2018年2月27日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国で生息範囲を広げているシカと列車との衝突事故を防ごうと、鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)はシカの習性を利用し、仲間に危険を知らせる鳴き声とシカが嫌う犬の鳴き声を組み合わせた「忌避音」を作った。
列車からシカを遠ざける効果があり、試験では目撃回数が約45%減ったという。
実証実験を経て、来年度の実用化を目指す。
鉄道総研によると、シカは仲間とのコミュニケーションで13種類の鳴き声を使い分け、仲間に危険を知らせる場合は「ピヤッ」という甲高く短い声を出す。
試しに聞かせたところ、周囲を警戒して一斉に鳴き声の方向に顔を向けたという。
しかし、その場からは逃げないため、「ピヤッ」という3秒間の音の後に、シカが嫌う犬の「キャンキャン」という鳴き声を20秒間つなげて忌避音を作った。
JR北海道の協力で2016年1~2月に列車のスピーカーから忌避音を鳴らし続けたり、鳴らさなかったりしながら計約1760kmの区間を走行する実験をした。
100km当たりに換算すると、鳴らさない場合のシカの目撃回数は13.6回だったのに対し、鳴らした場合は7.5回だった。
鳴らすと約45%、目撃回数が減ったことになる。
また、忌避音を聞いた約200m先のシカの群れが遠ざかる様子も確認されたという。
環境省などによると、山間部の過疎化などが原因で、シカは14年度までの36年間で、北海道、東北、北陸地方を中心に生息域を約2.5倍に拡大。
個体数も15年度は推計で304万頭に上り、10年間で倍増している。
シカと列車との接触事故も頻繁にあり、JR北海道によると、北海道では16年度だけで1777件起きている。
事故があると、安全確認をするためにダイヤに遅れが生じたり、車両が損傷したりする。
JR各社は侵入防止柵を設置したり、シカの嫌いなにおいのする忌避剤を使ったりしているが、効果は限定的だった。
鉄道総研の担当者は、「研究を重ね、接触事故を減らして安定輸送につなげたい」と話している。
出典
『シカ鳴き声合成で退散 鉄道総研「忌避音」 列車衝突を防止』
https://mainichi.jp/articles/20180227/dde/001/040/058000c
(ブログ者コメント)
シカなどの衝突防止策としては、今年2月、近鉄の「シカ踏切り」を本ブログで紹介している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。