2019年5月19日18時37分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島県屋久島町で、大雨による土砂崩れのため孤立していた300人余りの登山者ら全員が、19日夕までに下山した。
町によると、大きなけがをした人はいないという。
当初はヘリコプターによる救助が検討されたが、天候が回復しないことなどから、県警が先導などする中、陸路で下山した。
気象庁によると、屋久島では非常に激しい雨が断続的に降り、19日午前7時40分までの24時間に446ミリの雨を観測。
町は町内全域に避難勧告を出していた。
土砂崩れは18日午後、島東部の複数箇所で発生。
登山者たちは、観光名所の縄文杉へと向かう登山口や、国の自然休養林「ヤクスギランド」などへ向かう道路沿いなどに足止めされ、観光バスの車内や小屋などで一夜を過ごした。
町は当初、孤立者は262人と説明していたが、確認を進めたところ、300人を超える登山者らが取り残されていた。
出典
『孤立者300人超、全員が無事下山 大雨の屋久島』
https://www.asahi.com/articles/ASM5M5SXGM5MTIPE01M.html
5月18日18時34分にNHK鹿児島からは、50年に1度クラスの大雨だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州南部は暖かく湿った空気の影響で、東側の斜面を中心に、発達した雨雲がかかっている。
屋久島町では、1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降り続き、屋久島町小瀬田では、午後6時までの6時間には370.5ミリの大雨となっている。
気象庁は午後6時、「屋久島町では、50年に一度の記録的な大雨となっている」という情報を発表した。
出典
『屋久島町「50年に一度の大雨」』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190518/5050006412.html
5月19日20時7分に朝日新聞からは、大雨の予報は出ていたが登山中止の判断はガイドによって異なったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島県屋久島町で複数の土砂崩れが起き、山中に取り残された登山者らについて、町は19日、一時孤立した人が少なくとも計314人に上ったことを明らかにした。
天候不良が予想されていた中で登山を決めたガイドもおり、ルール整備などの課題が残りそうだ。
気象庁によると、18日の大雨は暖かく湿った風が屋久島を含む九州南部に流れ込んだことが原因だった。
大雨を事前に予測した鹿児島地方気象台は、17日午前の段階で、気象庁のサイトなどで確認できる「大雨に関する気象情報」を発表。
「屋久島などで18~19日に大雨の恐れがあり、土砂災害に警戒を」と呼びかけた。
気象台の担当者は、「週末で登山者も多いと考えられたので、早めの注意を心がけた」と話す。
世界遺産に登録されている屋久島の登山には危険な場所もあり、約200人いるガイドと入山する人が多い。
大雨の予報に、ガイドの判断は分かれた。
屋久島観光協会ガイド部会長の中馬さん(男性、46歳)によると、屋久島町などが定めたガイド向けルールでは、気象警報の発表時にはツアーを実施しないことになっている。
ただ、町に大雨警報が発表されたのは18日午後3時半ごろ。
それ以前のツアー出発はガイド個人の判断に任されていたという。
観光名所の縄文杉までの往復には10時間程度かかるといい、早朝に出発するツアーが大半とされる。
朝の時点で雨が降り、登山道脇の沢の流れが激しいとして途中でツアー中止を決め、引き返したガイドもいた。
一方で、計28人のガイドが同行したツアーの登山者が、18日中に下山できなかった。
ガイドとともにバスの車中で一夜を過ごした30代男性は、「(登山に出発した)18日早朝には、雨の影響についてガイドから何も言われなかった」と話した。
ガイドらは手分けして、倒木をノコギリで切ったり難所にロープを張ったりして、下山の誘導にあたった。
中馬さんは、「ガイドが連携できたことは良かったが、このような事態になった検証は必要だ。ガイド部会で話し合いたい」。
荒木・屋久島町長は朝日新聞の取材に、「今のところ、幸い、大きなけが人はいないが、ガイドの判断基準を見直す必要はあるかもしれない」と話している。
【波打つ濁流、緊迫の救出劇に記者が同行】
記録的豪雨による土砂崩れで、一時は300人を超す登山者らが孤立した屋久島町。
一夜明けた19日、自衛隊員らによる緊迫の救出劇に記者が同行した。
午後2時前、自衛隊員たちとともに、荒川三叉路と呼ばれる場所から南に数kmの地点にたどり着いた。
目の前には濁った激流が波打っていた。
幅5mほどの向こう岸には、100人超の登山者らが土砂降りの中、立ち尽くしていた。
周囲に転がる岩をたたきつける雨音と激流の音が大きすぎて、周囲の話し声もよく聞こえない。
両岸に分かれた自衛隊員らは、登山者たちを助け出す作業を始めていた。
登山者を救助するため用意されたのは脚立。
脚立を180°開いて上に板を乗せ、架設の「橋」を作っていた。
手すり代わりに、ロープを両岸の木に縛り付けていた。
まず、自衛隊員らが「橋」の上を何度も踏みしめて往復しながら強度を確認。
その後、登山者がロープを両手で握りしめ、横向きに少しずつ移動。
こわばった表情で激流を浴びながらゆっくり渡りきると、自衛隊員らに腕をつかまれ、体を引き寄せられた。
激流を渡り終わった登山者らは、バスが待つ場所にたどり着くと、ほっとした様子で仲間とハイタッチしていた。
出典
『大雨予報、分かれたツアー対応 警報前はガイドが判断』
https://www.asahi.com/articles/ASM5M45CNM5MTIPE00N.html
5月19日17時48分にNHK鹿児島からは、登山ルートなどに関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
屋久島観光協会によると、屋久島の山間部を通る主な登山ルートは11あるが、登山者の多くが、屋久島東部の山間部を通る県道592号線を経由して山に入っている。
この県道を進むと「荒川三差路」といわれる分かれ道があり、ここから北上すると「荒川登山口」に至る。
この「荒川登山口」からさらに島の中央部へ向かうと、登山者に人気の「縄文杉」がある。
一方、「荒川三差路」から南西にある自然休養林の「ヤクスギランド」にも、原生林の見学をしようと多くの人が訪れている。
「ヤクスギランド」からは、さらに西へ進んで宮之浦岳に向かった上で、「縄文杉」に向かう縦走するルートもある。
今回、孤立した人たちは、これらのルートからそれぞれの目的地に入った人たちだった。
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出典
『1年間に約10万人が登山』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190519/5050006429.htmlhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190519/5050006429.html
(ブログ者コメント)
ガイドとしては、せっかく屋久島まで来てくれたお客さんゆえ、少々の雨でツアーを中止するわけにはいかない・・・といった気持ちが働いたのかもしれない。
今後、行われるであろう検証では、そういったガイド個人でのツアー中止判断をできるだけ排除するような方策についても話し合われるかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。