2016年10月31日22時56分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
暮らしにかかわる重大事故の原因を調べる消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、31日、住宅用の太陽光発電システムから発生した火災や発火、発煙の事故について調査を始めると発表した。
消費者庁は、2008年3月以降に、全国で102件の事故を確認している。
人的被害は出ていないが、住宅が半焼する火災もあったことから、調査が必要と判断した。
太陽光発電システムは、太陽の光エネルギーを屋根などに設置した太陽電池パネルで電気に変換することで、発電する仕組み。
太陽光発電協会によると、住宅用システムの設置件数は、昨年末時点で約193万件。
自然エネルギーからつくった電気を電力会社が固定した価格で買い取る制度が12年に始まったこともあり、5年前に比べ2.6倍に増えた。
消費者事故調が、死者やけが人、健康被害が出ていない事故を調査するのは、4年前の発足以来初めて。
宇賀克也委員長は、調査開始について「太陽光発電のさらなる普及が見込まれることを重視し、未然に事故発生を防ぐため」と述べた。
出典
『住宅用太陽光発電の事故、消費者事故調が調査開始へ』
http://www.asahi.com/articles/ASJB04TC4JB0UTIL03K.html
10月31日16時18分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
住宅に設置された太陽光発電システムから発火・発煙した事故が、2008年3月から今年7月までに102件起きていたことが、31日、消費者庁のまとめで明らかになった。
同庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、施工や保守点検の仕組みなどに問題があるとみて、調査を始めた。
住宅向けの太陽光発電システムは、太陽光エネルギーを電気に変換する太陽電池モジュールを屋根に設置し、発生した電気を家庭で使えるように変換するもの。
業界団体などの調査によると、11年3月の東日本大震災を機に普及が早まり、昨年12月までに、累計で193万2729件が導入された。
事故も、11年以降に84件と、急増している。
事故のうち、原因が推定されたものは58件。
施工不良が31件と最多で、製品の不具合は20件あった。
負傷者はいなかったが、11年には屋根と一体になった太陽電池モジュールから発火し、住宅2棟が焼ける火災が千葉県内であった。
消費者事故調は、「再生可能エネルギーが注目を集める中で、太陽光発電システムは今後も導入が増える」と分析。
設置から間もない時期に事故が頻発しているため、システムだけでなく、関連工事、設置後のメンテナンスのあり方に問題がないか調べる。
出典
『太陽光発電 住宅の設備で火災多発…08年3月~今年7月』
http://mainichi.jp/articles/20161031/k00/00e/040/243000c
(ブログ者コメント)
太陽光発電システムの火災危険性について調べたところ、消防庁消防研究センターから平成26年に出された以下の報文(158ページ)が見つかった。ご参考まで。
(報文のまえがきに書かれている内容の骨子)
・システムは直流300Ⅴと放電時のエネルギーが大きいためゆえ、事故の際の出火の可能性も高いと考えられる。
・火災時、日射があれば電力を供給し続けるので、感電の危険や再出火の恐れがある。
・実際、出火や感電事例が報告されている。
・そこで実験的に危険性を確かめ、消防活動上の注意点を抽出する研究を行い、さまざまな留意点を見出した。
出典
『太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策』
http://nrifd.fdma.go.jp/publication/gijutsushiryo/gijutsushiryo_81_120/files/shiryo_no83.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。