2020年3月17日17時15分にNHK四国から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所で、ことし1月以降に相次いだ重大なトラブルについて、四国電力はそれぞれの原因と再発防止対策を盛り込み、「基本ルールの徹底という原点に立ち返る」などとした報告書を17日、公表しました。
伊方原発では、3号機の定期検査中だったことし1月、重大なトラブルが3件、相次いだため、四国電力は定期検査を中断して進めてきた調査結果の内容を17日、公表しました。
このうち原子炉の核分裂反応を抑える制御棒を引き抜いたトラブルは、制御棒の上げ下げに使う金属製の軸=「駆動軸」の内側に鉄の酸化物がたまった影響で十分な動作ができなかった結果、発生したとしています。
また、保管プールのなかで核燃料が点検用のラックの枠に乗り上げたトラブルについて、報告書では操作の難しさを作業員全員で共有できていなかった、などとしています。
さらに、点検中の停電で電源を失ったことについては、遮断機に付属する装置=「断路器」の一部がショートして壊れたことが直接的な原因だったと説明しています。
一方、一連のトラブルに共通する要因は見当たらなかったとしながらも、総括的に改善が必要な点として、軽微な気づきなどを収集し、反映させることが不十分だったことなど5つをあげ、発電所で働く1人ひとりが基本ルールの徹底という原点に立ち返るとしています。
四国電力の長井啓介社長は17日、この報告書を愛媛県の中村知事に提出し、改めて陳謝しました。
長井社長は、はじめに、「連続したトラブルで愛媛県や地域の方々に大変な心配をおかけし、改めてお詫び申し上げます」と陳謝しました。
技術面や組織面などでの原因や再発防止策について説明を受けた中村知事は、今後について、「県の原子力専門部会の専門家に厳しく確認してもらう必要がある。追加の要請が出てきた場合はすみやかに対応してもらいたい」と述べました。
終了後、中村知事は、「定期検査の再開など、今後に向けては専門家の厳しいチェックが必要だ」と述べました。
一方、長井社長は、定期検査の再開について、「県や町に理解してもらった上でのことで、スケジュールは全くの白紙だ」と説明しています。
https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20200317/8000005946.html
3月18日5時41分にNHK四国からは、設備の持つリスクの評価などが不足していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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四国電力は17日、原因などをまとめた報告書を公表し、4つのトラブルに共通する背景は見つからなかったものの、▽作業計画の確認や▽作業点検の振り返り、▽また、設備のもつリスクの評価などが不足していたと指摘しました。
その上で、現場の作業が適切に管理されているか、独立してチェックする新しいチームを品質保証部に設置するほか、教育訓練の強化など、あわせて5項目の再発防止策を示しました。
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https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20200318/8000005951.html
3月17日19時42分に日本経済新聞からは、再発防止策の詳細について、下記趣旨の記事が改善策のポイント一覧表付きでネット配信されていた。
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再発防止策は5項目ある。
具体的には、協力会社が定検の作業手順をまとめた作業要領書について、伊方3号機に関する約1100件を総点検した。
その上で144件426カ所について、記載内容の充実などの修正を実施した。
伊方原発の品質保証課には4月、作業要領の内容や作業時期の妥当性を確認する専任のプロジェクトチームを設ける。
4人体制で効果を検証した上で、将来的な恒常化も見据える。
このほか、軽微な気づきなどを幅広く収集し、改善につなげるプログラムの本格運用を4月に開始する。
伊方原発では1月以降、3件のトラブルが相次いで発生した。
12日には3号機の原子炉容器で燃料を固定している装置をクレーンで引き上げようとした際、制御棒を誤ってつり上げた。
25日午後には送電線の不具合で停電が発生し、一時的に電源が喪失した。
今回の報告書では、これらの原因と再発防止策を盛り込んだ。
四国電は愛媛県の求めに応じ、副社長が務める原子力本部長を同原発に常駐させ、陣頭指揮に当たっている。
副社長の常駐については、当面の間、継続する方針だ。
トラブル続発を受けた社長を含めた責任者の処分については、今後の公開会合での議論結果などを踏まえて検討するとしている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56906320X10C20A3LA0000/
3月17日20時56分に読売新聞からは、全電源一時喪失トラブルの対応策など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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このうち1月12日、定期検査中の3号機で核分裂反応を抑える制御棒1本を誤って抜いた事案は、制御棒を引き上げる軸に鉄の酸化物が付着して滑り落ちた結果、誤作動が起きたと推定した。
規制委は、近く、同型の全国の原子炉で起きる可能性などを審査する。
同25日には、廃炉を決めた1、2号機で電気系統の試験中にショートし、定期検査中の3号機を含めた全電源を一時的に喪失した。
今後は、1、2号機の電気試験中、3号機と電気系統を分ける対策を行うという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200317-OYT1T50306/
(ブログ者コメント)
各トラブルの内容は本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。