2020年3月17日22時10分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオで69人が死傷した放火殺人事件を受け、京都市消防局は17日、ガソリンをまかれる放火など大規模な火災を想定した「火災から命を守る避難の指針」を公表した。
生存者らへの聞き取りを基に、亡くなった人も含めた70人の避難行動の分析・検証を踏まえ、推奨する避難方法や注意点を7項目にまとめた。
事件は18日で発生から8カ月。
消防局は4月以降、査察やイベントなどを通じて事業所や市民へ周知・指導を行う。
火災の危険レベルを、
▽階段に煙がなく使用可能
▽階段が煙で使用できない
▽階段とフロア全体に煙が流入し、避難者が煙に覆われ危機的
の三つに分類。
火災の覚知、避難開始、限界的な状況などの段階ごとにも整理し、具体的な行動・対策を記している。
早期の避難行動のため、大きな物音を聞いたらすぐに確認するなどの行動を開始し、「火事だ」だけではなく、「消火は無理だ。今すぐ逃げろ」などの具体的な行動を示す声掛けが重要と指摘。
2階の窓際の人が開けたベランダの窓の光が追随する避難者に避難方向を示したとして、煙の排出のため、早期に窓を開放することを推奨した。
事件の生存者の多くは2階のベランダから飛び降りており、階段が使用できない際は、2階に限り、ベランダや窓にぶら下がって地上へ下りることも避難方法として挙げた。
また1階女子トイレに逃げ込み、煙の流入を遅らせて救出された人もいたことから、一時的な避難場所の確保も有効とした。
危機的な状況では、
▽身を低くして最小限の呼吸で避難すること
▽光や壁を頼りに窓やベランダなどを探すこと
▽窓から上体を出して「く」の字に曲げて煙を避けること
などを挙げている。
事件では、近隣住民がはしごを持って駆け付け、救出活動を行ったことから、避難後の行動として、建物内に戻らないことを前提に、ベランダにはしごを掛けるなど、屋外からの支援を可能な限り行うとした。
また、放火防止のため、事前の不審者情報の共有や警察との連携なども挙げている。
https://mainichi.jp/articles/20200317/k00/00m/040/310000c
3月17日17時3分に産経新聞からは、一般的な火災を上回るスピードと規模で燃え広がる火災への対策が示されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
36人が死亡し、33人が負傷した京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ、本社・京都府宇治市)第1スタジオ放火殺人事件の検証結果を踏まえ、京都市消防局は「火災から命を守る避難の指針」を策定した。
急激に広がる炎や煙から身を守るため、階段以外からの避難方法を複数確保することや、早期の火災把握と避難呼びかけの重要性などを指摘している。
京アニ事件当時に建物内にいた70人の避難行動と、負傷者らに聞き取った内容などをもとに作成。
一般的な火災を上回るスピードと規模で燃え広がる火災に遭遇した際に生じる課題と対策を示した。
指針では、一人一人の状況判断に基づく早期の行動開始と、迅速な避難行動が命を守るターニングポイントとなると指摘。
通常とは異なる大きな物音を聞いた際にすぐに確認することや、初期消火が困難な場合には「今すぐ逃げろ」など具体的な声掛けが有効だと記している。
また、階段から逃げられない場合、2階に限ってベランダや窓からぶら下がって避難することや、避難器具が設置されていない場合は、シーツや散水ホースなどを使って地上へ避難する方法もあると紹介している。
消防局は指針で「火災の痛みを忘れることなく、あらゆる火災から適切な避難行動が行われ、1人でも多くの命が守られるよう全力で取り組みたい」と述べている。
https://www.sankei.com/affairs/news/200317/afr2003170012-n1.html
3月24日10時31分に京都新聞からは、窓枠にぶらさがった後に飛び降りることで地面までの距離を短くするなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
第1スタジオは建築基準法の基準を満たし、避難訓練を行っていたにもかかわらず、らせん階段を通じて急激に煙が建物全体に蔓(まん)延し、死者36人を出す大惨事となった。
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指針では、2階以上の階にはしごやロープの設置を推奨。
これらがない場合、窓枠などにぶら下がって地面までの距離を短くすることで、けがを最小限に抑える飛び降り方を示した。
濃煙が室内に蔓延した場合に顔を窓の外に出して「くの字」に腰を曲げる呼吸法を示し、「避難限界時間を延ばせる」とした。
煙で周りが見通せない環境下で、壁と床の隅に残る空気を吸いつつ、四つんばいで進む避難術も紹介した。
社員の中には、犯人への恐怖心からトイレに逃げ込んで扉を閉めたことで、結果的に煙の流入を防いだ例があったことから、煙から逃れるため扉などで区切られた場所の確保を求めた。
また京都市消防局は、聞き取りに応じた社員の思いを指針に掲載した。
その一部は以下の通り。
当日は、訓練でシミュレーションした以上に考えるゆとりもなく、想定通りにいきませんでした。
煙の勢いが速く、平常時から緊急時への心の切り替えもできない状態でした。
火災発生から自分が建物を脱出するまでは、1分ほど。
一刻も早く建物の外に出ることが大事だったと思います。
この事件をきっかけに、防災について考え、今後、人命が助かる対策がより進んでほしいと思います。
https://this.kiji.is/614957256043381857?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
京アニ放火事例は本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。