2020年7月11日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10821/
(2020年8月19日 修正1 ;追記)
2020年8月12日6時31分に西日本新聞(熊本版)からは、市房ダムは事前に利水分を放流していたが、それでも緊急放流直前になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともども、タイトルも修正した)
【治水限界 対策急務】
熊本県南部を襲った7月4日の豪雨で、球磨川の上流にある県営市房ダム(水上村)は「緊急放流」を寸前で回避した。
同日未明、ダムの予測システムは受容の限界の流入量を予想しており、塚本所長は「最悪のシナリオも覚悟した」と明かす。
一方、ダム下流の人吉市や周辺に広がった浸水被害は、流域全体の治水の限界も示した。
豪雨前日の7月3日夕、塚本所長は、ダムの予測システムが計算した4日朝の流入量を見て、「この流入量なら大丈夫」と安心していた。
気象庁の24時間予想雨量は200ミリ、予測システムが出した流入量はダムの許容範囲の毎秒700~800トンだった。
だが、事態は未明に急変。
気象庁の予想は外れ、24時間雨量は倍の400ミリを超えた。
線状降水帯特有の長く激しい雨が、ダムへの流入予測を刻々と押し上げていった。
ダムの流入予測は、4日午前1時時点で「午前4時に毎秒900トン」、午前4時時点には「午前6時に毎秒1300トン」。
毎秒1300トンは、同ダムが想定する流入量の最大値。
緊急放流が現実味を帯びた。
貯水量が限界に達した場合、流入量と放流量を同量にしなければいずれ越流し、ダム決壊の恐れすらある。
一方、緊急放流で毎秒1300トンを放流すれば、「下流の水位は人吉市付近で、さらに20~30センチ上がっていた可能性がある」という。
ダム関係者は午前4時、「緊急放流」に向けた協議を開始。
同40分、流域の市町村長に電話で「時間は分かりませんが防災操作(緊急放流)に入る可能性がある」と伝達した。
気象庁が県南部に大雨特別警報を出す10分前だった。
午前5時時点の流入予測も「同6時に毎秒1300トン」。
ダムは同6時半、緊急放流の開始時刻を「午前8時半」と発表した。
だが塚本所長は、ある決意をしていた。
「緊急放流の目安となる貯水位を超えても、限界までため込む」
流入量を見極めながら午前7時半、緊急放流の開始を「同9時半」に先延ばした。
その10分後、流入量は同ダムの過去最大となる毎秒1235トンに達した。
幸い、同8時ごろには大雨はピークを越え、同45分に緊急放流の「見合わせ」を発表、同10時半には「行わない」と発表した。
最大貯水位は、午前10時50分の標高280・6メートル。
緊急放流の目安となる貯水位まで、残り10センチだったとはいえ、既に危機が去った3時間後。
河川の水位を上げないよう、ためられるだけためた結果だった。
判断の一つのよりどころになったのが、2018年に導入した「予備放流」。
事前に利水分を放流、190万トンの洪水調節容量を余分に確保していたことが奏功した。
塚本所長は、「予備放流なしで大雨がさらに1時間降り続いていたら、緊急放流は避けられなかったかもしれない」と振り返る。
人吉市に流れ込む河川の流域面積のうち、市房ダムの集水面積は約14%にすぎず、今回の豪雨災害はダム単体による治水の限界も見せつけた。
約47%を占める球磨川最大の支流・川辺川と、約39%の球磨川本流の治水をどうするか。
08年、川辺川ダム建設計画が白紙となって以来、議論の答えはまだ出ていない。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/634732/
(ブログ者コメント)
第1報では、突発性の豪雨だったため球磨川系の5基のダム全てで事前放流は行われていなかったとの報道を紹介したが、実際には市房ダムで事前放流されていた。
以下の報道によれば、他の4ダムは事前放流されていなかったとのこと。
(2020年7月10日 9時29分 西日本新聞)
『利水ダム事前放流「不発」 梅雨の豪雨、予測困難』
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/624818/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。