2013年9月13日付で朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性の死因は焼死。しかし、室内は焼けておらず、隣人も気づかなかった――。
東京であったミステリー小説さながらの火事で、警視庁は男性がごみ出しのために、卓上コンロ用のカセットボンベに穴を開けた際に引火した可能性が高いと判断した。
ボンベのごみ出し方法は市区町村でバラバラ。危険な「穴開け」を求める自治体も多い。
豊島区西巣鴨4丁目にあるアパートで、男性の焼死体が見つかったのは2日夕だった。無断欠勤を不審に思った勤務先の関係者がアパートの大家に連絡。部屋を訪れた大家の妹が異変に気づき、119番通報した。
警察によると、亡くなったのは飲食店勤務の男性(59)。頭からひざ下にかけてやけどを負った状態で、玄関付近で倒れていた。
解剖の結果、焼死と判断されたが、遺体の周囲にあった衣類とハンガーが燃えていたほかは、室内はほとんど焼けていなかった。
近所の人たちも火事には全く気づいていなかった。
警察が実況見分したところ、遺体のそばで、刃物で穴を開けた卓上コンロのカセットボンベ数本とライターが見つかった。
男性は都市ガスを契約しておらず、卓上コンロを使っていた。また、喫煙者だったという。
こうした状況から、警察は、使用済みのカセットボンベを捨てようとした男性がガスが残っていることに気づかず、喫煙しながら穴を開けていたか、開けた穴からガスが漏れだしているのに気づかず、喫煙しようとして引火したとみている。
東京23区は、カセットボンベをごみ出しする際には穴を開けないように求めている。
だが、東京消防庁によると、カセットボンベやスプレー缶に穴を開けたことが原因で起きた火災は、2007~12年の6年間に都内で136件あり、131人が負傷している。
一般的に、カセットボンベのガスは空気より重いため下にたまり、換気扇を回しても長時間室内にとどまることがある。
東京都小金井市では11年11月、80代男性が自宅台所でカセットボンベに穴を開けた際、ガス湯沸かし器の炎に引火し、顔や手に大やけどをした。
カセットボンベや殺虫剤などのスプレー缶のごみ出しの仕方は、自治体によってまちまちだ。
環境省は「ごみを回収する各自治体が、それぞれの事情を踏まえて対処している」と説明する。
全国20の政令指定都市も、穴開けを求める自治体と求めない自治体がほぼ半々だ。
穴開け方式を採る大阪市。担当者は「穴を開けないと、回収した缶の中にガスが残っている可能性があるため」と説明する。過去にごみ収集車の中でボンベのガスが爆発する車両火災が相次いだという。
静岡市も穴開けを求めている。「穴が開いていることで、ボンベにガスが残っていないことが一目でわかる」(担当者)。
東京都内でも、23区外の立川市や小平市は穴開けを求めている。
一方、穴開けを求めない自治体も増えている。
穴開けを推奨してきた岡山県津山市は2年前に「ガスが残った状態での穴開けは危険」と方針転換。市民への呼びかけを「ガスを使い切って」に改めた。
浜松市も今年4月に穴開け方式をやめた。資源ごみとして空き缶と一緒に回収していたボンベを「特定品目」として別に回収するようにした。
穴開けが推奨されてきた背景には、ボンベは使い続けていると缶が冷えてガスが出にくくなることがある。
だが、製品の改良が進み、日本ガス石油機器工業会によると、2007年に全メーカーがコンロに「ヒートパネル」という部品を採用。缶を温めることで、ガスが残らず、容易に使い切れるようになった。
工業会の担当者は「穴を開けないとガスが抜けないと今も勘違いしている人が多いが、そんなことはない。炎が出なくなるまで使い切る、という心掛けが安全のためには重要です」と説明している。
カセットボンベ、スプレー缶のごみ出し方法(東京23区と政令指定都市)は下記。
<穴を開ける>
札幌市、仙台市、相模原市、静岡市、名古屋市、大阪市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市、熊本市
<穴を開けない、開けなくてよい>
東京23区、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、新潟市、浜松市、京都市、堺市、北九州市
出典URL
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309120742.html?ref=nmail_20130913mo&ref=pcviewpage
(ブログ者コメント)
カセットボンベ、スプレー缶などの爆発事例は、本ブログに多数掲載している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。