(2013年8月17日 修正1 ;追記)
2013年7月23日付の北海道新聞紙面に、電源を切らずに消火活動したため別車両のATS部品が焼損したらしいという、下記趣旨の記事が掲載されていた。
15日に空調の配電盤から出火した事故で、乗務員が発生直後の消火で使った消火剤によって電気回路がショートし、被害が拡大した可能性が高いことが、22日に分かった。
JR北は、この初期消火が、出火車両とは別の車両にあるATSの部品の焼損につながった可能性があるとみて、調査を進める。
複数のJR関係者によると、先頭から3両目の空調の配電盤や配線などが熱を持ち、火花が出ているのに気付いた運転士らが備え付けの消火器で消火作業に当たった。
この際、電源を切っていなかったため、配電盤内の配線などに付着した消火剤によって、ショートが多発した。
この結果、配電盤下部のブレーカーから出火するとともに、高電圧の電流がATSのある車両3両に到達。配電盤よりも低い電圧で作動するATSの保護部品「バリスタ」が焼損したとみられる。
JRのマニュアルには記載されていないが、電気による火災を消火する際は、電源を切ることが基本動作。
だが今回は、乗務員が消火器を使用する前に電源を切っていなかったという。
JRは今後、配電盤からの電流が車両の連結部分などを含め、どんな経路でATSのある車両に伝わったのか、解析を進める。
また、2013年8月10日0時55分に毎日新聞から、配電盤火災は端子をつなぐネジの緩みが原因だったという下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
JR北海道は9日、原因は配電盤のスイッチにある端子をつなぐネジの緩みだったと発表した。端子が接触不良を起こし火花が出たとみられる。
JRでは、7月22日に根室線で起きた別の特急の発煙事故でも、エンジン部品のナットの締め付け不足という人為ミスが判明したばかり。
記者会見した難波車両部長は「ネジをきちんと締めていれば防げたミスで、重大な事象が起きたと認識している」と述べた。
JRによると、出火した配電盤は昨年2月に石勝線の特急で客室のエアコンから煙が出る事故が起きたことを受け、同年4月、新しいスイッチに取り換えた。この際にネジの締め付けが緩かった可能性が高い。
ネジは100ボルトの電圧が通る二つの端子をつないでいるが、1mmのすきまができて接触面積が小さくなって抵抗が増えたとみられる。
JRは事故を受け、同型の57両でネジを一斉点検したが、異常はなかったという。他の917両でも、緩みがないか点検を続けている。
◇相次ぐ人為ミス、特効薬見当たらず…JR北海道
一連の特急の出火・発煙事故の原因を巡っては、ディーゼル車両の老朽化や整備の難しさ、積雪・寒冷という北海道特有の気象条件などが挙げられていたが、主原因は人為ミスだった。
ただ、ミスが相次ぐ根本的な原因は不明で、安全運行に向けた特効薬は見当たらないのが実情だ。
JRによると、配電盤スイッチの交換でネジの締め付けを担当したのは苗穂工場の「車両技術係」の社員だった。別の担当者による二重のチェックは実施していなかった。
事故原因の判明を受けて、JRは部品を取り換えた場合は列車を稼働する前に再度、別の社員が確認する体制を5日から取ったとしている。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130810k0000m040085000c.html
一方、2013年8月10日付で朝日新聞北海道版(聞蔵)からは、上記にプラスする下記趣旨の内容がネット配信されていた。
9日に記者会見した難波部長は「小さなネジの緩みだが、起きたことは非常に重大。現場の社員に重大さを認識させるしかない」と繰り返した。
この事故では、配電盤のほか、別の車両に設置されていた「バリスタ」と呼ばれるATSを守る部品が焼けた。
列車停止後の消火作業でブレーカーがショートし、バリスタに通常の20倍近い440ボルトの電圧がかかったが、ATSは壊れなかったという。
ネジの締め付けが不十分だった配電盤内の「接触器」は、昨年2月に石勝線の特急の配電盤から白煙が出たトラブルを受け、昨年4月に交換していた。
ただ、作業後に交換部品を再確認する手順はなかったという。
このため再発防止策として、同社は今後、部品の取り換えや配線工事をした場合は、作業後に再確認を実施する方針。
工場から車両を送り出す際に実施する「出場検査」の担当者にも交換部品があることを伝え、二重のチェック体制を取ることにした。
(2014年3月6日 修正2 ;追記)
2014年3月1日7時0分に北海道新聞から、ネジ締め付け不足に対する再発防止策が国交省に了承されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は28日、昨年7月に出火事故を起こし、使用を中止していた特急スーパーおおぞら(札幌―釧路)の車両8両の運行を3月中旬から再開すると発表した。当面は予備車両として使う。
同社によると、事故原因は、配電盤内の端子がネジの締め付け不足で緩んだため。
同社は、
①部品の締め付けなどを現場で二重チェックする
②整備から90日後に行う「交番検査」の際に再チェックする
との再発防止策をまとめ、2月27日に国交省の了承を得た。
試験走行後に現場に配備し、繁忙期の増車用などで活用する。
同型車両は現行48両から56両に増え、同社は「整備に余裕ができ、安全性向上につながる」(車両部)としている。
ただ、本来の7往復から6往復にしているスーパーおおぞらの減便は解消されない
出典URL
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/524257.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。