2016年8月4日18時23分にNHK宮崎から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『高校調理実習で15人搬送』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/5064601911.html?t=1470345721959
きょう午前9時過ぎ、宮崎県門川町の県立門川高校の職員から「調理実習をしていた生徒が『気分が悪い』と訴えている」と、消防に通報があった。
警察によると、9人が救急車で病院に搬送され、その後、学校の車で病院に行った人も含めて、男子7人と女子6人の生徒13人と教員2人のあわせて15人が、病院で手当てを受けた。
このうち、少なくとも女子生徒2人は入院する必要があるということだが、全員意識はあり、命に別状はないという。
高校によると、きょうは食品加工を学ぶコースの3年生13人が実習室でガスオーブンを使ってビスケットを作ることになっていて、実習が始まって間もなく、1人が気分が悪いと訴え、その後も症状を訴える生徒が相次いだという。
ガスオーブンは、実習が始まる前から予熱のため作動させていて、部屋はエアコンを作動させ、窓は閉め切っていたということで、警察は、一酸化炭素中毒とみて詳しく調べている。
女子生徒2人が入院している門川町の病院によると、生徒の1人は体の震えや過呼吸のような症状を示していて、医師に「友人の具合が悪くなったので保健室に先生を呼びに行き、戻ったら自分も意識を失って倒れた」と話していたという。
搬送時、2人の血中の一酸化炭素濃度はかなり高かったということで、少なくともきょう1日は入院して、酸素を吸入するなどの治療を行うという。
また、生徒たちの様子を見に来た高校の男性教諭についても、入院してもらうことにしたという。
日向病院の浅井医師は、「搬送された際、2人のうち1人は『友だちが倒れた』と繰り返し話していた。今の時点で状態は安定しているが、突然のことで、非常に不安は強かったのではないかと思う」と話していた。
門川高校によると、当時は2台あるガスオーブンのうちの1台を使ってビスケットを焼く実習を行っていたということで、部屋のエアコンを作動させ、窓は閉め切っていたという。
また、最初の生徒が気分が悪いと訴えたのは、ビスケットを焼く前の材料の選別を行っている時だったという。
門川高校の奥平教頭は、「学校としては安全管理を行っていたつもりだが、まずは原因を究明し、再発防止を徹底していきたい」と話していた。
8月10日19時22分と8月5日18時46分にNHK宮崎からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『県内高校にCO警報器設置へ』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/5064699611.html?t=1470861274499
『ガス検知警報器設置を検討』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/5064641471.html?t=1470433909853
今回、一酸化炭素中毒とみられる事故が起きた県立門川高校の実習室には、一酸化炭素の発生を知らせる警報器が設置されていなかった。
こうした警報器の設置は、法律で義務づけられてはいないが、経済産業省は、ガスオーブンなどを使う場所では不完全燃焼による事故を防ぐため、警報器の設置を強く推奨している。
10日に宮崎市で開かれた県内の高校の校長らを集めた会議で、県教育委員会の担当者は、「法律で義務づけられていない」として警報器を設置していなかったこれまでの運用を改め、各高校の調理室や技術系の高校の窯がある教室などに早急に警報器を設置できるよう、準備を進めていることを明らかにした。
また、各学校に対して、火を使う際は十分な換気を行うことなど、必要な安全対策を確認して教職員や生徒に周知するよう求めた。
学校政策課の長友主幹は、「1人ひとりが今回の事故の重大性を認識し、2度と起こさないための対策を取ってほしい」と話していた。
(ブログ者コメント)
調理中のCO中毒事例に関し、本ブログでは以下のような類似事例を過去に掲載している。
[ガスオーブン使用中の中毒事例]
2015年4月19日掲載
2015年4月10日 静岡県浜松市の製菓工場で菓子成形作業中、隣室のガスオーブンが不完全燃焼して1人がCO中毒、確認後に個人的体調不良と考え作業再開したが1時間後にまた6人が発症
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4791/
[CO中毒発生後にCO検知器を設置(検討)した事例]
2014年8月6日掲載
2014年7月31日 石川県能登町の飲食店で炭火を使って炉端焼き中、従業員や客の小学生計32人がCO中毒、冷房のため窓を閉めたが換気扇を回し忘れ、換気は従業員の経験任せだった
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4164/
2012年10月17日掲載
2012年10月10日 静岡県浜松市の小学校給食室で食器洗浄機を使って食器洗浄中に5人がCO中毒 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2357/
2011年2月16日掲載、2011年4月14日転載
[昔の事例の顛末] 2009年7月 福岡県のモスバーガー2店がCO中毒事故で書類送検
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/146/
[CO検知器を設置していてもCO中毒が発生した事例]
2012年2月27日掲載
2012年2月21日 中津川市でそば打ち体験の高校生17人がCO中毒、ガス釜の排気口を塞いでいた上、警報器が鳴っても本格対応せず (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/1434/
(2016年9月10日 修正1 ;追記)
2016年9月8日20時38分にNHK宮崎から、複数の換気扇が故障していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日、警察や消防のほか、ガス事故の調査を行う経産省の係官やガスオーブンを製造したメーカーの担当者などおよそ30人態勢で、現場検証が行われた。
警察は、予熱のため作動させていたガスオーブンが不完全燃焼した疑いがあるとみていて、現場検証では、事故当時と同じように窓を閉めきってエアコンをつけた状態でガスオーブンを作動させ、室内の一酸化炭素の濃度を測定したほか、室内に設置された8つの換気扇が作動するかどうかなどを確認した。
その結果、複数の換気扇が故障していることがわかった。
警察では、換気が十分でなかった可能性もあるとみて、今後も、事故当時の状況を詳しく調べることにしている。
出典
『CO中毒 複数の換気扇が故障』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/5065423012.html?t=1473376854833
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。