2020年3月17日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
人工的な香りを加えた化粧品や柔軟剤などが増えるのに伴い、香りに含まれる化学物質によって頭痛や吐き気、めまいなどの症状を起こす人が少なくない。
日常生活が送れず、健康被害をもたらすケースがあることから、公害をもじって「香害」と呼ばれる。
まだ認知度は低く、症状を訴えても周囲から理解されず、独りで悩む人も多い。
【柔軟剤の成分で】
宮城県多賀城市で昨年末、地域の憩いの場として人気があり、経営も順調だったカフェが閉店した。
理由は、店主だった庄司さん(49)と妻(51)が、それぞれ化学物質過敏症を発症したためだ。
2人は、2018年夏ごろから倦怠(けんたい)感などを覚えるようになった。
全身にだるさや痛みを感じた時に共通していたのは、良い香りのする客が来店した時だった。
19年6月になって、専門医が2人に診断を下した。
香害による健康被害だと分かり、その後、店の入り口に柔軟剤を使用した衣服での入店を控えるように求める張り紙をした。
さらに、店を香害を広く知ってもらうための啓発拠点にしようと、関心のある人を集めて勉強会を開いたり、交流サイト(SNS)で情報発信をしたりした。
反応は、はかばかしくなかった。
「客のせいにするな」、「精神障害だ」などと悪意のある書き込みも相次いだ。
閉店後の今でも、庄司さんは「大好きな店だったが、体が持たなかった。(周囲の無理解で)精神的にも追い詰められた」と、悔しそうに話す。
【自粛要請の動きも】
認知度を高める動きも出ている。
無添加のせっけんや洗剤づくりにこだわる「シャボン玉石けん」(北九州市)は18年、新聞に「香害を知っていますか」と問題提起する広告を出し、反響を呼んだ。
「友だちの柔軟剤のにおいで学校に行けない」と訴える子どもの手紙がきっかけだった。
一部自治体では、子どもを香害から守るという観点から、対応に乗り出した。
多賀城市や長野県安曇野市、茨城県つくば市の教育委員会が、保護者宛てに、家庭での柔軟剤などの使用自粛を求める文書を出した。
埼玉県は、香害に関するポスターを制作した。
ちまたには香料を使用した商品があふれかえり、香害対策には限界もある。
東京都内で専門クリニックを開く宮田幹夫・北里大名誉教授は、「現時点で(香料の)規制は現実的ではない」と指摘した上で、こう呼び掛ける。
「認知度が低く、外見上の特徴もないため、理解されづらい。まずは患者の存在を知ってほしい」
【化学物質過敏症】
何かの化学物質を、大量にまたは繰り返し触ったり吸い込んだりすることで、頭痛やせきなどさまざまな症状が出るアレルギー疾患。
同じ環境下でも、発症するかどうかは個人差が大きく、患者の実態はよく分かっていないが、国内で100万人超との推計もある。
建材や防虫剤などが原因で室内の空気に反応する「シックハウス症候群」は化学物質過敏症の一つ。
https://mainichi.jp/articles/20200317/ddm/013/100/028000c
(ブログ者コメント)
〇香害については、本ブログでも過去に紹介したことがある。
(2018年7月22日)
『2018年7月15日報道 「香害」という名の新しい公害 ; 北海道倶知安町の菓子店代表の女性が夫の発症を機に「香害」について調べ、患者を支援するための団体を立ち上げた』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8603/
〇今回の報道を機に調べ直したところ、香害を無くす運動は全国の自治体にも広がっている。
(消費者庁HP;各自治体のポスター付き)
『「全国に広がる 香害なくす運動」』
CS や香料、シックハウスについてのHP 記載とポスターを導入した自治体数
香害をなくす運動が広がるにつれ、 全国の自治体でホームページ(HP)に化学物質過敏症(CS) の説明や香料自粛を求める記載が増え、 自治体独自のポスターが作成されています。
※香害とは 柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のこと。
体臭は含まれない。
http://nishoren.net/flash/12417
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。