本件、一つの記事に要約するのは困難。主だった報道内容の趣旨を紹介する。
(1月10日13時13分 朝日新聞)
(1月10日22時50分 読売新聞)
10日午前9時10分ごろ、神奈川県横須賀市久里浜2丁目の下水道工事現場で異臭が発生したと、警察に通報があった。
男性作業員4人が倒れ、病院に搬送された。うち2人が意識不明の重体。
硫化水素が発生したといい、警察が状況を調べている。
警察などによると、作業員数人が下水管のマンホール内で工事を始めたところ、異臭が発生。4人が次々に倒れた。
意識不明の2人はいずれも60代の男性で、先にマンホール内に入っていたという。
消防は、現場で硫化水素ガスを確認した。
4人はガスマスクを所持しておらず、警察が、安全管理態勢などを調べている。
工事を発注した横須賀市上下水道局によると、この日は、民間業者の作業員が下水管の老朽化した空気抜きバルブの交換作業を始めていた。
下水には硫黄が含まれ、管が曲がるなど空気が少ない場所で硫化水素が発生しやすい。
毒性が強いことから、国は安全のため、作業中のガス濃度測定や換気を呼びかけている。
現場は京急久里浜駅から約200mで、片側2車線の道路の中央付近。周囲には住宅や病院が立ち並ぶ。
現場前の鮮魚店主(68)は「店でかなり強い硫黄の臭いがしてきた。10分ほど臭いが続き、そのうちにパトカーが来た」。
近くの理容店主(62)は「硫黄くさいと思っていたら救急車の音が聞こえた。作業服姿の男性が道に倒れていて、全く動かない人もいた」と話した。
http://www.asahi.com/articles/ASG1B3CSTG1BULOB003.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140110-OYT1T01256.htm
(1月10日13時27分 読売新聞)
(1月10日11時3分 msn産経ニュース)
警察によると、横須賀市からバルブ交換の委託を受けた作業員の男性3人がマンホール内に入った後、現場監督の40代の男性も異変に気付いて中に入ったという。
作業前の検査では硫化水素が検出されなかったというが、消防による事故後の検査では、マンホール内で濃度70ppmの硫化水素が検出された。
日本下水道事業団によると、下水道内に酸素がない状態になると、下水に含まれた微生物の働きで硫化水素が発生することがある。
厚生労働省によると、硫化水素は350ppmで生命の危険がある。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140110-OYT1T00347.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140110/dst14011011040002-n1.htm
(1月11日付 神奈川新聞)
地表から深さ1.7mの位置にある圧送管のバルブを交換するため、老朽化したバルブを外したところ、管内から硫化水素が出た。
市によると、始業前の測定では異常値でなかったため作業を始めたが、バルブを外した時点で計測していたかどうかは確認できていない。
硫化水素は、下水や汚水にある硫黄分と微生物の活動によって発生したものだという。
通報を受け浦賀署員が急行したところ、2人がマンホール内におり、2人は地表に横たわっていた。一時は3人が心肺停止だった。
マンホール内には汚水がたまっており、市消防局が午前9時40分ごろに行った計測では硫化水素の濃度は70ppm。
法令上、10ppmを超えた際に作業をするときは、換気が義務付けられている。
路上は午前10時ごろの時点で7ppmだった。
重体の2人は孫請け企業の従業員らしい。軽傷の1人は下請け、もう1人は元請け企業の現場責任者。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1401100054/
(1月11日付 毎日新聞神奈川版)
工事を発注した同市上下水道局は同日開いた記者会見で「現場における安全対策が不十分で作業員へのマニュアルが徹底されていなかった」と説明した。
なぜ事故は起きたのか。
同局によると、マンホールは縦約3m、幅約2m、深さ約2.3m。
汚水ポンプ設備の更新に伴う工事で、荏原実業神奈川支社が受注した。
軽症の作業員は聴取に対し、作業開始前のマンホール内の空気計測では硫化水素を検出せず、酸素濃度が安定していたため、内部に入ったと説明したという。
しかし圧送管(直径50cm)2本の汚水を抜く工程で、レバーがさび付いて動かなかった圧送管の空気バルブ1基を取り外したところ、しばらくして次々に作業員が倒れたとみられる。
同局は、圧送管内部に充満していた硫化水素が噴き出し、酸素欠乏状態となったとみている。
硫化水素は濃度が極端に高い場合、臭気を感じにくくなるという。
下水道など硫化水素が発生しやすい作業場では、労安法に基づく省令で、作業開始前に硫化水素と酸素の濃度測定を義務づけている。基準濃度にそぐわない場合は、換気や酸素呼吸器などの使用を定めている。
同局は「作業中にも継続して濃度を計測すべきだ」とした事故防止マニュアルを職員向けに作っていたが、事業者には配らず、現場の責任者に任せていたという。
同局の青木技術部長は「事業者に安全マニュアルを徹底したい」と話した。
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20140111ddlk14040168000c.html
(1月12日 1時21分 朝日新聞)
配管工の男性(66)が搬送先の病院で死亡した。
http://www.asahi.com/articles/ASG1C55GRG1CULOB00M.html
(ブログ者コメント)
○硫化水素の危険性は、十分に認識していた筈。
圧送管の空気バルブを取外す際、「硫化水素が出るかも」という危険予知が、なぜできなかったのだろう?
マンホールに入る前の検査で検出されなかったので、安心しきっていたのだろうか?
○現場の状況は刻一刻と変化する。
いつ何が起きるかわからないと緊張感を持続しつつ作業することが大切なことを、改めて認識させられた事例だ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。