2017年8月9日14時44分にNHK青森から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月7日、六ヶ所村にある核燃料サイクル施設「ウラン濃縮工場」で、社員が点検のため非常用のディーゼル発電機の電源を入れたところ、発電機のスイッチなどがある制御盤から火が出て、中の部品と付近の配線の一部が焼けた。
火はすぐに消え、けが人やほかの建物への延焼はなく、放射性物質の漏えいもなかった。
この原因について、運営する日本原燃が調査を進めた結果、非常用発電機の制御盤の中にある部品が劣化していたため、スイッチを切ったあとも制御盤に電流が流れたままになっていたことがわかった。
この非常用発電機を製造したメーカーでは10年から15年程度で部品の交換を推奨しているということだが、日本原燃では28年間にもわたって発電機を交換していなかったという。
これについて日本原燃は、「毎月行っていた定期点検で正常に作動することは確認していたが、今回の事象を踏まえ、交換する時期や点検方法についての検討を進めていきたい」としている。
出典
『出火原因は発電機の部品劣化』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6085918581.html
8月10日付で朝日新聞青森全県版(聞蔵)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
経年劣化によって部品内の樹脂が固着して、コイルの通電状態が続いたことが火災原因という。
(ブログ者コメント)
日本原燃のHPを確認したが、関連記事は掲載されていなかった。
制御盤の中の部品、それも通常使用している機器ではなく、非常時にしか使用しない機器の制御盤の部品となると、そこまで管理するのは難しいということだろうか?
(2017年11月2日 修正1 ;追記)
2017年10月27日付で日本原燃のHPに、以下のプレスリリースが掲載されていた。
本日、原因および再発防止対策を取りまとめましたので、お知らせします。
原因
調査の結果、焼損していた電磁接触器以外のディーゼル発電機本体、制御電源(端子、電圧等)、操作の方法等に異常や問題は確認されませんでした。
電磁接触器については、引外しコイル付近および一部ケーブルの炭化を確認するとともにラッチ機構※1部が正常に動作していないことを確認しました。
電磁接触器を分解調査した結果、ラッチ機構の引外し用のプランジャ※2が固着していたこと、引外しコイルの焼損が著しいことが確認されました。
また、ラッチ機構を取外した状態では開閉動作に異常はなく、主接点を含め、内部の組立や部品の異常、異物のかみこみ等はありませんでした。
このことから、開放指令によって引外しコイルへ通電されたものの、ラッチ機構のプランジャが固着により動かず(ラッチ機構が正常に「OFF」出来ず)、引外しコイルが連続通電状態になって過熱焼損し、最終的に引外しコイル断線に至ったと判断しました。
ラッチ機構のプランジャが固着した原因として、異物の混入がなかったこと、これまでの長期間の使用(製造後28年)において異常がみられず、製品の構造や部品上欠陥ではなかったことから、長期間の使用によるプランジャの樹脂部品の劣化、スライド摩擦の増大により固着が生じたと考えられます。
※1ラッチ機構:接点を保持する機構のこと
※2プランジャ:電磁コイルの構成部品で、コイルの通電に
よって動作する部品
再発防止対策
・ディーゼル発電機盤Aの電磁接触器と同型を使用しているディーゼル発電機B号機の発電機盤について、8月9日に新品と交換し、8月21日に保安規定に基づく施設定期自主検査により健全性を確認しました。
・今後、長期間使用している部品について、メーカ推奨期間を考慮した交換周期を定めるなど、事業者対応方針に基づき点検・交換計画を策定し、管理を行います。
出典
『ウラン濃縮工場 補助建屋(管理区域外)における火災の発生の原因と対策に
ついて』
http://www.jnfl.co.jp/ja/release/press/2017/detail/20171027-1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。