2015年10月4日7時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月25日に九州を縦断した台風15号で、太陽光発電施設が強風にあおられ、大量のパネルが吹き飛ばされるなどの被害が各地で相次ぎ、経産省が、原因究明のため被害調査に乗り出した。
一部では、飛んできたパネルで周辺民家が損壊するなど、2次被害も出た。
福島第1原発事故後、国の規制緩和などで太陽光発電は急速に普及しているが、専門家からは、強風への設計基準や完工時の行政によるチェック制度の不備などが指摘されている。
経産省九州産業保安監督部によると、被害が報告されたのは、500KW以上の太陽光発電が福岡県と鹿児島県の3施設。50KW以上は福岡県行橋市の1施設だった。
具体的な被害状況は明らかにしていないが、人的被害は確認されていない。
毎日新聞の取材によると、このうち、行橋市では100枚以上の太陽光パネルが支柱ごと強風で崩れ、十数枚が飛ばされて周囲の民家などに衝突した。
また、福岡県柳川市では、50KW未満の施設のパネル約150枚が吹き飛び、周囲の民家など、少なくとも8軒を損壊させた。
50KW未満の施設の事故は国への報告義務がなく、実際の被害は、さらに多いとみられる。
太陽光施設は、電気事業法などに基づき、日本工業規格(JIS)で市町村ごとに定められた基準風速の荷重に耐えられる設計にすることが、発電事業者に義務付けられている。
全国の各市町村の基準風速は46〜30m/sだが、台風15号は九州各地で40m/s以上の最大瞬間風速をもたらした。
一方、原発事故後、国は太陽光の普及を図るため、事業者に義務付けていた稼働前の工事計画書の届け出や自主検査の対象を、500KW以上から2000KW以上の施設に規制緩和した。
2000KW未満の施設がJISに適合しているかは、基本的に事業者任せという。
経産省電力安全課の担当者は、「台風により大規模な被害が出たのは今回が初めてではないか」と事態を深刻に捉え、「JISの基準が不十分なのか、施工不良だったのか断定できないが、同種の被害を防ぐために詳しい原因を調べたい」としている。
「東北大大学院の植松康教授(建築風工学)の話」
写真などを見る限り、今回の被害では、太陽光パネルの架台に十分な耐力がなかった可能性がある。
太陽光発電施設は、一度飛ばされれば「空飛ぶ凶器」になりかねないが、一般の建築物が受ける建築確認のような審査がないのが実情だ。
特に、市街地周辺では人的被害が出る恐れもあり、国の最低限のチェックは必要だろう。
JISの基準についても、不十分さを指摘する実験結果がある。風洞実験などを適切に行い、結果を反映していく必要がある。
「あんな恐ろしい光景は見たことがない」。
台風15号の被害に遭った福岡県行橋市の太陽光発電所。近所に住む男性は顔をこわ張らせた。
この発電所では、台風が猛威をふるった8月25日朝、100枚以上の太陽光パネルが地中に埋め込まれた支柱ごと強風で浮き上がり、倒壊した。
さらに十数枚が吹き飛び、近隣の民家の柱や車などに衝突した。
周囲の民家など8棟が半壊、一部損壊の被害に遭った福岡県柳川市では、半壊した住宅に住む椛島さん(81)が、「一部のパネルならまだしも、鉄骨ごと飛んできた。人災ではないか」と不満を抑えきれない。
一般的に、太陽光パネルは1枚1.3m2、重さ15kg程度で、主にガラスでできている。
4枚で1KWを発電するため、単純計算で50KW施設なら200枚、500KW施設は2000枚が使われる。
今回の被害で、太陽光パネルが「空飛ぶ凶器」となり、一歩間違えば大惨事となることを見せつけた。
行橋市で発電所を建設する場合、日本工業規格(JIS)に基づき、34m/sの基準風速に耐えられる設計にすることが義務付けられている。
しかし、台風15号が記録した市内の最大瞬間風速は34.5m/s。
発電所を所有する市内の建設会社の社長は、「工事したのは別の施工業者。最大風速45m/sまで耐えられる設計と言っていた。なぜ壊れたのか施工業者に抗議した」と肩を落とす。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20151004k0000m040089000c.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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