2014年9月6日14時40分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
プラスチックによる海洋汚染が問題視されている。
波間を漂ううちに砕けて微小になったものは化学物質を吸着しやすく、魚や鳥がのみ込んで海の生態系や海産物に影響を与えるおそれが指摘される。
環境省が日本近海の実態調査に乗り出したほか、国際機関による警鐘で使用を抑えようという動きも出てきた。
高知県足摺岬の南西20km。黒潮が毎時5kmで東へ流れる外洋に、海面が筋状に光を反射して川のように見える部分があった。潮の流れがぶつかってできる「潮目」だ。
船がさしかかると、大量のごみが流れているのが見えた。20年以上船に乗る濱田・1等航海士(46)は、「自分が知っている海の色じゃない。外洋でもこんなに汚れているとは思わなかった」。
プラスチックごみの調査を行う東京海洋大の練習船「海鷹丸」に7月中旬、同乗した。
環境省から、漂流量や経路など、ほとんどわかっていない実態を探ろうと、国内初めての全国調査を任された。
乗員らが、プランクトンを採取するための細かい網目のネットを引くと、みるみるごみでいっぱいになった。
竹や軽石、木片、プランクトンの死骸など。包装紙やポリ袋など人の生活から出たごみに交じって、白や青、黄など様々な色をした破片がたくさんある。
「マイクロプラスチックです」。分析を担当する九州大の磯辺篤彦教授(海洋物理学)は話す。
海に流れ出たペットボトルなどのプラスチックは、波や温度差、紫外線で砕けて細かくなる。
このほか、研磨剤として化粧品や歯磨き粉に含まれる「マイクロビーズ」と呼ばれるポリエチレンの粒子や、製品に加工される前のプラスチックの粒「レジンペレット」などを含め、大きさ5mm以下のものはマイクロプラスチックと呼ばれる。
微小プラには元々、有害物質が含まれている上、石油からできているためPCBなどの有害物質を吸着しやすい。濃度は周りの海水の10万~100万倍になることもある。
微小プラを魚や海鳥が間違えて食べてしまう例も相次いでいる。
東京農工大の高田秀重教授(環境化学)は昨年、ベーリング海の死んだ海鳥12羽の脂肪からプラスチックに添加される難燃剤「PBDE」が見つかったとする論文を発表した。摂取すると神経障害を引き起こす有毒物質だ。胃の中のプラスチック片から溶け出したものだという。
微小プラを摂取させたメダカに肝機能障害が起きたという論文もある。
海産物にも影響が出ている。
ベルギーの研究チームが7月に発表した論文では、北海の養殖場のムール貝と、スーパーで購入したフランス産のカキを分析したところ、身から微小プラが見つかったとしている。
欧州で1人あたりの貝の平均的な消費量を考えると、1年で1万1千個の微小プラを摂取していることになる。
高田教授は、「日本近海の海産物にも含まれていると考えてもおかしくない。食べた人にどういう影響があるかは未知数だ」と話す。
1950年代に石油を原料として商品化されたプラスチックは、軽くて耐久性が高く、私たちの生活に欠かせない。
生産量は全世界で年間2.8億トンに上るという。理論上、数百年から数千年間、自然界に安定的に残るとされる。
不法投棄されたり埋め立て地から流出したりして、川や海に流れ出て微小プラになると、回収はほぼ不可能だ。
世界では、北太平洋や南大西洋など五つの海域で、漂流プラごみが集まりやすい場所がある。
北極の氷からプラスチック片が見つかったとする報告もある。
「海がプラスチックのスープになっている」などと表現される。
国連環境計画(UNEP)は今年の報告書で、微小プラを含むプラスチックごみが海洋に与える経済損失は少なくとも毎年130億ドル(約1兆3千億円)と試算した。生態系や漁業、観光への影響、清掃活動費などを見積もった。
こうした危機感から、プラスチックの使用を減らしていこうという動きが海外では出てきた。
米では五大湖に接するイリノイ州で、今年6月、マイクロビーズの製造や製品への使用を禁止する法律が成立。
ニューヨークなど複数の州でも同様の法案が検討されている。
ユニリーバやジョンソン&ジョンソンなど大手企業も、マイクロビーズの使用を段階的に取りやめるという。
他方、日本国内の動きは鈍い。
業界団体の日本化粧品工業連合会は、「マイクロビーズの使用に関して、各社内々に対応の検討は始めているが、情報収集の域は出ない」という。
植物などを原料とした分解されやすいバイオプラスチックの開発は進むが、石油由来のものから換えようという動きは一部にとどまる。
UNEPの報告書では、企業にプラスチックをどれだけ使っているかを公開し、期限を示した削減目標を作るよう促している。
UNEPのシュタイナー事務局長は、「プラスチックは現代生活に欠かせないが、環境影響も無視できない。環境に入らないようにすること、つまりプラスチックの減量、再利用、再資源化が対策の第一歩だ」とコメントしている。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG913GF4G91ULBJ002.html
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