2013年5月15日2時30分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪市の印刷会社の従業員らが胆管がんを発症した労災事件などを受け、日本産業衛生学会は14日、原因物質と推定されている塩素系有機溶剤「1、2−ジクロロプロパン」について、作業環境での許容濃度を初めて決定、米国の基準の10倍という厳しい内容にした。
1年かけて意見を求め正式決定するが、厚労省の法規制などに影響を与えそうだ。
大阪市の印刷会社「S社」では、現・元従業員17人が胆管がんを発症、8人が死亡した。
厚労省は、印刷機の洗浄剤に含まれる「1、2−ジクロロプロパン」が原因の可能性が高いとし、従業員らの労災が認定された。
1、2−ジクロロプロパンの法規制はなく、厚労省は法規制に乗り出す方針。
この日、同学会の専門家による許容濃度委員会(委員長・矢野栄二帝京大大学院教授)が松山市内の総会で、「1、2−ジクロロプロパン」の濃度決定を報告した。
「1、2−ジクロロプロパン」の許容濃度(8時間平均)を初めて定め、1ppmとした。
動物実験などの研究結果を検討し、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の基準10ppmよりも厳しくした。
発がん分類では、上から2番目の「人への発がん性がおそらくある」に位置付けた。
また、S社にあった「オフセット印刷工程」について、同社の発がん実態などを考慮し、発がん分類で最上位の「人に対して発がん性がある」とした。
同学会が「工程」自体を発がん分類に入れるのは初めて。同じ工程を採用する事業者らに、念のため、注意を促す意味があるとみられる。
矢野委員長は「『1、2−ジクロロプロパン』に発がん性ありと断定するのはまだ証拠が不十分だが、オフセット印刷工程の現場でがんが発生したことを考慮した。事業者や従業員へ情報提供することを重視したものだ。今後の研究で範囲が限定される可能性がある」と説明した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130515k0000m040140000c.html
(2014年5月23日 修正1 ;追記)
2014年5月22日16時31分に朝日新聞から、同学会での発がん危険性評価が1段階引き上げられるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
印刷会社で相次ぐ胆管がんの労災認定を受け、日本産業衛生学会は22日、がん発症の原因と推定される化学物質「1、2ジクロロプロパン」について、発がんの危険性を3段階に分けた学会基準で最上位の「発がん性がある」と位置づけた。
昨年の学会で定めた「おそらくある」から1段階引き上げた。
今後1年かけて専門家らから意見を求め、正式決定する。
学会の許容濃度委員会が岡山市であった総会で報告し、了承された。
総会では、労働者の健康に許容される濃度も1ppmと正式に決めた。
厚生労働省は、現在、米国の基準に沿って10ppmに法規制しているが、学会決定を受けて、さらに厳しく規制する。
従業員ら17人が胆管がんを発症した大阪市の印刷会社「S社」では「1、2ジクロロプロパン」が150ppmを超える高濃度の環境だった。
許容濃度委員会で委員長を務めた矢野栄二・帝京大大学院教授は、「印刷工程自体についても、がん発症との関連性をさらに検討していきたい」と話している。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG5P7KK3G5PPTFC028.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。