情報量が多すぎてプロバイダーの字数制限に抵触しましたので、記事の続きを第1報その3(2/2)として掲載します。
[爆発原因に関する情報(続)]
(1月12日12時6分 朝日新聞)
爆発は、熱交換器のふたを開けたところ、作業で生じた振動で内部に蓄積されていた化合物が発熱し、その熱で発生した水素と流入した酸素が反応して起きた可能性が高いことがわかった。
同社幹部が11日、明らかにした。
同社は、振動による爆発までは想定していなかった。
幹部によると、爆発で約10m吹き飛んだふたの内側などには、発熱しやすい化合物「シリコシュウ酸」が付着している。
熱交換器の状態を安定させるため加湿窒素ガスを注入すると生成されるもので、振動を受けると発熱する。
ふたを外す際の振動で発熱すれば、内部の温度が上昇し、蓄積されているほかの不純物から水素が発生する。
そこに空気が流入すれば、酸素と反応して水素爆発が起きる。
この熱交換器は、8年間洗浄していなかった。
ほかの熱交換器でシリコシュウ酸が発火するトラブルが起きており、今回もたまっていた可能性が高い。
爆発はふたを開けて3~4秒後に発生していることや被害の規模の大きさなどから、幹部は「数秒間で酸素が入り、水素爆発が起きる条件がそろった」と分析している。
幹部によると、工場内のマニュアルには、発熱に備えて耐火服や手袋の着用を促す記載はある。
しかし、爆発は想定外で、作業前にシリコシュウ酸の残留状況を調べる対策はしていなかったという。
一方、警察によると、熱交換器の内部では現在も化学反応が続いているという。
警察はしばらく放置し、安全が確認され次第、本格的な調査に乗り出す。
http://www.asahi.com/articles/ASG1C66TQG1COIPE013.html
(1月12日21時34分 毎日新聞)
シリコシュウ酸は、乾燥状態では、こすれたり、何かがぶつかったりして起きる小さな衝撃でも発火する性質があるという。
火元について同社は、静電気や作業現場近くにあった自家発電機が火種となった可能性も否定しておらず、解明には時間がかかる見通し。
(ブログ者コメント)
報道から察するに、かなり爆発危険性の高い作業だったようだ。
詳細不明ではあるが、現状、ブログ者が感じていることは下記。
○チャンネルカバー程度の、そう大きくもない空間に充満していた水素が爆発しただけで、約250kgのカバーが10mも飛ぶとは・・・。
水素爆発の威力がこれほどまでに大きいとは、今回の事例を知るまで認識していなかった。
○カバー内部の空間は、詰り気味だったとはいえ、約300本のチューブならびに出口ノズルを通じて大気とツーツーになっていたが、爆風は、そういった狭い通路からは、ほとんど抜けなかった。
集じん機などの爆発放散口の面積は、そういったことも考慮して算出されている。
※以下は、ファイクジャパン㈱HPに掲載されている算出方法。
http://www.fikejapan.co.jp/ep/ev_sizing.html
○詰っている系の連続パージでは、パージ流体のショートパスでパージ不十分になることがよくある。その点、この工場ではどう考えていたのだろうか?
たとえば、ある程度連続パージした後、しばらくパージを止めて様子を見るなどの工夫は、していなかったのだろうか?
○空気との接触危険という点から考えると、一連の作業で最も危険なのはプロセスから熱交換器を取り外す最初のフランジ開放時であり、以降、取り外しが進むにつれ、徐々に危険性は薄れてくる・・・これまでの報道から類推すると、そんな感じではないだろうか?
それが今回は、一連の作業の最終段階、2つめのチャンネルカバーを取り外す際に爆発した。
ここまでくれば、もう爆発の心配はない・・・といった安心感はなかっただろうか?
ブログ者は、事故にはいくつかの共通するパターンがあると思っているが、今回の事故は、そのうちの一つ、「マサカと思うところで起きる」パターンにも分類できるような気がしている。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。