2013年8月10日10時5分に朝日新聞から、「小荷物昇降機、減らぬ事故 飲食店で死亡事例も」というタイトルで、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
飲食店などに設置されているエレベーター「小荷物専用昇降機」での死亡事故がなくならない。
人を乗せるエレベーターと異なり、設置者による検査を義務づけていない自治体が大半だ。
メーカー側は、建築基準法を改正し、検査を義務化するよう訴えている。
昨年12月2日夜、名古屋市中区の飲食店の小荷物専用昇降機内で、アルバイトのYさん(当時28)が上半身をかごと扉の上側に挟まれ、死亡した。
かごは料理や皿を運ぶためのもので、高さ70cm、幅と奥行きが各60cm。
かごの中に上半身を入れて掃除していたところ、何らかの原因でかごが上昇したとみられる。
国交省によると、2010年12月~13年2月、小荷物専用昇降機に挟まれたり転落したり、作業中のミスで事故に遭って死亡する事例は、同省に報告されているだけで、千葉県や京都府などで5件あった。
人が乗る一般的なエレベーターについては原則、マンション管理会社など設置者が年1回検査し、自治体に報告することが建築基準法で定められている。
一方、小荷物専用昇降機は各自治体の判断で、飲食店など設置者に検査を義務づけるか決めることになっている。
静岡県は、県の制度に基づいて検査を義務づけているが、全国的には義務づけていないケースがほとんどだ。
エレベーター業界団体の社団法人「日本エレベーター協会」は事態を重くみて、建築基準法を改正し、小荷物専用昇降機の検査を義務化するべきだとする要望書を、年度内にも国交省に提出する方針だ。
協会担当者は「義務づけないと、設置者は検査しないだろう」と指摘。
エレベーターメーカー「新日本リフト」の担当者は「機械なので長年使用すれば故障する可能性もある。設置者に検査を勧めても強制力はなく、歯がゆかった」と話す。
こうした動きに、設置者側は反発する。
定期検査の相場は1台1回2万円ほど。通常は年に数回検査することが多く、名古屋市中区の飲食店主は「価格競争の激しい外食産業で、経費の増加は痛手」と困惑する。
業界団体「愛知県飲食生活衛生同業組合」の幹部は「何か手を打たないといけないが、いきなりの義務化はおかしい。まずは設置者に点検を促すなど、他の防止策を検討すべきだ」と話している。
〈小荷物専用昇降機〉
物を運搬するためのエレベーター。建築基準法で、かごの床面積は1m2以下、かごの天井の高さは1.2m以下と規定。都道府県など建築主事を置く自治体が監督することになっているが、大半は設置者による検査を義務づけていない。日本エレベーター協会によると、2012年3月末で、少なくとも全国に4万台以上ある。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0808/NGY201308080014.html
(ブログ者コメント)
本ブログでは、これまで「エレベーター」とか「リフト」といった言葉を使って、小荷物専用昇降機の事故事例を紹介してきている。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。