2017年1月20日0時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道の新千歳空港で、19日正午ごろ、秋田発新千歳行きの全日空1831便(ボンバルディアDHC8―Q400型)が着陸後に滑走路をはみ出したトラブルで、国交省は、深刻な事故につながりかねない重大インシデントと認定した。
全日空機は積雪の中で止まり、乗客乗員25人にけがはなかった。
国の運輸安全委員会は、航空事故調査官を現場へ派遣した。
国交省によると、全日空機は、2つあるうちのB滑走路に着陸後、滑走路の端を通りすぎて、雪の積もった草地で止まった。
減速できずにオーバーランしたか、スリップなどで左側の誘導路へ曲がりきれず、滑走路を外れた可能性がある。
ただ、止まった機体の機首は反対の右斜めを向いた状態だった。
車輪や機体に目立った損傷はなかった。
全日空の男性機長(52)は停止後、機内放送で「滑走路が凍結状態でブレーキがきかず、滑走路の末端をすぎたところで止まった」と説明したという。
だが、新千歳空港事務所がトラブル直後に滑走路の滑りやすさを調べたところ、6段階の基準で良い方から1~2番目で「着陸に支障はないレベル」だったといい、運輸安全委の航空事故調査官が詳細を調べている。
乗客は停止場所で機体から降り、バスで空港ターミナルに移動。
B滑走路はトラブルの直後から約6時間にわたり閉鎖され、影響で国内線44便が欠航した。
乗客の50代男性によると、滑走路を走行中、急ブレーキがかかったようなガタガタという衝撃があったが、「乗客は落ち着いていた」という。
全日空千歳空港支店の伊藤支店長は、「申し訳ないという気持ち。今後はパイロットへのヒアリングやデータ解析をして、原因を調べていく」と語った。
出典
『滑走路状況「着陸支障なし」 全日空機トラブルで空港側』
http://www.asahi.com/articles/ASK1M4WMHK1MUTIL01C.html
1月20日6時59分に北海道新聞からは、下記趣旨の続報的記事がネット配信されていた。
新千歳空港に着陸した全日空機が滑走路の端から外れた。
新千歳空港では、1カ月半前にも日航機が誘導路でスリップし、前輪が草地に逸脱したばかり。
冬場の航空機が着陸してから誘導路に着くまでに抱えるリスクとは―。
考えられる可能性を、元パイロットや航空専門家に聞いた。
「パイロットにとって、一番怖い気温だ」。
元日航機長で、航空評論家の小林宏之さん(70)は、発生時の気象条件に注目する。
新千歳航空測候所によると、19日正午の同空港の気温は氷点下2.5℃だった。
「凍結した路面に日光が当たり、中途半端に解けて滑りやすくなる」と説明する。
国交省新千歳空港事務所は、逸脱から約3時間前の午前8時50分ごろに滑走路の路面状態を調査している。
専用の測定車を走らせて滑走路や誘導路の滑りやすさなどを調べ、パイロットらに伝える。
当時は滑りやすさを示す6段階の指標で、1番か2番目の良好な状態だった。
全日空機が着陸した際、同空港では除雪作業のため、2本ある滑走路のうち1本を閉鎖し、東側のB滑走路だけで離着陸を行っていた。
小林さんは、「多くの航空機が短時間に発着したことで、路面が磨かれた可能性がある」と推測する。
加えて航空評論家の中村浩美さん(70)=札幌市出身=は、「冬の路面状況は急激に変わりやすい」と指摘する。
昨年12月7日に日航機の前輪が誘導路から逸脱した際、約4時間半前の調査で3番目の滑りやすさだった路面が、逸脱約1時間後には最も滑りやすい状態に変わっていた。
出典
『新千歳滑走路逸脱 変わりやすい路面/減速不十分の可能性も』
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0359648.html
(ブログ者コメント)
報じられている昨年12月7日の同種トラブルは下記参照。
2016年12月14日掲載
2016年12月7日 新千歳空港に着陸した日航機が4時間半前の情報に基づき駐機場に向かう途中、タイヤが滑り、誘導路を外れて走行不能、滑りやすさは4時間半の間に2段階アップしていた
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6569/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。