時の安全マニュアルは作成されていなかった、出欠管理に使うカードを園長運転のバスでは使っていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
園がバス運行時の安全対策マニュアルを作成していなかったことが2日、県と市が合同で行った特別監査で分かった。
市によると、園長が1人で送迎していたバスでは、毎朝提出される体調管理カードを保護者から直接受け取らず、園児のバッグに入れてもらっていた。
カードは出欠管理にも使うことになっていたが、実際には園児の体調に変化があるなど必要なときだけに取り出し、出欠管理には使われていなかったことも判明した。
バスは2台あり、1台は園長1人で乗車することが常態化。
もう1台のバスは付き添いの職員が乗車し、カードを受け取らないと乗れない運用になっていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fed93335acbe54c4817ee2dd8079960ecfc5af65
8月3日22時7分に毎日新聞からは、欠席連絡があった園児の名前はホワイトボードに書かれることになっていて、担任はボードに名前がないことに気づいていたが、園長らに確認しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
担任保育士が、冬生ちゃんの欠席連絡がないことを知りながらも、園内に姿がない冬生ちゃんの所在を園長らに確認していなかったことが、県と市の特別監査で判明した。
市などによると、双葉保育園では園児の欠席連絡が保護者からスマートフォンのアプリや電話を通じてあった場合は、事務員らが事務室のホワイトボードに欠席者の名前を書く仕組みだった。
欠席連絡がなく、バスの送迎中に欠席が判明した場合も、園長や保育士で作る連絡網で情報を共有し、欠席が分かった順にボードに書いていく手順だった。
しかし、担任は、登園してきた園児の中に冬生ちゃんがおらず欠席と認識。
その後、ホワイトボードに冬生ちゃんの名前がなく欠席の連絡も入っていないことを把握しながらも、園長や事務員らに「登園してきていない」と確認しなかったという。
園の関係者によると、園長も「ホワイトボードに(冬生ちゃんの)名前がないことで異変に気づけなかったのだろうか」と周囲に話しているという。
https://mainichi.jp/articles/20210803/k00/00m/040/435000c
8月4日6時0分にYAHOOニュース(西日本新聞)からは、給食の数を確定させる際にも欠席確認しなかった、2台あるうちの1台のバスは人手の関係から園長1人で運転するのが常態化していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
担任はホワイトボードやラインを見ていたが、冬生ちゃんの姿が教室になかったため、欠席と思い込んだという。
午前10時ごろ、給食の数を確定させる必要があり、在園児を把握して欠席者の保護者に連絡する職員もいたが、確認するかどうかは各自の判断に任され、この担任はしていなかった。
園の代理人弁護士によると、在園児は約140人で、バス利用者は約30人、大半は保護者が送迎していた。
園での出迎えに人手がかかるため、2台ある送迎バスのうち1台は、園長1人で運行するのが常態化していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f48508f37eb081bba1112b0d8f1f32799df6de44
(ブログ者コメント)
続々と報じられている管理不備の状況。
管理不備で起きた産業事故についても、この10分の1でいいから、続報記事を出していただきたいものだ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。