2014年1月17日23時7分に中日新聞から、同日17時1分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午前11時50分ごろ、愛知県東海市の新日鉄住金名古屋製鉄所で配電設備のショートが起こり、製鉄所内が停電した。
コークス炉の設備が止まり、炉内に一酸化炭素ガスがたまる恐れが出てきたため、これを炉の煙突から放出して燃焼させた。
大量の黒煙が周囲に流れ、付近の道路が一時通行止めになった。けが人はいない。
新日鉄住金によると、配電設備の更新作業中にショートが起き、火花が散った。
設備の一部が焼けたが、作業員がすぐに消火器で消し止めた。
新日鉄住金は会見で「ショートの原因は調査中」とし、大量の煙は「コークス炉のガスを燃焼させただけで、火災ではない」と説明している。
説明によると、製鉄の燃料として使うコークスを製造するため、炉では石炭を熱分解処理している。
その際に生じる可燃性ガスを、通常は後方の施設に送ってエネルギーとして再利用するが、停電で処理工程が止まりガスを送れなくなった。
そのためガスを燃やし、煙が出たという。
出典URL
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014011790230748.html
http://www.asahi.com/articles/ASG1K5H4WG1KOIPE148.html
2014年1月18日1時9分に読売新聞からは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日に発生した火災の原因は、構内の発電所にある配電設備のショートとみられることがわかった。
火は作業員が消し止め、けが人はなかった。
一方、コークス炉から噴き出した炎や黒煙は炉内のガスが燃焼したもので、同製鉄所は火災にあたらないとした。
黒煙の噴出は夜も続いたが、市などによると、健康被害を訴える人は確認されていない。
警察などによると、作業員が発電所の電流を流すスイッチを更新する作業中、配電設備がショートして出火。停電が発生し、コークス炉への送電ができなくなった。
石炭を蒸し焼きにする過程で発生するガスが炉外に噴き出すおそれが生じたため、非常装置が作動してガスを燃焼させ、大量の黒煙が出たという。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140117-OYT1T01222.htm
2014年1月20日15時11分にmsn産経ニュースからは、停電原因などに関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ブレーカーがショートして火花が散って近くのポリ袋に引火、全設備が停電により一時停止した。
停電により処理できなくなった一酸化炭素ガスをコークス炉上部で燃焼させたため、18日早朝まで大量の煙が出た。
また、2014年1月21日付で読売新聞中部版から、操業再開に向けた安全確認中にまた停電して黒煙が出たという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午前9時10分頃、新日鉄住金名古屋製鉄所から「停電が発生し、煙が出ている」と消防に通報があった。
けが人はなく、一酸化炭素などの有毒ガスの発生は確認されなかった。
同製鉄所では17日にも構内の発電所で火災が発生し、大量の煙が出るトラブルが起きている。
同社によると、構内の発電所から各設備に配電する電気系統の一つで過大に電気が流れ、安全装置が働いて送電が停止。
コークス炉3基で一酸化炭素ガスが処理できず、一酸化炭素が放出しないようガスを燃焼させたため、煙が発生した。
煙は同日午前11時15分に止まり、東海市などによると、一酸化炭素などの有毒ガスは計測されなかった。
過大な電気が流れた原因は不明だが、前回ショートした配電系統とは別系統であるため、同製鉄所では、関連性はないとみている。
同製鉄所は18日に一部の施設で操業を再開。今回のトラブルは、全面再開に向けた安全確認中に起きた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chubu/news/20140121-OYT8T00152.htm?from=popin
(ブログ者コメント)
たしかNHKだったと思うが、当日昼過ぎの定時ニュースの冒頭、「ただいま入ってきたニュースです。製鉄所で火災が発生しています」というアナウンスとともに、ヘリから撮影された映像が流されたが、それを見たブログ者は、すぐさま、これは火災ではないのではないか?と思った。
なぜなら、東日本大震災時もどこかの製鉄所で同じような炎が出ているのを空撮していたが、結局は火事ではなかったことを知っていたからだ。
今回のトラブル報道では「火災」以外、「炎上」という言葉を使ったメディアもある。
報道に携わった人の中で、東日本大震災時の映像を思い出した人は、どれほどいたのだろうか?
ことほど左様に、事故・トラブルの記憶というものは薄れていくのかもしれない。
(2014年4月19日 修正1 ;追記)
2014年4月14日21時49分に毎日新聞から、両日のトラブルに関する原因が、下記趣旨でネット配信されていた。
また、4月15日付で朝日新聞名古屋版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
新日鉄住金名古屋製鉄所は14日、再発防止策などを記した文書を東海市に提出した。
1月17日の停電は、施設内にある発電所の遮断器(大型ブレーカー)の絶縁体内面に空気を介して異物などが付着してショートしたと推定。
同20日の停電は、復旧過程で大型モーターを起動したため過電流が生じたのが原因という。
今年度中に空気を必要としない真空タイプの遮断器に更新するとともに、来年度末までに煙が発生したコークス炉のガス排送設備の電源を2系統にし、一方が停電しても煙が出ないようにするとしている。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140415k0000m040102000c.html
※タイトルが17日のトラブルだけの記載だったので、20日のトラブルも記載した。
人間の記憶に頼る安全管理から、痛い思いの体験から得た教訓を生かす仕組みの安全管理に改善していくことが肝要と思う。
本事例の場合配電盤更新作業中の停電事故であるが、活きている範囲と、停電している範囲を明確化しアクリル板等での遮断処置、トラロープでの立ち入り禁止処置等の環境設定に不備はなかったのであろうか。幸いに人災は無かったようであるが。
電気工事の基本は①活線作業は原則禁止、止むを得ない場合は対策を講じてから、②活き死に範囲の明確化と立ち入り禁止処置、③検電後無電圧を確認し着工④工事完了図面通りの施工か確認後通電と思う。これらが仕組化、習慣化されなければ事故災害は防止できない。
火災や炎上が発生しないよう種子の段階での処置が肝要と思います。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。