2012年7月29日、BS11で「地震予知の現状に迫る」という番組が放映されていた。
出演は、電気通信大学の早川名誉教授。
さほど期待せず、チラ見だけと思ってチャンネルを合わせたのだが、ブログ者が薄々と感じていたことが学問的に取り上げられ、かつ、かなりの精度で予測できるところまで研究は進んでいる、といった内容だったので、急ぎ録画した。
ここに、その内容を紹介する。
[番組内容の骨子]
□今の地震学は、地震発生のメカニズムを解明することが目的。地震予知という点では、確率論的な中長期予測しかできない。
それに対し、地震予知学では、発生の数日から1週間前に地震を予知できる。
□原理は下記。
・大地震の発生1週間ほど前、プレートが破壊される直前に、プレートにはマイクロクラックという小さなヒビが入る。
・すると、摩擦電気とか圧電効果で電波が発生。またラドンなどのガスが放出される。
・電波は電離層を擾乱し、ガスは大気圏を擾乱するが、そのうち、電離層の擾乱に着目して研究しているのが、今の地震予知学。
・現状、福島と宮崎にあるVLF/LF送信局からの電波を使わせてもらい、受信局を高知や北海道など国内6ケ所に置いたシステムを、電気通信大学が作り上げている。
・M5.5クラス以上で、かつ震源が浅いところで起きる地震だと、発生1週間ほど前に電離層が擾乱状態になり、受信局で受ける電波の数値が下がり、到達速度も速くなる。
・送信局と受信局を結ぶ楕円の範囲内で起きる地震は、6~7割程度の確率で予測できるところまで、技術的には進んでいる。
・3.11までは、陸地で起きる地震だけに着目して研究を進めてきており、海で起きる地震については、さほど重視していなかった。
・それが、3.11の約1週間前、昨年3月5日、6日に、調布局で受信したシアトルからの電波に顕著な異常が見つかっていた。東日本大震災の震源地も、その楕円の範囲内。
ただ、日本~シアトル間のどこで地震が起きるか判断できなかったため、予報を出すまでには至らなかった。
・その後の余震についても、外国基地との受信状況を解析し、やはり前兆が現れていたことを確認した。
・局の数を増やせば、楕円と楕円の交点で地震が起きるなど、予知の精度が向上する。
現在、外国と連携したり、三宅島に基地局を設置する方向で動いているが、これができれば、東南海地震などの予知もできるようになると期待している。
・ただ、新しい学問で政府から金が出ず、1局の開設費用数100万円にも苦心している。もっと基地局を増やして予知エリアを拡大し、精度も上げていきたいのだが・・・。
・いろんなところでこの話をし、代議士にも話をしてきて、少しずつだが反応が出てきている。
[関連ネット情報]
番組と同主旨の「今後の地震予知について;電気通信大学 早川名誉教授へのインタビュー記事」というサイトがあり、そこに、番組で使われていた図の一部が掲載されていた。
http://case311.miraikan.jst.go.jp/home/docs/earthquake/1106112028
研究費用や設備設置費用をまかなう目的で設立したという「地震解析ラボ」は下記。
http://earthquakenet.com/
(ブログ者コメント)
M5.5以上の大地震を1週間前に予知できるようになれば、リスク管理上、これほど喜ばしいことはない。
年に1億円もあれば研究費に不自由はしないのだろうが、これほど有望な研究に、なぜ国は資金提供しないのだろう?
今後、予知可能エリア内で地震が起きて大きな被害が出、それを1週間ほど前に予知し、世間に警告していたとなれば、一気に多額の予算がつくことになるのだろうが・・・・。
(2013年4月27日 修正1 ;追記)
2013年4月25日にTBS Nスタから「地震予知最前線 予測番組 その内容は?」というタイトルで、アース・サイエンティフィックという会社から電気通信大学のシステムで予測した内容が動画などで配信されており、その的中率は55%だと紹介されていた。
そこで調べたところ、以下の「地震予測検証 防災情報(ハザードラボ)」というサイトに予測情報が掲載されていた。
http://www.hazardlab.jp/
[ブログ者コメント]
同サイトに4月26日付で、「北海道東部から岩手県沖にかけてM5以上」という予知情報が掲載されていた。
結果、4月29日に岩手沖でM4.4の地震が発生した。
マグニチュードこそ小さかったものの、予知成功か?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。