2021年2月27日19時33分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は27日、大津市木戸のJR湖西線志賀駅で25日、男性駅員がベビーカーを運びながら階段を下りていた際、乗っていた乳児が落下する事故があったと発表した。
乳児は頭の骨を折るなどの重傷を負ったが、命に別条はないとしている。
JR西によると、駅員は25日午前9時半ごろ、子供2人を連れた女性客の依頼で、2階にあるホームから改札に向かう階段を下りるのをサポート。
女性が子供1人を抱きかかえ、駅員は乳児が乗ったままのベビーカーを持って階段を下りる途中、下から2、3段の辺りでベルトを装着していなかった乳児がシートから床に落ちた。
女性は「大丈夫です」と言って子供と帰宅したが、26日に受診して負傷が分かった。
JR西は同日、様子を確認するため女性に電話して把握。
乳児は27日に退院したという。
https://mainichi.jp/articles/20210227/k00/00m/040/188000c
2月27日18時28分に朝日新聞からは、駅員はベビーカー運搬時は子供をおろすというマニュアルを失念していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は27日、JR湖西線の志賀駅(大津市)の構内で25日、マニュアルに反し、駅員がベビーカーから子どもを転落させる事故があったと発表した。
子どもは頭の骨を折るけがをしたが、27日までに退院したという。
同社によると、25日午前9時半ごろ、ホームから階段で降りようとする母親から頼まれ、駅員がベビーカーを運ぶ手伝いをした。
その際、子どもを乗せたままベビーカーを持って階段を移動中、子どもが転落した。
社内マニュアルでは、ベビーカーを運ぶ時には保護者に預けるなど、ベビーカーから子どもをおろすことになっている。
駅員は失念していたという。
母親は当時、子どもを2人連れ、転落した子どもはベルトをしておらず、駅員も確認しなかったという。
同社は補償なども含め対応を検討するとしている。
https://www.asahi.com/articles/ASP2W62WFP2WPTIL00D.html
2月27日17時59分に京都新聞からは、駅にはエレベーターがなく駅員は1人体制だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社によると、事故は25日午前9時半ごろ、男性駅員が幼児と乳児を連れた母親の要請でベビーカーを高架上のホームから地上の改札階まで下ろす際に起きた。
外傷がなかったため親子は帰宅したが、26日に病院で精密検査をしたところ、骨折が分かったという。
JR西日本はベビーカーの運搬に関して子どもを降ろしてから運ぶ社内ルールを定めていたが、守られていなかった。
志賀駅にはエレベーターがなく、駅員は1人体制だった。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/517684
3月2日11時36分に弁護士ドットコムニュースからは、ベルト装着確認も駅員の責務だったという田沢弁護士の見解が下記趣旨でネット配信されていた。
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乳児が転落した原因は複数ありそうですが、駅員は法的責任を問われてしまうのでしょうか。
鉄道旅客である母親に代わってベビーカーをホームから階下に下ろす駅係員の行為については、これが旅客に対して提供されるサービスの一環であるとすれば、安全に行うべき業務上の注意義務があります。
乳児を乗せたままベビーカーを下ろそうとして、乳児を転落させてしまったというのであれば、駅係員自身にその義務違反があったものとして、不法行為責任は免れないでしょう。
JR西日本も、その使用者としての責任を問われることになります。
ベビーカーに乗った乳児がベルトを装着していなかったと報道されています。
駅員の責任は過失相殺されますか。
問題は、その乳児がベルトを装着していなかったことについて、母親にも責任があるとして、過失相殺の対象となるのかという点です。
これについては、賛否両論あるとは思いますが、母親がベビーカーを階下に下ろすことを駅係員に委ね、駅係員がこれを引き受けた以上は、乳児の安全は、全面的にその駅係員の支配下に置かれたものと考えられます。
そのため、駅係員に委ねられる前の段階で、ベルトが装着されていなかったことを捉えて過失相殺の対象にするというのでは、その駅係員の業務上の注意義務を軽減してしまう結果となりかねず、疑問があります。
JR西日本のマニュアルでは、乗客のベビーカーの移動を手伝う際には安全確保のために子どもを下ろした状態で移動させることになっていたと報道されています。
そのマニュアルに従わず、ましてやベルトを装着させないままベビーカーを運ぼうとした駅係員の行為は非常に危険であり、その責任は非常に重いというほかありません。
【取材協力弁護士】 田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e4008d4251c4eb3da73eaf87c213ebbe26e52a7
(ブログ者コメント)
マニュアルを覚えていたとして、駅員が1人しかいないのに、どう対応すればよかったのだろうか?
考えてみたところ、一つの方法として、母親に2人を抱いてもらっている間に駅員がベビーカーだけを降ろし、その後、2人で子供を1人ずつ抱いて階段を降りる・・・という手があることに気がついた。
キーワード;ヒューマンエラー、人的エラー
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。