2016年10月31日13時2分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌市の繁華街で昨年2月に飲食店の看板が落下し、通行人の女性に直撃して意識不明の重体となった事故が起きて以降、全国で同様の看板落下が少なくとも41件発生していたことが
国交省の調査でわかった。
老朽化した看板は全国に多数あるとみて、国交省は、自治体に点検を徹底させる方針だ。
札幌市で昨年2月、飲食店ビルの金属製の看板の一部(重さ約25kg)が高さ15mから落下し、歩道を歩いていた20代の看護助手の女性に当たった。
女性は、頭の骨が折れる大けがを負った。
看板は設置から30年以上たち、ビル外壁との接続部分が腐食していたが、店側は「異状なし」と市に点検報告し、市も見逃していた。
この事故を受け、国交省は全国の自治体に、落下事故について報告を求めた。
その結果、昨年6月から今年9月末までに41件報告され、打撲など負傷事故も数件あったと判明した。
看板の新設や許可の更新は、年間数10万件以上ある。
店舗が屋外に看板を設置する場合、屋外広告物法に基づく条例により、都道府県や政令指定都市から許可を得なければならない。
自治体は店側に1~3年に1回の点検報告を求める決まりになっている。
ただ、札幌市を含め、多くの自治体は壁面のひびや看板の腐食、ボルトの緩みなどの点検結果を「有」「無」の二択で報告させるだけだ。
点検の具体的な方法は定めていなかった。
国交省は札幌の事故を受け、より詳細な状況把握が必要と判断。
綿密な点検を求めるとともに、報告の際は看板の写真を添付させたうえ、「良好」「経過観察」「要改善」「即時修理」の4段階で評価する方法の導入を促すことにした。
点検や報告内容が専門的になるため、国交省は、自治体職員がチェックすべき要点や現地確認の方法をまとめた安全点検マニュアルを作成する。
年内に専門家による検討を始め、来年3月までにまとめる方針だ。
国交省公園緑地・景観課の担当者は、「危険な看板を減らすため、実効性のある点検を進めたい」と話す。
「戦後の高度経済成長期やバブル期に、看板が次々と設置された。現在、街中にある看板の半数以上が老朽化の時期を迎えているのではないか」
東北芸術工科大学の山畑信博教授(建築計画)は、こう指摘する。
景気低迷の影響で空きビルになり、放置されている看板も多い。
「保守点検が不十分で、撤去が必要なのに放置されたままの看板もあり、危険性は高まっている」と話す。
札幌の事故を受け、自主的に対策をとる自治体もある。
川崎市は9月27日、神奈川県広告美術協会と初めての看板パトロールを行った。
東急元住吉駅前の商店街の約550mの通りを職員ら約10人が、約120棟の看板を確認しながら歩いた。
同協会の江田副会長(49)は、「すぐに落下しなくても、街中には危険な看板の予備軍がたくさんある」と指摘。
この日、突き出し看板の固定部の腐食や固定が不十分な看板などが4棟で見つかり、改善や注意を呼びかけた。
紳士服店を営む関川さん(49)は、「安全点検は店側の責任。点検の重要性を再認識した」と話した。
屋外看板は雨や風、強い日差しなど厳しい自然環境にさらされ、知らないうちに部材の腐食やゆるみが生じる。
東京都新宿区が昨年2~3月に歌舞伎町など繁華街の1251棟を調査したところ、約3割の363棟で看板のさびや外壁のひびが見つかった。
街中には無許可の違法看板も横行しているが、国交省も全体数を把握し切れていないのが実情だ。
出典
『老朽看板の落下、あちこちで発生 札幌事故後41件以上』
http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z6GB2J9ZUTIL04T.html
(ブログ者コメント)
札幌市の事例については、下記記事参照。
2015年2月22日掲載
2015年2月15日 北海道札幌市のビルで看板部品が落下し通行人の女性が重体、3時間前にも別の部品が落下したが対応せず、過去の点検は目視だけで報告しない年も
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4636/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4637/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。