台風21号の影響で無許可盛り土が崩落した事例が奈良県の三郷町と生駒市で起きていた。
以下は三郷町の事例。
2017年11月22日17時30分にNHK奈良から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月の台風21号の影響で、奈良県三郷町で近鉄生駒線の線路脇の法(のり)面とその上に建つ住宅の基礎を支える部分の地盤が崩れ、近鉄生駒線は2日にわたって運休し、その後の雨でも運転を見合わせる事態となった。
被害から1か月が経ったが、現場の法面にはブルーシートがかぶせられているだけで復旧工事は行われておらず、近鉄生駒線は現場付近で徐行運転を続けている。
法面の上に建つ住宅のうち8棟が、奈良県による調査で敷地がさらに崩壊する危険があると判断され、このうち4世帯が避難生活を続けているが、復旧工事はまだ始まっていない。
住民のグループは、土地の造成許可を出すなどした奈良県に対し、復旧工事に先立って地盤が崩れた原因の究明などを求め、奈良県は今月9日、宅地の地盤などに詳しい専門家を現地に派遣するなどの対応に当たっていた。
そして22日、地盤の状態をさらに詳しく調べるためのボーリング調査が本格的に始まった。
奈良県は、調査結果を受けて住宅の安全を確保するための最低限の工事を行うとしているほか、近鉄も準備が整いしだい、線路脇の法面の復旧工事を行いたいとしている。
出典
『生駒線沿線の地盤崩れ 原因調査』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/2055709521.html
11月11日付で読売新聞からは、被害の様相などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場は、県の開発許可を受けた業者が造成後、3度補修が行われた経緯があり、住民側は「県にも責任があるのでは」と主張する。
県は「瑕疵はない」との立場だが、知事判断で崩落原因の調査を始めた。
台風21号が接近した10月22日夜、住宅が並ぶ高台で斜面の擁壁が高さ約8m、幅約50mにわたって崩れた。
「地面にあいた穴に、敷地が吸い込まれていった」。住民の会社員男性(50)は、当時をそう振り返る。
基礎部分や配水管がむき出しになった住宅もあり、一部の住民は二次被害を防ぐため、親類宅などで避難生活を続けている。
奈良地方気象台によると、現場付近に近い観測地点(奈良県田原本町)では、22日の24時間雨量は214.5ミリと、観測史上最多を記録した。
出典
『斜面崩落で近鉄、徐行運転続く…奈良・三郷町』
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20171111-OYO1T50018.html
10月31日14時47分にYAHOOニュース(毎日放送)からも、被害の様相や背景などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本列島の各地で猛威を振るった台風21号。
奈良県の三郷町では台風が過ぎ去った後、とんでもない光景が広がっていた。
「大きく崩落し、住宅の基礎部分がむき出しになっています。エアコンの室外機が宙にぶら下がっていて、非常に危険な状態です」(記者)
台風による長雨の影響で近鉄生駒線の線路わきの法面が崩れ落ちてしまったのだ。
住宅の基礎がむき出しとなり、排水管や杭が丸見えに。
いまにも家屋が倒れてしまいそうな状態だ。
当時、家の中にいたAさんは恐怖におののいていたと言う。
「バキバキというような音とか、大きな音がしましたね。蟻地獄のように砂が吸い取られていった感じです」(Aさん)
・・・・・
法面が崩れる前は、元々、なだらかな斜面が続いていた場所で、約16年前、開発業者が中腹に盛り土をして住宅地が造成されたという。
近鉄は徐行運転を行いながら復旧工事をしているが、実は崩落した法面は住宅の敷地で、流出した土砂は住民の所有物にあたるため、住民自らの手で補修しなければならないのだ。
「あくまで個人宅の被害ですので、公費を投入して県が是正工事をするというのは、今すぐには難しい」(奈良県建築課 階戸課長補佐)
・・・・・
出典
『【特集】台風21号被害 法面崩壊の住宅と近鉄線の復旧』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171031-10000001-mbsnews-l27
11月9日18時40分に奈良テレビからは、造成地開発業者は倒産しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
きょう専門家による初めての現地調査が行われた。
京都大学防災研究所・釜井俊孝教授
「場所によってかなり地質の状況が違うということがあるのかなということ、それから、同じ盛り土でも崩れた盛り土と崩れなかった盛り土があるので、その違いがなんなのかということがひとつのポイントですね
それからもう一つは、この斜面ですね 擁壁の下の斜面がどうだったかということが、今後のポイントですね」
県は、今後、原因究明を行うとともに、暫定的な復旧工事を行う方針を示している。
しかし、被災地が民有地である上、開発を行った業者が倒産しているため、住民が生活を取り戻すための支援をどこが中心となって行うかはまだ決まっていない。
出典
『住宅斜面崩落原因究明へ 専門家が現場調査』
http://www.naratv.co.jp/news/20171109/20171109-04.html
(2017年12月12日 修正1 ;追記)
2017年12月11日15時38分にNHK奈良から、対策工事が始まったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし10月、台風21号の影響で崩落した奈良県三郷町の近鉄生駒線沿いののり面やその上の住宅の地盤が、これ以上崩れないようにする対策工事が11日から本格的に始まった。
これまで、住民側が原因を究明する調査を先に行うべきだと主張したため、工事は先送りになっていたが、専門家からの「調査と工事は同時に実施可能だ」とする提言を受けて、近鉄と三郷町が11日から本格的に始めた。
現場では、基礎部分がむき出しになっている住宅が崩落しないよう、支える工事を行うために足場が組まれたほか、のり面の擁壁がこれ以上ずり落ちないよう、固定する作業も進められていた。
修復工事は今月23日までで、今後、崩れた地盤をモルタルで覆う作業などを行う予定。
現場では奈良県も、住宅の安全を確保するための工事を、今後、行うことにしている。
出典
『近鉄生駒線沿い 対策工事本格化』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/2053420601.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。