2013年9月12日付で朝日新聞熊本全県版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県営荒瀬ダム撤去工事現場で11日、初の発破作業があった。
県企業局の計画では、縦横約4.5m、高さ約1.3mの鉄筋コンクリート製の右岸門柱上部にヒビを入れるはずだったが、爆破力が予想より強く、門柱上部は半分程度が崩壊。コンクリート片が球磨川やダム本体の上に落下した。
県企業局がとった工法は「制御発破」。門柱上部に18個の穴を開けて約5.4kgの爆薬と雷管を詰めた。穴の数を増やして1ケ所あたりの火薬量を減らし、騒音や振動、コンクリート片の飛散を抑えるのが狙いだった。
事前の報道機関への説明では、発破の威力はヒビが入る程度で、「防爆マットが少し浮き上がるぐらい」としていた。
作業後、どの程度ヒビが入ったかなどを検証し、工事用の機械でコンクリート片を取り除く予定だった。
ところが、爆破の強さは「想定外」となり、ヒビを入れるどころか、門柱上部は一部を残して吹き飛んだ。
県企業局は、この発破について、振動や騒音のほか、火薬の量が適当だったかどうかを含めて検証する。
安全が確認されれば、別の2門の門柱上部の発破作業に今月中にも着手する計画だ。
(2013年10月22日 修正1 ;追記)
2013年10月17日付で熊本日日新聞と読売新聞熊本版から、鉄筋の表面に凹凸がなかったなどの理由でコンクリートは衝撃に弱かったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県企業局は16日、川砂利を使ったコンクリートの性質と鉄筋の形状により、衝撃波に対するコンクリートの強度が想定を下回ったのが原因とする見解を明らかにした。
企業局はダム撤去に際し、火薬の量を少なくして騒音や振動、破片の飛散を抑える制御発破方式を採用。
ところが、9月11日、コンクリート製門柱の一部に18か所の穴を開け、計約4kgの火薬を詰めて実施した解体の際には、衝撃音とともに破片が半径40mまで飛散し、約10m3が川に落下した。
立ち入り規制をしていたため、けが人など被害はなかった。
企業局はその後、熊本大の協力を得て、同ダムのコンクリート塊に電圧をかけて強度を調査した。
その結果、ダムに使われている当時の鉄筋の形状が丸形で、表面に凹凸の突起がある現在の一般的な鉄筋に比べ、コンクリートとの付着性が低いと分析。
骨材には表面が滑らかな川砂利が使われていて、一般的に使われる砕石よりも衝撃波による分離が起こりやすいことが分かった。
これらの分析結果をもとに、八代市内の採石場で発破試験を実施した結果、火薬量は前回の10分の1でひび割れすることも判明。
11月以降に予定される本格施工まで発破試験を繰り返し、火薬量や火薬を装塡する穴の箇所、位置を検討する。
企業局は「コンクリートの材質そのものは分かっていたが、どう壊れるのかというデータがなかった。試験を重ね、最適な方法で施工に当たりたい」としている。
出典URL
http://kumanichi.com/news/local/main/20131017002.shtml
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20131016-OYT8T01170.htm
(ブログ者コメント)
古くなったビルを壊すのに発破を使い、周囲にさほど破片を飛ばすことなく、一瞬でビルを崩落させる・・・そんな海外映像を何度か見たことがある。
コンクリート構造物を発破で壊すことなど、既に確立された技術かと思っていたが、思いのほかノウハウの世界なのかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。