2018年3月28日8時42分に福島民報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力関係の有識者らでつくる福島事故対策検討会と京都大の研究チームは、福島第一原発1、3、4各号機の原子炉建屋で起きた水素爆発について、原子炉格納容器内のガスを排出(ベント)する際、配管出口の消音器(サイレンサー)に炉心溶融で発生した粉じんや氷が詰まったのが原因とする検証結果をまとめた。
ガスが外部に十分に排出されず建屋内に充満し、爆発したとしている。
27日に大阪府の大阪大で開かれた日本原子力学会春の大会で示した。
研究チームは、事故当時、1~3号機格納容器内は溶融燃料により内部構造物が溶け落ちて、発生した粉じんと水素を含んだ水蒸気が充満していたとみている。
ベントによってガスは配管を通り排気筒から排出されるはずだったが、サイレンサーが大量の粉じんでふさがれ、別の配管から建屋内に逆流したと指摘。
さらに、ガス内の水蒸気がサイレンサーへの到達時に気圧の変化で凍結し、目詰まりしたとしている。
研究チームは、2011(平成23)年8月に1、2号機原子炉建屋の間にある排気筒周辺の配管付近で、毎時10シーベルト超の高線量が確認された経緯などを踏まえ、粉じんや高線量の氷が発生したと分析した。
1、2号機と3、4号機は2機で一つの排気筒を使用しており、ベント用配管は排気筒の直前で合流している。
東電は、2011年3月12日に1号機のベントを実施した。
2号機では、同13、15の両日にベントを行ったが、事実上、失敗に終わった。
研究チームは、先に実施した1号機のベントでサイレンサーが目詰まりした影響により、2号機で成功しなかったとみている。
研究チームは、サイレンサーが多くの原発で採用されているとした上で、「重大事故に備え、対応策の検討が必要だ」と訴えた。
出典
『消音器の詰まり原因か 第一原発水素爆発』
http://www.minpo.jp/news/detail/2018032850305
一方、少し前、2017年12月25日23時0分に日本経済新聞からは、3号機からのベントガスの35%が共用ベント配管を通って4号機に流れたことがデータで確認されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東電は25日、福島第1原発で発生した4号機の水素爆発の原因を調べた評価結果を、新潟県の技術委員会に示した。
事故を防ぐため原子炉を覆う格納容器の圧力を下げる排気の「ベント」について、3号機ではガスの35%が排気筒に向かわず、隣の4号機に流入したとみられることが分かった。
従来の東電による推定が裏付けられた。
福島第1原発の3号機と4号機は同じ排気筒を使い、配管でつながっている。
4号機は事故時に運転していなかったが、水素爆発が発生。
東電は3号機からのガス流入が原因と推定していたが、データを改めて評価して確認した。
再稼働を目指す柏崎刈羽原発では、各基ごとに独立した排気用の配管を設けて流入が起こらない対策を取っている。
技術委員会は、柏崎刈羽原発の安全性などを検証するため、原子力の専門家らが参加した県の組織。
出典
『福島第1原発4号機の水素爆発、原因裏付け 東電』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25057020V21C17A2L21000/
(ブログ者コメント)
建屋に水素が充満した原因については、過去に以下の情報を紹介しているが、サイレンサーが詰まったためという情報は初めてだ。
2015年5月27日掲載
2015年5月20日報道 福島第1原発2号機のベントが失敗したのは排気ラインに設置されていたラプチャーディスクが破れなかったことが原因か?
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4901/
2012年1月9日掲載
[福島原発事故] 3号機建屋の水素爆発はベント配管につながる配管を通って水素が原子炉建屋に逆流したことが原因か?
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/1198/4
2011年5月16日掲載
[昔の事例の顛末] 2011年3月15日 福島第一原発4号機建屋の爆発は3号機水素の逆流が原因か?
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/377/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。