2013年9月7日19時2分に朝日新聞から写真や図解付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
世界21カ国・地域の海水や海岸の砂から、発泡スチロールから溶け出たとみられる化学物質が検出されていたことが、日韓の研究グループの調査でわかった。
脳などの発達に影響する恐れが指摘されている物質も含まれ、未知の海洋環境汚染が地球規模で広がっている可能性がある。
産業技術総合研究所の道祖土(さいど)勝彦研究員らのグループによる研究成果で、8日(日本時間9日)から始まる、世界最大級の学会として知られる米国化学会で発表される。
研究グループは、発泡スチロールの原料のポリスチレンが分解してできる物質「スチレンオリゴマー」(SO)に着目。10年前から各国の海岸で調査を始め、今回、世界の21カ国・地域の34地区、267地点で採取した試料の分析結果をまとめた。
SOは、すべての調査地点の海水と海岸の砂から検出された。
海水より砂での濃度が高く、地区ごとの平均では、ギリシャの砂(3万1400ppb)、コスタリカの砂(2万6300ppb)、マレーシアの砂(1万8900ppb)の順に高かった。
海水中の濃度は米・ワシントン州(30・4ppb)が最高だった。国内での最高値は長崎県・対馬で採取した砂で8540ppbだった。
こうしたSOの発生源を突き止めるため、研究グループは実験室内でポリスチレンを50℃以下で分解させてつくったSOと離島で採取した試料のSOの組成を比較した結果、ほぼ一致。
海から検出されたSOは、海岸に漂着したポリスチレンが分解されてできた可能性が高いと結論づけた。
SOの一部については生殖器や脳の発達を阻害する「環境ホルモン」作用があるという研究が1997年に発表された。
環境庁(当時)は2000年、別の研究結果を根拠に、これらを「疑いのある化学物質」のリストから除外した。しかし、その後もラットへの微量投与で脳の重量が減ったとする研究結果など、生物への影響を指摘する報告が相次いでいる。
ポリスチレンから作られる発泡スチロールは、カップ麺などの食品容器に多く使われているが、100℃以下では分解されにくいとされている。
70年代から発泡スチロールを含むプラスチックの耐熱性を研究している道祖土研究員は「プラスチック製品は常温では分解されないと考えられていたが、実は少しずつ分解され、周囲に化学物質を放出している。海洋では実際に汚染が進んでいることが示された」と話している。
〈ポリスチレン〉
海洋の漂流ごみは世界全体で年間600万~700万トン発生しているとされる。
なかでも大きな比率を占める発泡スチロールは、ポリスチレンから作られる。
ポリスチレンは、スチレンモノマー(SM)の分子が鎖状に結合した構造で、劣化すると2~数個のSMがつながったスチレンオリゴマー(SO)が発生する。
SOの環境基準はないが、世界保健機関(WHO)はSMについて動物実験の結果から人体に影響が及ばない値を推定し、飲料水1ℓ中に0・02mg(20ppbに相当)とする基準値案を示している。
《海洋汚染問題に詳しい田辺信介・愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授(環境化学)の話》
世界中の海に漂流している膨大な量のプラスチックの一部が化学物質汚染を引き起こしていることを示す研究成果だ。まず漂流量を抑える策をとるとともに、プラスチック全般について生態系に及ぼす影響を詳細に解明する必要がある。
《日本スチレン工業会の話》
工業会が国内外の複数の試験機関に依頼した研究で、スチレンオリゴマーには環境ホルモン作用は認められないという結果が得られている。人体への影響もない。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0907/OSK201309070028.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
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