2019年12月13日11時30分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
心肺停止後の蘇生措置を望まない終末期の患者について、東京消防庁は16日から、救急隊が心肺蘇生や搬送を中止できる新たな運用を始める。
「最期は自宅でみとられたい」という患者の意思を尊重するためで、家族の同意や医師への確認を条件とする手続きを定めた。
蘇生を拒否するケースへの対応は統一ルールがなく、各地の消防本部でも模索が続いている。
「本人は心肺蘇生の実施を望んでいなかったということですが……」。
東京消防庁の消防技術安全所(東京・渋谷)で11月下旬に開かれた研修会では、救急隊長らが心肺停止になった患者がいる現場に到着した想定で、かかりつけ医に本人の意思を電話で問い合わせる手順を確認した。
今後も、各消防署で同様の訓練を続けるという。
同庁の新たな運用の対象は、心肺停止状態の成人で、
(1)本人が「心肺蘇生を望まない」ことを事前に家族や医師などと話し合っている
(2)人生の最終段階にある
(3)患者の状態が事前に想定した状態と合致している
が要件となっている。
救急隊は、かかりつけ医や家族から要件を満たすことを確認した場合、心肺蘇生を中断し、かかりつけ医や家族に患者の対応を引き継ぐ。
本人と家族が心肺蘇生を望まないことを事前に話し合っていても、終末期に家族が慌てて救急隊を呼ぶことは少なくない。
救急隊が到着後に、本人が心肺蘇生を望んでいないことを家族から聞いても、これまでは心肺蘇生して医療機関に搬送せざるを得なかった。
総務省消防庁の17年の調査によると、全国728消防本部のうち403本部で、救急隊が到着後に家族から心肺蘇生を拒否された事例があったという。
東京消防庁はこうした状況を受け、蘇生の拒否があった場合の対応について18年4月、外部機関の「救急業務懇話会」に諮問。
同会は19年2月、「救急現場においても、患者の意思は可能な限り尊重されるべきだ」とし、かかりつけ医から本人の事前の意思が確認できるなどの条件下で蘇生を中止できるという考え方を示した。
蘇生拒否への対応は各地で異なる。
18年7月時点で対応方針を個別に定めていた消防本部は全体の半数以下の332本部で、内容も「一定条件で蘇生を中止」(100本部)、「拒否されても蘇生しながら搬送」(201本部)と割れていた。
総務省消防庁の有識者会議は対応策を検討したが、「実態が十分に明らかでなく、知見の蓄積が必要」とする報告書を7月にまとめ、統一ルールは見送られた。
東京消防庁と同様の運用では、埼玉西部消防局が17年に、心肺蘇生の中止の手順を策定。
広島市消防局も03年から始め、年間に数件は蘇生の中止事例があるという。
一方、福岡市消防局は18年、家族が心肺蘇生を拒否した場合でも中止しない方針を現場に通知。
本人の意思を直接確認できないことや、心肺停止の原因が想定された持病によるものか断定できないことが理由。
救急課幹部は、「生死に関わる判断が地域により異なるのも問題。国の方針を見守りたい」と話した。
救急医療に詳しい済生会横浜市東部病院の山崎元靖副院長は、「自治体間で全く異なる対応が続けば、患者や家族の戸惑いは大きく、緩やかな全国ルールは必要」と指摘。
「国内最大の消防本部である東京消防庁の運用の成果に注目したい」と話している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53304390T11C19A2CE0000/?n_cid=NMAIL007_20191213_H
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。