2019年5月16日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
園児2人が死亡した大津市の交通事故をきっかけに、地域特有とされる危険な運転が注目を集めている。
対向車がいるのに強引に右折するといった長野県松本市の「松本走り」について、菅谷市長は13日の定例記者会見で、「松本走りが根付いているなら残念。直していかなければならない」と話した。
全国でも、「茨城ダッシュ」「伊予の早曲がり」などが指摘されており、警察は注意喚起している。
「松本走り」とは、「対向車が左折するすきを見て、ほぼ同時に右折」などが特徴。
観光客から苦情が寄せられているといい、松本市は3月、広報誌に特集を掲載。
ルールの確認や譲り合う運転を呼び掛けた。
市によると、「松本走り」が当てはまる右折時の交通事故は、昨年、市内で78件発生している。
山梨県警は3年前、公式ツイッターで「山梨ルール」について言及。
「右折車が対向直進車のすきを突いて曲がる」、「横断歩行者がいても一時停止しない」ケースを挙げ、「重大事故につながる」と注意を呼び掛けた。
こうした危険な運転のほとんどは、右折時のものだ。
大津市の事故も、右折車が直進車と衝突したことで起きた。
同様の事故は昨年、全国で1万8712件発生。
うち死亡事故は130件だった。
危険な運転に地域性はあるのか。
長野県警幹部は、「市民の性格の問題ではないだろう」とみる。
「旧城下町の松本市は片側1車線の道路が多く、右折しようとすると渋滞になる。後続車に迷惑をかけないように早く右折する意識が強いのではないか」
愛媛県で聞かれる「伊予の早曲がり」や茨城県の「茨城ダッシュ」も、右折時の危険な運転だ。
いずれも、交差点で信号待ちをしていた車が青に変わった直後に急発進し、対向する直進の先頭車より先に右折するという。
「伊予の早曲がり」は、言葉が生まれた時期や経緯は定かでない。
他県より多いわけではないが、愛媛県内では昨年、道路横断中に歩行者がはねられる事故が相次ぎ、年間の死者59人中、22人が横断中だった。
「茨城ダッシュ」について茨城県警の担当者は、「一つの信号を早く通過できても、目的地への到着時間は大きくは変わらない」と話す。
16年連続で交通事故死者数が全国ワーストの愛知県では、ウインカーなしの車線変更や信号無視、無理な割り込みなどの危険な運転を「名古屋走り」と呼んでいる。
自動車保有台数が全国最多で、道幅が広く車線も多いことが「名古屋走り」を誘発しているとみられる。
愛知県警は、持ち運び可能な速度違反取り締まり装置を使った摘発や取り締まりを強化している。
【識者「意識変えられる」 】
危険運転を防ぐことはできるのか。
専門家は可能だと指摘する。
藤井聡・京都大大学院教授(交通心理学)は、「地域特有の運転文化が形成されるのは、若い運転手が周囲を模倣することで運転を学んでいくからだ」としたうえで、「例えば、日本で公共の場での禁煙が広まったように、こうした文化は教育や啓発活動を通じて意図的に変えられる。大津市の事故を機に、地域特有の運転の危険性を認識し、安全を最優先して文化の変容を目指すべきだ」と語った。
名古屋工業大の松井寛名誉教授(交通工学)は、「道路構造は簡単には変えられないので、ドライバーの意識を変えていくしかない。運転免許更新時の講習で、その街に特有の道路構造の問題点をドライバーに丁寧に周知してもらうことが求められる」と話した。
出典
『ご当地危険運転 なくそう 松本走り・茨城ダッシュ・山梨ルール・伊予の早曲がり これ全部、強引な右折』
https://mainichi.jp/articles/20190516/ddm/041/040/125000c
※「松本走り」については、上記報道の前日、2019年5月15日に信濃毎日新聞からも、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大津市で右折車が対向車に衝突し、園児らが巻き込まれた事故を受け、松本市に多いとされ、強引に右折しようとする危険運転の通称「松本走り」が注目を集めている。
城下町で狭い道が多く、右折レーンを設けにくいといった背景があるとされるが、悲惨な事故を機に、松本市は根絶に向けて改めて注意を呼び掛けている。
市交通安全・都市交通課によると、松本走りは交差点で対向車が接近しているにもかかわらず右折したり、後続車がいるのに左折する対向車に合わせて右折したりする危険運転。
いつから呼ばれるようになったかは不明だが、県外の観光客らが訪れる大型連休や長期休みが終わると、交通マナーの悪さを指摘する書面が届くこともある。
大津市の事故後にはインターネット上でも話題に。
「松本に行きたくなくなった」などの書き込みも出始めた。
「『おいおい』と思うタイミングで曲がってくる車がある」。
1カ月前に京都府から松本市に転勤してきた会社員男性(41)は話す。
歩行者の横断を邪魔するような運転もあったとし、「強引な印象は否めない」。
大阪府から1年前に転入した会社員男性(26)は、「右折専用レーンが少ない環境が問題」と指摘する。
松本市は今年3月、広報紙で「危険知っていますか?松本走り」と題して特集。
反則金の対象になる交通違反であることも紹介した。
担当者は、「痛ましい事故をきっかけに話題になるのは、市民にとっても悲しいこと。譲り合いの運転を心掛けてほしい」と求める。
菅谷市長は13日の定例記者会見で、「根付いているなら残念なことで、直していく必要がある」と述べた。
松本署によると、市内では今年、右折車と対向車の事故が10日までに19件起きた。
出典
『大津の事故で「松本走り」に注目 強引な右折根絶呼び掛け』
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190515/KT190514FTI090018000.php
(ブログ者コメント)
ブログ者の住んでいる市原市では、信号で右折する際、直前までウインカーを出さない、あるいは右折し始めてからウインカーを出すという車をしばしば見かける。
片側1車線の道路であればまだしも、片側2車線以上の、直進と右折の両方が可能なレーンでこれをやられると、後ろに並んでいた直進車はクソッと思ってしまう。(ブログ者だけかもしれないが)
その車をよけて前に進もうと車線変更する際に、左側車線を走ってきた車に追突される恐れもある。
これなど「市原曲がり」?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。