本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。 それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。 本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。 一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。 (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
ブログ内検索 Site Search
キーワードに合致した記事を検索できます(複数キーワード検索可)
アーカイブ Archive
最新記事 Latest Articles
(11/22)
(11/21)
(11/20)
(11/19)
(11/18)
(11/18)
(11/17)
(11/17)
(11/16)
(11/15)
(11/15)
(11/14)
(11/14)
(11/13)
(11/13)
(11/13)
(11/12)
(11/12)
(11/12)
(11/11)
(11/11)
(11/10)
(11/10)
(11/09)
(11/08)
最古記事 Oldest Article
(04/09)
(04/09)
(04/09)
(04/09)
(04/09)
(04/10)
(04/10)
(04/10)
(04/10)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
(04/11)
2012年7月6日0時16分にmsn産経ニュースから、『「明らかに人災 国会事故調の報告書要旨』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国会に設置された事故調査委員会がまとめた報告書の要旨は以下の通り。
事故の根源的な原因は、東電福島第1原発が、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態だったことと推定される。
【事故の直接的原因】
事故の直接的原因は、地震と津波という自然現象だが、事故が実際にどのように進展していったか解明されていないことが多い。
しかし、東電は事故の主因を早々に津波とし、「安全上重要な機器は地震で損傷を受けたものはほとんど認められない」と中間報告書に明記。政府も、国際原子力機関(IAEA)に提出した事故報告書に同趣旨のことを記した。
「想定外」とすることで責任を回避するための方便のようにも聞こえるが、地震リスクと津波リスクも、東電と規制当局関係者によって事前に認識されていたことが検証されており、言い訳の余地はない。
1号機では、地震により、小規模のLOCA(小さな配管破断などの冷却材喪失事故)が起きた可能性を否定できない。
【運転上の問題の評価】
1号機の非常用復水器(IC)の操作に関してはマニュアルもなく、運転員は十分訓練されていなかった。
早期のうちにICの蒸気管に水素ガスが充満し、そのために自然循環が阻害され、ICが機能喪失していたと推測している。
多重防護が一気に破られ、同時に4基の原子炉の電源が喪失する中で、2号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)が長時間稼働したことなど、偶然というべき状況がなければ、2、3号機はさらに厳しい状況に陥ったとも考えられる。
【緊急時対応の問題】
緊急時対応について、官邸、規制当局、東電経営陣には、準備も心構えもなく、その結果、被害拡大を防ぐことはできなかった。
官邸は、緊急事態宣言を速やかに出すことができなかった。
官邸は東電の本店と現場に直接的な指示を出したことで、現場の指揮命令系統が混乱した。
官邸による発電所の現場への直接的な介入は指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった。
東電本店は官邸の意向を現場に伝える役割だけの状態に陥った。
3月14日、2号機の状況が厳しくなる中で、東電が全員撤退を考えているのではないかという点について、東電と官邸の間で認識のギャップが拡大したが、根源には、両者の相互不信が広がる中で、東電社長が官邸の意向を探るかのような曖昧な連絡に終始した点があったと考えられる。
ただし、
(1)発電所の現場は全面退避を一切考えていなかったこと。
(2)東電本店でも退避基準の検討は進められていたが、全面退避が決定された形跡はなく、東電社長が官邸に呼ばれる前に確定した退避計画も緊急対応メンバーを残して退避するといった内容であったこと。
などから判断して、首相によって東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできない。
