2017年8月4日7時38分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前10時頃、富山県黒部市宇奈月町の山中で、関西電力黒薙第2発電所に工具などを運んでいたA社(東京都江東区)のヘリコプターから、重さ約700kgの資材(縦・横いずれも約0.8m、高さ約1.1m)が落下した。
けが人は確認されていない。
国の運輸安全委員会は、重大インシデントにあたるとして、4日に現地に調査官2人を派遣する。
委託元の関電の発表によると、現場は富山地鉄・宇奈月温泉駅(黒部市)から約1.5km東の山中。
ヘリがネットでくるんだ資材をワイヤでつるして海抜約1000mの上空を飛行していたところ、操縦士が資材がなくなっていることに気付いた。
A社を巡っては、関電の工事用資材を運んでいた昨年3月に福井県、同8月に奈良県で、それぞれ同様の落下事故を起こしている。
出典
『資材重さ700キロ、ヘリから落下…黒部の山中』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170803-OYT1T50143.html
8月3日18時28分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
黒部市宇奈月町の離着陸場から山中の作業場まで、複数回に分け、物資を運んでいる最中だった。
宇奈月駅から東に約1.5km、高さ約1000mを飛行中、つり下げていた工具類の入った網が落ちるのを、搭乗者2人のうち1人が目撃したという。 (共同)
出典
『富山の山中 ヘリから工具類700キロ落下 けが人なし』
https://mainichi.jp/articles/20170804/k00/00m/040/002000c
(ブログ者コメント))
A社ヘリから運搬中の資材が落下した事故を、本ブログでは過去に3件掲載している。
そのうち、福井県美浜町の事例については、事故の調査報告書が公表されたという情報を紹介したばかりだ。
(2017年8月25日 修正1 ;追記)
2017年8月21日22時35分に産経新聞westから、推定事故原因に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関電は21日、荷物をつり下げたフックのロック不良が原因だった可能性が高いと発表した。
運航会社のA社(東京)が21日、運輸安全委員会に報告した。
両社の合同調査によると、荷物をつり下げるフック部分が開いたため、落下したとみられる。
事故後の調査で、フックのロックが不完全な状態でもフックが開かずに荷物をつり上げられることがあると判明。
作業員が、不十分な状態にもかかわらずロックしたと誤認した可能性があるという。
また、ヘリ本体からロックを制御する電気回路が、接触不良などにより誤って解除の信号を出した可能性もあり、関電は再発防止策として、電気回路の点検内容を変更。
同型のフックの使用を取りやめ、作業員のロックの確認方法を変更して、22日以降、ヘリの運航を再開する。
出典
『ヘリ荷物落下はロック不良原因か 関電、原因特定至らず』
http://www.sankei.com/west/news/170821/wst1708210088-n1.html
(ブログ者コメント)
関西電力HPにA社と連名で、下記趣旨の記事が掲載されていた。
添付されている写真を見ると、合いマークに合致するようにフック窓の中の指示ラインが見えるべきところ、ロック不十分状態では端のほうにずれている。
(2)吊フックの状況
ヘリモッコの落下後に、基地に戻ったヘリコプターの吊フックを確認した結果、吊フックのみであり、フックは隙間なく閉じていたことを目視により確認しました。
また、ヘリコプター搭乗員および地上作業員へ聞き取りを行ったところ、地上作業員の吊フックへの玉掛け作業には問題がなかったこと、およびヘリコプター搭乗員による誤操作(飛行中に誤って吊荷を落下させる操作)はなかったことを確認しました。
(3)同型の吊フックでの検証結果
吊フックのインジケーターの指示ラインがわずかにずれ、ロックが不十分な状態でも荷物を吊り上げることができることを確認しました。
(4)吊フックの電気制御回路の検証結果
電気制御回路の端子部や配線において、接続端子の緩みや断線、異物の接触などにより誤った信号が出され、吊フックのロックが解除されることで、吊荷が落下する可能性があることを確認しました。
2.推定原因
以上の調査結果から、今回の落下原因は、以下の事象のいずれかにより、フックが開放し吊荷が落下したものと推定しました。
○吊フックのインジケーターの指示ラインをロック状態と誤認し、ロックが不十分な状態で運搬した。
○電気制御回路の誤った信号により、吊フックのロックが解除された。
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0821_1j.html
(2018年9月2日 修正2 ;追記)
2018年8月30日19時21分にNHK富山から、運輸安全委員会からも報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は30日、調査報告書を公表した。
それによると、ヘリコプターから荷物をつり下げる「サブフック」と呼ばれる装置に切断や裂け目は確認できなかったという。
このため、運輸安全委員会は、飛行中に「サブフック」のロックが外れて荷物が落ちた可能性が考えられるとしている。
ロックが外れた原因について、機体の振動による一時的な誤作動や絶縁不良、また、機内などから出た電磁波の影響が考えられるとしているが、特定できなかったとしている。
出典
『飛行中ヘリ荷物落下ロック解除か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20180830/3060000175.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。