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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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201737192分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がシミュレーション図付きでネット配信されていた。

 

原発の重大事故で、西日本の大半が避難を余儀なくされる。

そんな計算結果が、ひそかに関心を集めている。

日本の原発が舞台ではない。

海を挟んだ隣国、韓国での原発事故を想定した話だ。

 

シミュレーションをしたのは、韓国人の核物理学者で、現在、米ワシントンのシンクタンク「天然資源防衛委員会」(NRDC)の上級研究員を務める姜政敏(カン・ジョンミン)博士(51)ら。

 

カン博士が昨年10月末に韓国で発表し、その後も、日韓での核問題関連の集会で警鐘を鳴らしている。

国際会議で来日したカン博士に話を聞いた。

 

カン博士らがシミュレーションの舞台に選んだのは、韓国南東部、釜山市の海沿いにある古里(コリ)原発だ。

古里は、軍出身の朴正熙(パク・チョンヒ)独裁政権時代の1978年に1号機が完成した、韓国最古の原発。

韓国内で商業運転する25基のうち7基が海沿いに並ぶ、韓国最大規模の「原発銀座」だ。

 

ここでは、原発の運転で生じる「使用済み核燃料」を、各原子炉に隣接する貯蔵プールで冷却、保管している。

しかし、使用済み核燃料はどんどん増えており、間隔を詰めて「密集貯蔵」している。

 

このうち古里3号機には、韓国の原子炉別では最も多い818トン分の使用済み核燃料(2015年末)が貯蔵されている、とされる。

貯蔵プールが手狭になった1、2号機の使用済み核燃料も移送され、3号機で保管しているためだという。

 

カン博士は、こうした貯蔵方法の危険性を指摘する。

もし、災害やテロなど、何らかの原因で電源が喪失し、使用済み核燃料を冷やす機能が失われ、温度の急上昇で火災が起きたらどうなるのか。

 

博士らは、この3号機の使用済み核燃料プールで冷却機能が失われ、燃料プールの水位の低下で使用済み核燃料がむき出しになって火災が起き、さらに建屋内に水素ガスが充満して爆発した事態を想定。

使用済み核燃料に含まれる放射性物質セシウム137が次々と気体化して大気中に放出された場合、どのように拡散するかを検討することにした。 

・・・・・・・・

 

その結果、明らかになったのは、最も大きな被害が予想されるのは、原発事故の当事国である韓国ではなく、日本になるということだ。

 

韓国では、最大54000km2が避難対象地域になり、最大2430万人が避難を余儀なくされる。

これに対し、日本では最大67000km2が避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる、というシミュレーション結果が出た。

 

被害は、南北軍事境界線を挟んだ北朝鮮や中国など広範囲に及ぶ。

セシウム137の半減期である30年が過ぎても、引き続き避難したままとなるのは、最悪の場合、韓国では1900万人、日本は1840万人、との計算結果が出た。

 

このような最悪の事態を起こしてはならないが、カン博士は「これまでは幸いにもこうした事故が起きていないが、早めに対策をとる必要がある」と主張する。

 

カン博士の今回のシミュレーションは、使用済み核燃料を想定対象としたが、古里原発を含めて、韓国の原発のうち19基は、日本海側の海沿いに並んでいる。


こうした原発で放射性物質が漏れ出すような事故が起きた場合、西から東へと吹く偏西風の影響によって、放射性物質は風に運ばれて海を越え、日本列島の広範囲に及ぶおそれがあるという。

 カン博士は、「特に強い偏西風が吹く冬に事故が起きたとすれば、深刻な被害は、ほとんどが日本に及ぶでしょう」と指摘する。

 

カン博士は、原発を動かせば必ず生じる使用済み核燃料の危険性に気づいて欲しいと、このようなシミュレーションを試みた。 

 

原発推進策をとる韓国だが、使用済み核燃料の最終処分方法は定まらない一方、原子炉ごとの使用済み核燃料プールは、どんどん余裕がなくなっている。

カン博士によると、プールで貯蔵する使用済み核燃料棒の間隔の幅を少しでも広げることで、火災発生の危険性を下げられるという。

 

そのため、「5年ほどは使用済み核燃料の熱をさげるために貯蔵プールで冷却し、その後は専用の密閉容器の中で空気で冷却する『乾式貯蔵』をとりいれるべきだ」と提案する。

 

さらに、カン博士が何よりも訴えたいことは、核の惨事において東アジアは「運命共同体」であるという点だ。

日本、中国、韓国とも、国策として原発の稼働や増設を推進し、商業炉は日中韓で計約100基に達する。

核実験を繰り返す北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にも、核開発関連施設が集まる。

地球儀を眺めれば、私たちが暮らす東アジアは、世界的にもまれな核施設の「密集地域」と言える、というのだ。

 

もし核の惨事が起きれば、その被害は、気象条件によっては東アジアの広範囲に及ぶおそれがある。

韓国で起きれば日本へ、中国で起きれば韓国、日本へと、被害地域は偏西風の流れに沿って東側に広がる可能性が高い。

 

カン博士は、「だからこそ、自国だけでなく隣国の核問題にも関心を持たなければならないし、使用済み核燃料をはじめ、核施設の安全管理の面で日中韓が協力しなければならない」と指摘する。

 

原発から出る使用済み核燃料をめぐっては、日本政府はこれを再処理してプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜたMOX燃料にして再び原発の燃料にするという「核燃料サイクル」政策を維持している。

 

だが、日本のプルトニウムの保有量は約47.9トン(2015年末、国内外)に達する半面、政府が描いた核燃料サイクルは、うまく機能していない。

日本のプルトニウム保有量が「核兵器約6000発分」に匹敵する膨大な量であることから、関係国の核専門家らは、「日本は潜在的な核武装能力を保持しようとしているのではないか」と懸念している。

 

ただ、こうした日本の核政策は、韓国の核推進論者の間で格好の「模範」とされ、「韓国でも使用済み核燃料の再処理の実施を」という主張を後押ししている。

核政策も、海を越えて、互いに影響を与えあっているのだ。

 

カン博士は、「日本でさらにプルトニウムの量が増えれば、地域の緊張を高め、周辺国にプルトニウム保有の口実を与えるだけだ」と警告する。

 

チェルノブイリや福島の原発事故を通して、私たちは、核惨事の被害に「国境」はないことを学んだ。

重大な事故が起きれば、隣国や周辺国に取り返しのつかない甚大な被害を与えるおそれがある。


福島の原発から6年。

私たちは、もう一度、教訓を思い起こし、日本はもちろん、近隣国の原発・核問題にも関心を持ち続けなければならない。

 

出典

韓国の原発銀座で惨事なら 「西日本の大半避難」の推定

http://www.asahi.com/articles/ASK36451LK36PLZU002.html?iref=com_rnavi_arank_nr04

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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