2019年7月25日14時26分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ののちゃんのDO科学 「タマネギを切るとなぜ涙が出るの?」
青森県・田中さん(小6女子)からの質問
ののちゃん) この前、夕食の準備を手伝ってタマネギを切っていたら、涙がいっぱい出てきたよ。悲しくないのにどうしてかな?
藤原先生 ) それはね、タマネギを切った時にできた「プロパンチアールS―オキシド」という成分の仕業だね。気体になって目を刺激するから涙が出るのよ。催涙成分って呼ぶよ。タマネギは、カレーや肉じゃがなどに欠かせない野菜だよね。今日も全国で涙を流しながら料理をしている人がいるはずだわ。
のの) うぎゃあ、難しい名前だね。その物質はタマネギにもとから入っているの?
先生) タマネギの細胞には「プレンクソ」っていうアミノ酸と、「アリイナーゼ」「LFS」という酵素が含まれているの。タマネギを切ったり、つぶしたりして細胞が壊されると、これらの成分が順番に反応して、最終的にプロパンチアールS―オキシドができるのよ。
のの) 不思議だね。誰が見つけたの?
先生) カレーのルーなどを作っている「ハウス食品」の研究グループが「LFS」を発見して、涙が出るこうした仕組みを解き明かしたのよ。この成果が認められ、2013年に人々を笑わせ、考えさせる研究や業績に贈られる「イグ・ノーベル賞」を受賞したのよ。
のの) 料理の時、涙が出ないようにするにはどうすればいいのかな?
先生) 水中眼鏡やゴーグルをつけて切るのが有効ね。コンタクトレンズや眼鏡でもましになるわ。よく切れる包丁を使って、タマネギの細胞を壊さないように繊維に沿って切るのもおすすめよ。
のの) 切っても催涙成分が出ないようなタマネギって作れないの?
先生) もうあるよ。ハウス食品が15年に商品化した「スマイルボール」よ。約10年かけて1万個ほどのタマネギを調べ上げて、酵素の「アリイナーゼ」がとても少ないタマネギを見つけたのよ。酵素が少ないから催涙成分ができる反応が進まないのよ。
のの) 地味な研究だけど、すごいね。
先生) 催涙成分は生で食べた時に辛みを感じさせる成分でもあるわ。それがないから、スマイルボールは辛くない。普通のタマネギも生の時から糖度は高いんだけど、辛さに隠されているんだって。
のの) 切っても涙が出ないし、生で丸かじりしても甘いってことか。食べてみたいね。
先生) 北海道の栗山町で年間100トンほど作られているそうよ。タマネギの生産量は全国で年間100万トンほどだから、その1万分の1程度ね。とても希少だから、なかなか口に入らないね。
(取材協力=ハウス食品グループ本社の広報・ⅠR部 前澤さん)
【ののちゃんのDO科学】
ののちゃんは朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。
学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。
聞いてほしい疑問はこちらへ。
science@asahi.com
出典
『タマネギを切るとなぜ涙が出る? 細胞の中での反応が…』
https://digital.asahi.com/articles/ASM7S457ZM7SUBQU003.html?rm=250
(ブログ者コメント)
涙を誘発する物質は硫化アリルだとばかり思っていたが、違っていたようだ。
調べてみると、ネット上には「プロパンチアールS―オキシド」だとの情報はあるものの、未だ、硫化アリルだという情報も氾濫している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。