【被害拡大の要因】
事故発災当時、政府から自治体に対する連絡が遅れたばかりではなく、その深刻さも伝えられなかった。
同じように避難を余儀なくされた地域でも、原発からの距離によって事故情報の伝達速度に大きな差が生じた。着の身着のままの避難、多数回の避難移動、あるいは線量の高い地域への移動が続出した。
その後の長期にわたる屋内避難指示や自主避難指示での混乱、線量の高い地域に避難した住民の被曝、4月まで避難指示が出されず放置された地域など避難施策は混乱した。
規制当局の原子力防災対策への怠慢と、当時の官邸、規制当局の危機管理意識の低さが、住民避難の混乱の根底にあり、官邸と規制当局の危機管理体制は機能しなかった。
【住民の被害状況】
被害を受けた広範囲の多くの住民は、不必要な被曝を経験した。また、避難のための移動が原因と思われる死亡者も発生した。
1万人を超す住民アンケートには、いまだに進まない政府の対応に厳しい声が多数寄せられている。
放射線被曝による健康問題、家族、生活基盤の崩壊、そして広大な土地の環境汚染問題は深刻だ。
【問題解決に向けて】
関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されぬ無知と慢心で、世界の潮流を無視し国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)だった。
規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である組織的、制度的問題が「人災」を引き起こしたと考える。
人を入れ替え、組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能だ。
【事業者】
東電はエネルギー政策や原子力規制に強い影響力を行使しながらも自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する経営を続けてきた。
東電は官僚的だったが、一方で原子力技術に関する情報の格差を武器に、電気事業連合会などを介して規制を骨抜きにする試みを続けた。
東電は官邸の過剰介入や全面撤退との誤解を責めることが許される立場になく、混乱を招いた張本人だった。常により高い安全を目指す姿勢に欠け、現場軽視の東電の経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか。
【規制当局】
規制当局は原子力の安全に対する監視・監督機能を果たせなかった。
規制当局の、推進官庁、事業者からの独立性は形骸化しており、その能力においても専門性においても、安全への徹底的なこだわりという点でも、国民の安全を守るには程遠いレベルだった。
日本の原子力法規制は、その改定で、実際に発生した事故のみを踏まえた対症療法的対応が重ねられ、諸外国の事故や安全への取り組みなどを真摯に受け止めて見直す姿勢にも欠けた。
その結果、常に想定外のリスクにさらされることとなった。原子力法規制は抜本的に見直す必要がある。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120706/dst12070600180001-n1.htm
以下は、事故調査委員会の報告書所在URL。
http://naiic.go.jp/report/
(ブログ者コメント)
□よくぞ半年ちょっとの短期間でここまで調べあげ、かつ報告書として纏めあげられたものだ。
大勢のスタッフがついていたとは思うが、まずは敬意を表する。
□従来、事故報告書というものは、直接原因の記述に多くを割き、間接原因の考察は副次的だったものが多かった。
しかし、この報告書は、事故の特殊性もあろうが、間接原因中心にさまざまな角度から鋭くえぐったものになっており、その点で出色だと感じた。
(政府事故調査委員会と棲み分けしているのかもしれないが)
□東電が作成した報告書には、「貞観津波の取り扱いは土木学会での検討に委ねていた」といった趣旨の記述があったが、その土木学会について、本文92ページで、以下のような趣旨で斬り捨てている。
「土木学会手法のような民間で策定した技術基準を規制に用いるには、公正、公平、公開が重視され、法令などとも対応がとれなければならないが、土木学会手法は、これらの要件を満たしていない。」
□本文194ページに「運転員たちの気概」というタイトルで、短くはあるが、現場のオペレーターたちの当時の心境などに触れ、「彼らの勇気と行動にも支えられ、危機にあった原子炉が冷却停止にまで導かれた事実は特筆すべきである」と記されていた。
事故調委員としても、心打たれるところがあったのだろう。
フクシマ50と称された方々も、この一文をもって、少しは報われたのではないだろうか?
