2018年4月1日9時13分に読売新聞から、現場写真と事故件数推移の棒グラフ付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高齢者が用水で死亡する事故が富山県内で繰り返されている。
今年は、3月末までに死亡事故や行方不明になる事故が、少なくとも7件起きた。
稲作が盛んな富山では、用水は身近な存在だ。
高齢者を事故から守るには、どうすれば良いのだろうか。
◆まさかここで……
「こんな細い用水に落ちていると思わなかった」。
昨年5月、富山市八尾町三田の用水で発見され、死亡した山崎さん(女性、当時91歳)の義娘(70)は、自宅近くを流れる幅約60cmの用水に目をやった。
山崎さんが見つかったのは、流れ込んだ水がたまるようになっている升状の場所で、住民はここで水をくんだり野菜を洗ったりしていた。
義娘は「水をくみに来て落ちたのかも知れないね」と話した。
近所の住民によると、下流では過去にも高齢者が亡くなる事故が起きているという。
近くに住む女性(90)はつぶやいた。
「家族から用水に近づくなと言われるようになった。この細い用水が危ないなんて、昔は思いもしなかったのに」
◆年間約20人が死亡
県内には、基幹的な水路(幅1m以上)が約6000kmにわたって整備されており、このほかに大小の用水が網目のように張り巡らされている。
地域によっては、自宅から外出する際、何度も用水を横切ることも珍しくない。
県農村整備課によると、県内の用水やため池で起きた転落事故による死者数は、2007年度から16年度の10年間で、少なくとも203人に上る。
約8割にあたる163人は65歳以上の高齢者で、多くは用水での事故だった。
16年度に用水で起きた死亡事故は25件で、このうち半数以上の14件が小規模な用水(幅1m未満)で起きたことがわかっている。
高齢者でも簡単に渡れそうな、狭く、水深が浅い用水で多くの命が失われている。
◆家族で話し合って
小規模な用水の危険性について、一般社団法人水難学会の斎藤秀俊会長(長岡技術科学大教授)は、「狭く浅い用水への転落は、水底のコンクリートに頭を打ちつけることを意味する」と指摘する。
頭を打って狭い用水内で意識を失って倒れると、水の流れが体でせき止められ、そのまま水死することにつながるという。
用水を使う住民が「不便だ」と柵の設置を望まないケースや、予算の制限があることなどから、安全対策は進んでいない。
こうした事故から高齢者を守る方法について、斎藤会長は「用水が身近にある生活を何10年も続けると意識しにくいが、足腰の弱った人には危険だと家族で話し合ってほしい。高齢者がよく通る用水付近だけでも、ふたや柵をつける対策も必要だ」と話す。
県も、用水への転落事故を防ぐため、
〈1〉危険箇所について高齢者に声掛けをする
〈2〉身近な水路の安全確認をする
〈3〉暗くて水路が分かりにくい場所に注意する
ことを呼びかけている。
出典
『「こんな細い用水に…」高齢者の死亡事故相次ぐ』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180331-OYT1T50122.html
(ブログ者コメント)
用水路への転落事故については、過去にも数多く事例や検証結果などを紹介している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。