2015年1月17日12時49分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月17日付で朝日新聞茨城版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
16日午後3時頃、茨城県東海村の陽子加速器施設「J―PARC」内にある物質・生命科学実験施設(MLF)の変圧器から出火、作業員が消火器で消し止めた。
J―PARCセンターによると、放射性物質の漏えいやけが人はなかった。
2013年5月に研究者らが被曝したハドロン実験施設での放射能漏れ事故以降、施設屋内での火災は初めてという。
MLFは、中性子を使って物質の構造を調べる研究実験施設。
発表によると、変圧器は電源の設置に伴い、新たに取り付けられた。
通電試験として、素粒子ミューオンを取り出して試料に照射するビームラインで電磁石電源に通電したところ、作業員が異臭を感じ、配電盤の扉を開けたところ、白煙を確認。すぐに消し止めたが、縦30cm、横20cmを焼損した。
損傷したのは変圧器だけで、当時、低電流を流す電源と変圧器を追加する工事をしていた。ビームは停止していたという。
工場で行った通電試験では、問題はなかったという。
放射能漏れ事故後、MLFも運転を停止していたが、昨年2月に再開。
昨年末からは、メンテナンスのために運転を停止していた。
県庁で記者会見した斉藤副センター長は、「事故以来、管理態勢を十分なものにしようと対処してきたが、こういうことになりおわびする」と頭を下げた。
県原子力安全対策課は、「原因究明と再発防止策の報告を求める」としている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150117-OYT1T50043.html
(2015年1月29日 修正1 ;追記)
2015年1月26日20時16分にNHK水戸から、電気回路の設計ミスが原因だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月27日付で東京新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
施設を運営する日本原子力研究開発機構などは、火災が発生した原因を調べ、26日、県などに報告した。
それによると、実験施設に新しく組み込んだ電気回路に設計ミスがあり、通電試験を行った際に電源盤に過大な電流が流れて発火したとみられるとしている。
受注業者は、変圧器の性能試験をしていたが、電気回路に組み込んだ状態の試験ではなかったという。
J-PARCの担当者は、発注先の業者から提出された電気回路の図面を見て、試験の手順は確かめたものの、回路の安全性については確認していなかったという。
「J-PARC」では、おととし5月、別の実験施設で放射性物質が外部に漏えいする事故が起き、すべての施設の運転を停止していたが、去年2月からは、今回火災が起きた施設を含む一部で再開していた。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/1074972541.html?t=1422306865764
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150127/CK2015012702000163.html
また、1月27日15時2分にNHK水戸から、専門家会議で厳しい意見が出たという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月、東海村の素粒子実験施設JーPARCで電源盤が焼けた火事について、県内の原子力施設の安全性を検討する専門家の会議は、安全管理体制を見直すよう求めた。
水戸市で開かれた会議には、原子力の専門家など11人の委員と、J-PARCを運営する日本原子力研究開発機構などの担当者が出席した。
この中でJ-PARCの担当者は、今月16日に「物質・生命科学実験施設」と呼ばれる施設で電源盤が焼けた火事の原因について、新しく組み込んだ電気回路の設計ミスに気づかずに通電試験を行った結果、過剰な電流が流れて火が出たと説明した。
その上で、再発防止に向けて、電気や高圧ガスなど危険を伴う作業では、小さな部品の取り付けであっても、事前に作業内容や手順を点検する組織を設けると説明した。
これに対して専門家からは、「初歩的なミスだ」とか「設備の変更について点検する体制がなっていない」などと、厳しい意見が相次いだ。
そして再発防止策については、専門家の総意として、「事故のたびに新しい組織をつくるのは本質的ではない」と判断し、現場レベルで安全性をチェックする体制を構築するよう求めた。
J-PARCは、意見を参考に安全管理体制を見直し、報告書を県に提出することにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/1074924451.html?t=1422392619249
(ブログ者コメント)
○J-PARCのHPに、詳しい報告書が掲載されている。
ポイントは下記。
・電磁石電源にトランスを組み込んだ状態で通電すると、トランスの二次側(定格138V)に入力電圧420Vが印加される回路構成となっていたが、二次側が420Vに耐える設計がなされていなかった。
・設計者は、トランスの二次側に420Vが印加されても、トランスが耐えるものと考えていた。
・受注業者において、トランスを回路に組み込んだ使用条件に近い検査を工場で行っていなかった。
・対策としては、受注業者に対し、原則として実際の使用条件に近い状態で工場検査を実施させ、J-PARCセンターとしてこれを確認する。
http://www.jaea.go.jp/02/press2014/p15012601/
○単品では問題なかったがシステムに組み込むと問題が出た・・・・そういった事例は、しばしば耳にするところだ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。