国会に設置された事故調査委員会がまとめた報告書の要旨は以下の通り。
【事故は「人災」】
事故の根源的な原因は、東電福島第1原発が、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態だったことと推定される。
今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことで、安全対策が取られないまま3月11日を迎えたことで発生した。
規制当局と東電との関係では、規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電力事業者の「虜」となっていた。安全についての監視・監督機能は崩壊していたと見ることができ、いわゆる「規制の虜」だった。
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、事故は自然災害ではなくあきらかに「人災」だ。
【事故の直接的原因】
事故の直接的原因は、地震と津波という自然現象だが、事故が実際にどのように進展していったか解明されていないことが多い。
しかし、東電は事故の主因を早々に津波とし、「安全上重要な機器は地震で損傷を受けたものはほとんど認められない」と中間報告書に明記。政府も、国際原子力機関(IAEA)に提出した事故報告書に同趣旨のことを記した。
「想定外」とすることで責任を回避するための方便のようにも聞こえるが、地震リスクと津波リスクも、東電と規制当局関係者によって事前に認識されていたことが検証されており、言い訳の余地はない。
1号機では、地震により、小規模のLOCA(小さな配管破断などの冷却材喪失事故)が起きた可能性を否定できない。
【運転上の問題の評価】
1号機の非常用復水器(IC)の操作に関してはマニュアルもなく、運転員は十分訓練されていなかった。
早期のうちにICの蒸気管に水素ガスが充満し、そのために自然循環が阻害され、ICが機能喪失していたと推測している。
多重防護が一気に破られ、同時に4基の原子炉の電源が喪失する中で、2号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)が長時間稼働したことなど、偶然というべき状況がなければ、2、3号機はさらに厳しい状況に陥ったとも考えられる。
【緊急時対応の問題】
緊急時対応について、官邸、規制当局、東電経営陣には、準備も心構えもなく、その結果、被害拡大を防ぐことはできなかった。
官邸は、緊急事態宣言を速やかに出すことができなかった。
官邸は東電の本店と現場に直接的な指示を出したことで、現場の指揮命令系統が混乱した。
官邸による発電所の現場への直接的な介入は指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった。
東電本店は官邸の意向を現場に伝える役割だけの状態に陥った。
3月14日、2号機の状況が厳しくなる中で、東電が全員撤退を考えているのではないかという点について、東電と官邸の間で認識のギャップが拡大したが、根源には、両者の相互不信が広がる中で、東電社長が官邸の意向を探るかのような曖昧な連絡に終始した点があったと考えられる。
ただし、
(1)発電所の現場は全面退避を一切考えていなかったこと。
(2)東電本店でも退避基準の検討は進められていたが、全面退避が決定された形跡はなく、東電社長が官邸に呼ばれる前に確定した退避計画も緊急対応メンバーを残して退避するといった内容であったこと。
などから判断して、首相によって東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできない。
【被害拡大の要因】
事故発災当時、政府から自治体に対する連絡が遅れたばかりではなく、その深刻さも伝えられなかった。
同じように避難を余儀なくされた地域でも、原発からの距離によって事故情報の伝達速度に大きな差が生じた。着の身着のままの避難、多数回の避難移動、あるいは線量の高い地域への移動が続出した。
その後の長期にわたる屋内避難指示や自主避難指示での混乱、線量の高い地域に避難した住民の被曝、4月まで避難指示が出されず放置された地域など避難施策は混乱した。
規制当局の原子力防災対策への怠慢と、当時の官邸、規制当局の危機管理意識の低さが、住民避難の混乱の根底にあり、官邸と規制当局の危機管理体制は機能しなかった。
【住民の被害状況】
被害を受けた広範囲の多くの住民は、不必要な被曝を経験した。また、避難のための移動が原因と思われる死亡者も発生した。
1万人を超す住民アンケートには、いまだに進まない政府の対応に厳しい声が多数寄せられている。
放射線被曝による健康問題、家族、生活基盤の崩壊、そして広大な土地の環境汚染問題は深刻だ。
【問題解決に向けて】
関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されぬ無知と慢心で、世界の潮流を無視し国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)だった。
