10日午後4時半頃、富山県砺波市秋元の県道を走っていたタンクローリーから薬剤が噴き出し、下校途中の小学生21人を含む24人が薬品を浴びたり、気分の悪さを訴えたりして市内の病院で診察を受けた。
いずれも症状は軽く、入院した患者はいないという。
警察などによると、タンクローリーは薬剤を噴射した状態で約600m走行。
タンク上部の弁が壊れ、漏れ出したとみられるという。
男性運転手も病院に搬送された。
薬剤は、接着剤などに使われる「酢酸ビニル」が混ざった液体。
酢酸ビニルは高岡市の肥料製造業者が土に混ぜ合わせ、水に溶けにくい商品を作るのに仕入れたが古くなったため廃棄したもので、委託を受けた富山市の運搬業者が同市内の処理施設に運ぶ途中だった。
運搬業者によると、タンクローリーはホースで石炭などをタンクに吸い取るバキューム車で、昨年、タンク内などを改修したという。
男性社長は「液体に関する説明は無かった。25年以上やっているがこんなことは初めて」と話していた。
現場近くに住む男性(71)は「噴水のように約3mの高さまで噴き上がり、驚いた。孫が運ばれたので心配。自宅の壁や塀にもかかり、ツンとする匂いが漂っている」と困惑した様子で話した。
周辺は交通が規制され、マスク姿の作業員が路上に流れた薬剤を洗い流していた。
独立行政法人・製品評価技術基盤機構の竹田調査官によると、酢酸ビニルは人体に有害だが毒性は弱い。吸い込むとせきが出たり、息切れ、めまいが起きたりすることがある。また、皮膚にかかると赤くなり痛みが出ることもあるという。
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また、2013年6月11日19時16分にNHK富山から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運転手が調べに対し、「タンクにパルプ廃液を入れたあと容量が余っていたので酢酸ビニル液も入れた」と話していることが分かった。
警察は、薬品が廃液と混ざり化学反応を起こすなどしてガスが発生し、噴き出した可能性があると見て、調べている。
警察がタンクローリーを詳しく調べたところ、薬品はタンクの上部にある、点検や掃除をするためのふたから噴き出したことが新たに分かった。
このふたには漏れを防ぐパッキンと呼ばれる部品がついていたが、劣化していたという。
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(ブログ者コメント)
○きわめて引火し易い。蒸気は空気と混合して爆発性混合ガスとなる。
○過酸化水素、過酸化ナトリウム、硝酸アンモニウム、過酸化カルシウム、過酸化カリウム、過酸化バリウムと激しい重合の危険性。2-アミノエタノール、クロロ硫酸、エチレンジアミン、エチレンイミンとは混合不可。
http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/kisnet/hyouji.asp
これによると、たとえばパルプ廃液の中にパルプの漂白剤として使われていた過酸化水素が残留していて、それと反応した・・・といった可能性も考えられる。
運搬業者の言うとおりに「説明は無なかった」とすれば、廃棄物として出した肥料製造業者の安全管理が問われるかもしれない。
一方、類似事例として昨年5月、詳しい情報を伝えないままヘキサメチレンテトラミンを廃棄物業者に引き渡したため、利根川のホルムアルデヒド濃度が基準値を超えた事例も思い出した。
(2013年6月22日 修正1 ;追記)
北日本新聞紙面に3日連続で、かなり詳しい事故時の様子などが掲載されていた。
異常に気付いた運転手が停車した場所までの約600mで噴出したとみられ、途中ですれ違った車や沿道の住宅の壁にも液体がかかった。
現場近くの女性(64)は、「シャワーが流れるような大きな音が聞こえたので外に出たら、黒い液体が噴出しながらタンクローリーが走っていた」と話した。
車を停めた運転手は、タンクに上がって液体が出るのを必死で止めようとしている様子だったという。
現場には鼻を突く刺激臭が一帯に漂い、タンクローリー周辺の道路には黒い液体が広がった。
車で通りかかった男性(45)は、「ひどい臭いだ。(タンクローリーの)運転手は、全身真っ黒になって道路を掃除していた」と話した。
(2013年6月12日付)
警察によると、肥料工場はパルプ廃液と酢酸ビニル液の処理を依頼し、タンクローリーの運転手は別の産廃処理業者の2台と合せた計3台で、午前と午後の2回に分け、液体を運搬していた。
この運転手は、午後に行った作業について、「パルプ廃液をタンクに入れた後、タンクの容量にまだ余裕があったので、酢酸ビニル液を入れた」と警察に説明しているという。
警察によると、タンク上部中央にあるふたのゴム製パッキンが腐食していた。
液体が混ざってガスが発生するなどしてタンク内部の気圧が高まり、傷んだ部分から噴出した可能性があるとみている。
県などによると、酢酸ビニルは消防法「危険物」に指定されているが、タンクローリーが運んでいたのは水などで薄めた化合物だった。この化合物とパルプ廃液は、それぞれ「危険物」に当たらないという。
肥料工場の担当者は取材に対し、「パルプ廃液にはヘドロ状の残渣が多くたまっていた。2つの液体を混ぜて運ぶことは想定していなかった」と話している。
(2013年6月13日付)
警察は点検口の漏れを防ぐゴム部品が劣化していたことも事故の要因の一つとみているが、運搬業者は取材に対し、「ゴムは劣化していない。事故後、水を満タンにして漏れがないかを確認したが、異常はなかった」と話している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。