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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(1/2から続く)

 

 

【建設に向けた準備が少しずつ進んでいたさなかだった】

 

「国が建設を進めている船穂町の柳井原堰(中略)については、本体工事未着手のこの段階で見直しを行いたいと考えております」。

 

2002年6月10日、岡山県知事はダムの建設中止を、突然、表明した。

倉敷市長や船穂町長でさえ、「青天の霹靂(へきれき)だった」と言う、突然の中止宣言。

いったい何が起きたのか。

 

背景には、1968年の計画発表時から30年以上が経過し、社会情勢が様変わりしていたことがある。

 

当時の倉敷市の推計によれば、1日当たりの計画水量を32.2万トンとしていたが、実際の使用量は20万トン程度にとどまり、利水としてのダムの意義は薄れていた。

 

本来は治水対策のはずの柳井原堰だったが、倉敷市議会からは「(倉敷市に)関係があるのは(総工費600億円のうち)2割の利水。柳井原堰はメリットが本当にあるのか」という声も上がった。

 

折しも、バブル崩壊後の景気後退を受け、国は公共事業の見直しを進めていた。

 

建設省は、計画の進捗が見られないダムの建設中止を、次々と決定した。

柳井原堰は幸い、中止を免れたものの、事業主体である岡山県の財政状況も厳しさを増すなど、逆風は確実に吹いていた。

 

結局、関係自治体の間で、ダムがなくても安定して水を供給できるという結論に達し、2002年秋、柳井原堰の建設中止を中国地方整備局に正式に申し出た。

 

翌年の事業評価にて、中国地整は「中止は確定したが、高梁川ならびに小田川の治水対策を行う必要があるため、今後、早期に小田川合流点の付け替え処理等抜本的な治水対策を行う必要がある」と指摘したものの、小田川の治水対策は、事実上、振り出しに戻った。

 

その後、2005年には、政令指定都市を目指す倉敷市が真備町と船穂町を編入合併している。

 

 

【被害は軽減できた】

 

2007年8月に柳井原堰を除いた小田川の改修工事の基本方針が、2010年には具体的な整備計画が策定された。


環境アセスメントなどを経た後、2014年にようやく国交省の予算がついた。

 

この間、堤防の整備や川底に堆積した土砂の掘削など、小田川の部分的な治水工事は細々と行われたものの、抜本的な工事は今秋から始まる予定だった。

その直前に、地域一帯を豪雨が襲った。

 

国交省の計画によれば、仮に付け替え工事が完了していたら、ピーク時の水位は最大6~7m低下し、堤防の外側の土地よりも水位が高まる(洪水の危険がある)時間も、対策前の80~90時間から20時間にまで抑えられていたという。

「被害を防げたとはいえないが、軽減はできたかもしれない」(中国地整)。

 

現在は、盛り土や土嚢による仮復旧の状態。

付け替え工事は今後も進めていくが、「計画よりも早めに進めたい」(同)。

 

一度災害が発生すると対策が急速に進むことは、裏を返せば、災害が起こるまで対策は進まないことを意味する。

 

小田川の氾濫対策は、かねて警鐘が鳴らされていた。

倉敷市が公表している「第六次総合計画施策評価シート(平成29年度)」では、防災政策に関する市民からのアンケート結果として、「高い重要度に見合った満足度が得られていない領域」という評価が下されるなど、住民の中でも災害に対する懸念は根強かった。

 

それでも、政治や利害対立に揉まれた結果、計画から工事着手まで50年も要した。

 

行政評価に詳しい高崎経済大学地域政策学部の佐藤徹教授は、「どの事業も重要であるから(政策に)優先順位をつけたくない、というのが行政の本音ではないか。(優先順位を付けたとしても)結果を踏まえた予算配分を行う、という仕組みがないと予算には結びつかない」と指摘する。

 

付け替え工事の完了は、およそ10年後を予定している。

その間、豪雨に襲われない保証は、どこにもない。

 

小田川の堤防決壊は、防災政策の優先順位を高める必要性を、われわれに示している。

 

出典

真備町浸水、50年間棚上げされた「改修計画」 政治に振り回されている間に、Xデーは訪れた』

https://toyokeizai.net/articles/-/229270 

 

 

 

 (2023年11月1日 修正1 ;追記)

202310301718分に読売新聞からは、合流点の付け替え工事が進められているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

2018年の西日本豪雨で甚大な浸水被害が出た岡山県倉敷市真備町などで国土交通省が進めている小田川と高梁川の合流点を下流に付け替える事業で、同省は29日、小田川から新たな流路への通水を開始した。

今後、両河川を分離する堤防工事に取りかかり、来年3月の完成を目指す。

西日本豪雨の際には、本流の高梁川の水位上昇により、支流の小田川の水が本流に流れにくくなる「バックウォーター現象」が発生。

小田川の堤防が決壊し、周辺の約4600棟が全壊するなどした。

事業では合流点を約4・6キロ・メートル下流に付け替えることで、大雨が降っても小田川の水位は現状よりも大幅に低下し、氾濫のリスクを減らす効果があるという。

川沿いの山を20年1月から掘削するなどして新たな流路を作った。

現在、小田川と新たな流路は直径70センチの管で結ばれており、この日、管を塞ぐ土のうを重機で持ち上げると、小田川から水が勢いよく流れ込んだ。

今後、管を撤去した上で、通水箇所を広げ、今の合流点を分離する堤防も整備する。

水が通る様子は地域住民ら数十人も見守った。

地元の防災啓発団体「川辺復興プロジェクトあるく」代表(44)は、「安心して暮らすことのできる地域に一歩近づいたと思う。ハード面の整備に安心するだけでなく、地域住民もしっかり防災に取り組みたい」と語った。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20231030-OYT1T50069/

 


 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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