規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である組織的、制度的問題が「人災」を引き起こしたと考える。
人を入れ替え、組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能だ。
【事業者】
東電はエネルギー政策や原子力規制に強い影響力を行使しながらも自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する経営を続けてきた。
東電は官僚的だったが、一方で原子力技術に関する情報の格差を武器に、電気事業連合会などを介して規制を骨抜きにする試みを続けた。
東電は官邸の過剰介入や全面撤退との誤解を責めることが許される立場になく、混乱を招いた張本人だった。常により高い安全を目指す姿勢に欠け、現場軽視の東電の経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか。
【規制当局】
規制当局は原子力の安全に対する監視・監督機能を果たせなかった。
規制当局の、推進官庁、事業者からの独立性は形骸化しており、その能力においても専門性においても、安全への徹底的なこだわりという点でも、国民の安全を守るには程遠いレベルだった。
日本の原子力法規制は、その改定で、実際に発生した事故のみを踏まえた対症療法的対応が重ねられ、諸外国の事故や安全への取り組みなどを真摯に受け止めて見直す姿勢にも欠けた。
その結果、常に想定外のリスクにさらされることとなった。原子力法規制は抜本的に見直す必要がある。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120706/dst12070600180001-n1.htm
以下は、事故調査委員会の報告書所在URL。
http://naiic.go.jp/report/
(ブログ者コメント)
□よくぞ半年ちょっとの短期間でここまで調べあげ、かつ報告書として纏めあげられたものだ。
大勢のスタッフがついていたとは思うが、まずは敬意を表する。
□従来、事故報告書というものは、直接原因の記述に多くを割き、間接原因の考察は副次的だったものが多かった。
しかし、この報告書は、事故の特殊性もあろうが、間接原因中心にさまざまな角度から鋭くえぐったものになっており、その点で出色だと感じた。
(政府事故調査委員会と棲み分けしているのかもしれないが)
□東電が作成した報告書には、「貞観津波の取り扱いは土木学会での検討に委ねていた」といった趣旨の記述があったが、その土木学会について、本文92ページで、以下のような趣旨で斬り捨てている。
「土木学会手法のような民間で策定した技術基準を規制に用いるには、公正、公平、公開が重視され、法令などとも対応がとれなければならないが、土木学会手法は、これらの要件を満たしていない。」
□本文194ページに「運転員たちの気概」というタイトルで、短くはあるが、現場のオペレーターたちの当時の心境などに触れ、「彼らの勇気と行動にも支えられ、危機にあった原子炉が冷却停止にまで導かれた事実は特筆すべきである」と記されていた。
事故調委員としても、心打たれるところがあったのだろう。
フクシマ50と称された方々も、この一文をもって、少しは報われたのではないだろうか?
PR
この記事にコメントする
通信欄
問合せなどあれば記事末尾の読者通信欄に名前(匿名可)とメルアドを記入し
①確認ボタンをクリック
②記入欄に用件記入
③確認ボタンをクリック
④内容がOKであれば送信ボタンをクリック
してください。
ちなみに「ご送信ありがとうございました」との返信がありますが。それは通信欄会社からの自動メッセージですので、ご留意ください。
カテゴリー Category
最新コメント Latest Comments
[06/09 ※無記名]
[06/01 ※無記名]
[02/08 ※無記名]
[02/08 ※無記名]
[01/20 ※無記名]
[08/31 ガーゴイル]
[09/27 三浦]
[03/02 南方英則]
[11/20 山城守]
[07/20 記事内容について訂正をお願いします。]
[07/16 神戸ファン]
[04/21 Rawi]
[08/12 山田晴通]
[04/24 道産子]
[04/15 道産子]
[04/15 道産子]
[04/05 道産子]
[04/02 道産子]
[04/01 道産子]
[02/27 道産子]
[02/26 愛読者]
[01/10 愛読者]
[11/07 愛読者]
[10/12 愛読者]
[08/24 愛読者]
ツイッターなどへの接続
製造業ブログランキングへの接続
最新トラックバック
カウンター
アクセス解析
プロフィール Profile
HN:
魚田慎二
性別:
男性
自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。